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皆の前で
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「痛感しました」
「良かったよ、わかってくれて。出来れば義父上殿には、これ以上は介入させずに済ませたかったからね。まあ、接近禁止命令の為に少しだけ話してしまったけれど。そこは君の力量で乗り越えるという事で」
「はい。団長はもともとある壁ですから、今更気にしません」
「心強いじゃないか。でも、きっと想像以上だと思うよ。なんせ末娘だ。可愛がりが半端ない。幼いリリーが黒竜のお嫁さんになると言ったら、嫉妬して竜舎に連れて行くのを止めてしまうような男だからね」
義兄よ、何故私でも忘れていた遠い過去の事を知っている?
「そこは覚悟の上です。もう何度も釘は刺されていますし」
「そうか、ははは。なら頑張れ。もう私たちは全員味方だよ」
「ありがとうございます。心強いです」
「あら、まだ駄目よ」
ローズ姉様だ。
「ゼルガーナ様、あなたはまだちゃんと言葉にしていない。気持ちだけで分かってもらおうというのはダメよ。女はちゃんと言葉にして欲しいものなの」
「わかった」
レジナルドが私の前で跪く。
「リリー、愛している。黒竜ではなく俺と結婚してくれないか?」
「結婚!?」
「そうだ。結婚は嫌か?」
「ちがっ、そうではなくて。実感が湧かないと言いますか……私は生涯、結婚しないつもりでいたのでびっくりしたと言いますか……あの……嫌、じゃないです」
「では結婚、してくれるか?」
「はい。私で良かったらお願いします」
公開プロポーズに、私はもう顔が熱くて仕方がない。でも、皆の前で堂々と告白してくれた事がとても嬉しかった。
跪いていた彼が立ち上がった瞬間、抱きしめられた。再び近づいて来る金の瞳。だが、そこは当然邪魔が入る。
「だから、それ以上は、お父さんが許しませんよ」
お義兄様の言葉に皆で笑った。
中に戻ってレジナルドと踊っていなかった事に気付く。彼自身も気付いてくれたようで、以前と同じセリフで私を誘った。
「1曲、お相手願えるか?」
「はい、喜んで」
やはり彼のステップは柔らかい。
「前回も思いましたけれど、レジナルドは見かけに反して柔らかい動きをするのですね」
「そうか?自分ではよくわからない。だが、ダンスは嫌いじゃない」
「そうなのですか?では何故、舞踏会にあまり出席しないのですか?」
「面倒くさい」
「それだけ?」
理由が子供過ぎる。
「思ってもいないくせにおべっかばかり使ってくる貴族もそうだが、まとわりついてくる女たちが煩わしくて仕方なかったんだ」
「なるほど」
「嫁ぎ先を探している令嬢ならばまだわかる。少しでもいい家へ嫁ぎたいというのは皆が思っていることだろう。それはいいんだ。だが、金には困っていないが物足りなさを感じている未亡人や、娘を推してきながら自分をアピールするかのように密着してくる母親。あ、令嬢でも画策して既成事実を作ろうとする奴もいたな。俺の周りにはそんなろくでもない女が群がって来るんだ」
「それは……ご愁傷様です?」
「どうして疑問形にする?」
「いえ……それなりに楽しんだんじゃないかなあ、なんて勘繰りました」
「俺がそんな事をするとでも?」
あの時の情景を思い出して、嫉妬心からなのか少し熱くなってしまった。
「だって、あなたの隣に座った女性は、随分と過剰なアピールをしていたわ。それでもあなたは平然としていた。きっと慣れているんだろうなあって思ってしまうのは仕方がない事ではない?」
「あんなのは、虫がとまったようなもんだ。無視し続ければ諦める。下手に反応する方がああいう女はつけあがる」
「そういうもの?」
「ああ、そういうものだ」
「でも、嫌だった」
「もう絶対にさせない……ところで気付いているか?」
彼がニヤッとして私を抱いていた手に力を入れた。
「良かったよ、わかってくれて。出来れば義父上殿には、これ以上は介入させずに済ませたかったからね。まあ、接近禁止命令の為に少しだけ話してしまったけれど。そこは君の力量で乗り越えるという事で」
「はい。団長はもともとある壁ですから、今更気にしません」
「心強いじゃないか。でも、きっと想像以上だと思うよ。なんせ末娘だ。可愛がりが半端ない。幼いリリーが黒竜のお嫁さんになると言ったら、嫉妬して竜舎に連れて行くのを止めてしまうような男だからね」
義兄よ、何故私でも忘れていた遠い過去の事を知っている?
「そこは覚悟の上です。もう何度も釘は刺されていますし」
「そうか、ははは。なら頑張れ。もう私たちは全員味方だよ」
「ありがとうございます。心強いです」
「あら、まだ駄目よ」
ローズ姉様だ。
「ゼルガーナ様、あなたはまだちゃんと言葉にしていない。気持ちだけで分かってもらおうというのはダメよ。女はちゃんと言葉にして欲しいものなの」
「わかった」
レジナルドが私の前で跪く。
「リリー、愛している。黒竜ではなく俺と結婚してくれないか?」
「結婚!?」
「そうだ。結婚は嫌か?」
「ちがっ、そうではなくて。実感が湧かないと言いますか……私は生涯、結婚しないつもりでいたのでびっくりしたと言いますか……あの……嫌、じゃないです」
「では結婚、してくれるか?」
「はい。私で良かったらお願いします」
公開プロポーズに、私はもう顔が熱くて仕方がない。でも、皆の前で堂々と告白してくれた事がとても嬉しかった。
跪いていた彼が立ち上がった瞬間、抱きしめられた。再び近づいて来る金の瞳。だが、そこは当然邪魔が入る。
「だから、それ以上は、お父さんが許しませんよ」
お義兄様の言葉に皆で笑った。
中に戻ってレジナルドと踊っていなかった事に気付く。彼自身も気付いてくれたようで、以前と同じセリフで私を誘った。
「1曲、お相手願えるか?」
「はい、喜んで」
やはり彼のステップは柔らかい。
「前回も思いましたけれど、レジナルドは見かけに反して柔らかい動きをするのですね」
「そうか?自分ではよくわからない。だが、ダンスは嫌いじゃない」
「そうなのですか?では何故、舞踏会にあまり出席しないのですか?」
「面倒くさい」
「それだけ?」
理由が子供過ぎる。
「思ってもいないくせにおべっかばかり使ってくる貴族もそうだが、まとわりついてくる女たちが煩わしくて仕方なかったんだ」
「なるほど」
「嫁ぎ先を探している令嬢ならばまだわかる。少しでもいい家へ嫁ぎたいというのは皆が思っていることだろう。それはいいんだ。だが、金には困っていないが物足りなさを感じている未亡人や、娘を推してきながら自分をアピールするかのように密着してくる母親。あ、令嬢でも画策して既成事実を作ろうとする奴もいたな。俺の周りにはそんなろくでもない女が群がって来るんだ」
「それは……ご愁傷様です?」
「どうして疑問形にする?」
「いえ……それなりに楽しんだんじゃないかなあ、なんて勘繰りました」
「俺がそんな事をするとでも?」
あの時の情景を思い出して、嫉妬心からなのか少し熱くなってしまった。
「だって、あなたの隣に座った女性は、随分と過剰なアピールをしていたわ。それでもあなたは平然としていた。きっと慣れているんだろうなあって思ってしまうのは仕方がない事ではない?」
「あんなのは、虫がとまったようなもんだ。無視し続ければ諦める。下手に反応する方がああいう女はつけあがる」
「そういうもの?」
「ああ、そういうものだ」
「でも、嫌だった」
「もう絶対にさせない……ところで気付いているか?」
彼がニヤッとして私を抱いていた手に力を入れた。
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