お姉様の代わりに悪役令嬢にされそうです

Blue

文字の大きさ
27 / 47

冒険者としてではないけれど

しおりを挟む
 淡いブルーのワンピース。髪はハーフアップ。特にアクセサリーも身につけず、シンプルな装い。
教会にいるキャルム様に会いに行くために着替えている。冒険者の格好で行こうとしたら、カメリア姉様に無理矢理着替えさせられた。

「当たり前でしょ。今日は冒険者として行くわけじゃないって言っていたでしょ。だったらちゃんと可愛い格好をしなくちゃ」
別にお義兄様の忠告を伝えに行くだけなのだが、言えないので冒険者として行くわけじゃないと言ったら、なんだか盛大な勘違いをされたようで、ローズ姉様まで参戦してきたせいで完敗。

「リリー嬢、綺麗だ」
エントランスにはオスカー殿下が待っていた。本気で一緒に行くようだ。
「本気だったのですね」
「私は常に本気だ」
とても楽しそうだ。うん、もういいや。



「お願いですから殿下はここで待っていてください。一緒に来ると、なんだかややこしくなりそうなので」
礼拝堂で殿下には待ってもらう事にした。
「どうしてだ?まさかそのキャルムと二人になりたい理由でも?」
「どんな理由ですか?そんなものはありません。ただ、お義兄様に話す事は言ってありますけれど、殿下にまで言った事は知らないのですから私がちゃんと説明します。だから今はここで待っていてください」

「そうか。ならば祈りでも捧げて待つとするか」

殿下を礼拝堂に残して事務所へ向かう。
「こんにちは」
ノックして入ると、司祭様とキャルム様がいた。

「リリーさん。どうしました?」
司祭様は冒険者の私しか見ていないせいか、驚いた顔をしていたが、キャルム様はすぐにわかってくれた。

「キャルム様、少しだけお時間を頂けませんか?」
「あ、はい。ではこちらへ」
応接室に通される。念のため、音が漏れないよう遮断魔法をしておく。

「先日の件、義兄に話しました」
それから義兄に言われた話をする。
「なるほど。確かにすぐに次の手を打つとは考えにくいですね。はあ、なんだか気持ちが楽になりました。ずっと、次は何があるのかと気が気でない状態を続けていたので」

「気持ちはわかります。でも、焦りは禁物だそうです。あ、あとですね。不本意ながら第二王子殿下にも話を知られまして」
「え?王子殿下ですか?」
「本当にごめんなさい。でも、協力は惜しまないそうですので」

「そうですか」
「本当にすみません」
「いえ、どうかそんなに謝らないでください。結果的には良かったのかもしれません。力強い味方になってくれそうですし」
「そう言ってもらえると助かります」

「それにしても、リリーさんは今日も可愛らしいですね。街では冒険者の格好が常でしたからとても新鮮です」
天使の笑顔で褒められてしまった。

「姉たちに冒険者として行くわけじゃないのだからと、着せられました」
「それは、ふふ。仲が良いのですね」
「そうですね、仲はいいです。たまに面倒くさいですけれど」
「それでも羨ましいです。私は一人っ子なので」
「そうでしたか」
キャルム様の寂しそうな顔は、こちらまで辛くなる気がする。

「これから何かご予定でもあるのですか?」
「いいえ、あとはもう帰るだけです。礼拝堂にオスカー殿下がいるので、彼を拾ってからですが。あ、良かったら少し話しますか?」

パチっと一瞬目を見開いたキャルム様だったが、次の瞬間には残念そうな顔になる。
「そうしたいのは山々なのですが、これからクララさんを隣町の教会へ連れて行かなければいけないのです。せめてご挨拶だけでもさせて頂ければ」

二人で礼拝堂へ向かう。シモネッタ嬢も礼拝堂で祈りを捧げているらしいのだ。

 礼拝堂の扉を開ければ、思ってもみない光景を見る事になった。礼拝堂のど真ん中で男女がしっかりと抱き合っていた。それはもうしっかりと。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです

サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――

国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?

naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ゆるふわ設定です。 連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...