お姉様の代わりに悪役令嬢にされそうです

Blue

文字の大きさ
20 / 47

ヒロインなのか悪役令嬢なのか

しおりを挟む
 私の目をじっと見るカメリア姉様。思わずゴクリと喉がなってしまう。

「あなた、悪役令嬢じゃなくてヒロインのポジションになっているんじゃないかしら?」
「……はい?」
「彼らの行動が、なんだかヒロインで起こるはずのイベントと似ているのよ」

「……じゃあ、皆ゲーム通りに動いているだけって事?」
ヒロイン云々より、その事にショックを受けてしまう。だって、そうだったとしたら……嫌だ。それではまるで私自身に興味を持っているわけではなく、ヒロインという立場の者にはする義務のように感じてしまう。レジナルドもそうだったのかと思うと胸が痛い。

「リリー、もしかしてその中で、好きになった人が?」
カメリア姉様にハンカチでそっと頬を拭われた。泣いてしまったようだ。そのままカメリア姉様に抱きしめられる。

「ごめんね。私の言い方がまずかったわ。あくまでも似ているだけ。ゲームとは違う。だってオスカー殿下もアーチー様も、それにゼルガーナ様もゲームでは贈り物なんてしていなかった。それにそもそもの出会いがゲームとは違うもの」
抱きしめながら私の頭を優しく撫でる。

「私はパニックを起こして、結果的にゲームという縛りから抜けたくて逃げる選択をした。これが本当にゲーム通りだったら、そんなことは出来なかったはずでしょ。しかも、私はゲームとは全く関係ない人を好きになった。リリーだって、本当ならゲームに登場すらしていない人物だったのよ」

カメリア姉様は抱きしめていた腕を緩め、私と向き合った。
「だから、リリーはそのまま。リリーらしく突き進んで。私は相手が誰でも全力で応援するわよ」
カメリア姉様の笑顔に釣られるように私も笑った。

「で、相手は誰なの?」
「……秘密よ」
怖っ、ポロっと言ってしまう所だった。思わずお義兄様を見てしまう。お義兄様はニコッとしてくれた。

「カーター」
ローズ姉様が色気オーラを放つ。
「あなた、知っているわね。リリーの想い人」
「知らないよ」
「嘘。今のアイコンタクト、見逃さないわよ」

「本当に知らないよ」
「素直に吐きなさい。じゃないと……襲うわよ」
「嬉しい申し出だけれど、皆が見ているからね」
「もう、口が堅いわね」
「それが私の売りだからねえ」
「ま、なんとなくはわかっているけれど」
流石お義兄様。宰相補佐をしているだけのことはある。頼れるお人です。ローズ姉様の言葉は聞こえないっと。

「まあ、あれだ。例えリリーが悪役だろうと、ヒロインだろうと私たちは、皆リリーの味方であるのは変わらない。リリーを害するような輩がいるならば、相手が誰であろうが全力で排するのみ。それでいいな」
「はい」
家族皆の声が揃った。

「お父様は、相手がリリーの想い人であろうが排除しそうだけれどね」
ローズ姉様がぼそりと呟く。
「ふふ、それは仕方ないわよねえ。だって、カメリアは隣国だったから邪魔するまでもなく決まってしまったじゃない。カーターはそつがない人だから、上手く丸め込まれちゃったし。そうなると、最後の娘の相手はもう誰であろうが憎らしいって思っているのよ、きっと」

「男親って大変よね」
「あら、カーターだって娘が出来たらなるわよ。既に義理の妹でああなのだから」
ふふふと二人で笑い合う。

「いいか、街ではギルド長に頼むしかないが、城では常に目を光らせろよ。教会の男以外は皆、城にいるからな。ディートリンドはどうするんだ?暫くこちらにいるのだろう」
「どうぞアイザックと。私は騎士団で稽古をさせて頂こうと思っています。あちらでも騎士団の部隊長ですので」
「そういえばそうだったね。では私から話を通しておきましょう。友好国ですし、新たな剣の稽古の相手が出来れば喜ぶ者もいるでしょう」

「騎士団ならマルキオーロという男に注意しておけよ」
「はい」

「リリー。カメリア姉様にだけそっと教えてごらん」
「嫌、姉様には一番教えたくない」
「ほお、そんな事言っていいのかな。例えゲームとは違っていても、攻略法を知っている姉は心強い味方になるとは思わないかね?」
「思わないもん。それに、まだ好きなのかわからないの。ちゃんと自覚出来たら皆にちゃんと言うわ」

「ふっ、リリー初めての恋を知るってやつね」
「……やっぱり姉様には言いたくないかも」

そんなそれぞれの会話が弾む中、慌ただしかった一日が終わろうとしていた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?

naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ゆるふわ設定です。 連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。

結婚するので姉様は出ていってもらえますか?

基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。 気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。 そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。 家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。 そして妹の婚約まで決まった。 特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。 ※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。 ※えろが追加される場合はr−18に変更します。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される

柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。 だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。 聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。 胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。 「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」 けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。 「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」 噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情―― 一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

処理中です...