お姉様の代わりに悪役令嬢にされそうです

Blue

文字の大きさ
36 / 47

皆の前で

しおりを挟む
「痛感しました」
「良かったよ、わかってくれて。出来れば義父上殿には、これ以上は介入させずに済ませたかったからね。まあ、接近禁止命令の為に少しだけ話してしまったけれど。そこは君の力量で乗り越えるという事で」

「はい。団長はもともとある壁ですから、今更気にしません」
「心強いじゃないか。でも、きっと想像以上だと思うよ。なんせ末娘だ。可愛がりが半端ない。幼いリリーが黒竜のお嫁さんになると言ったら、嫉妬して竜舎に連れて行くのを止めてしまうような男だからね」
義兄よ、何故私でも忘れていた遠い過去の事を知っている?

「そこは覚悟の上です。もう何度も釘は刺されていますし」
「そうか、ははは。なら頑張れ。もう私たちは全員味方だよ」
「ありがとうございます。心強いです」

「あら、まだ駄目よ」
ローズ姉様だ。
「ゼルガーナ様、あなたはまだちゃんと言葉にしていない。気持ちだけで分かってもらおうというのはダメよ。女はちゃんと言葉にして欲しいものなの」

「わかった」
レジナルドが私の前で跪く。
「リリー、愛している。黒竜ではなく俺と結婚してくれないか?」
「結婚!?」
「そうだ。結婚は嫌か?」
「ちがっ、そうではなくて。実感が湧かないと言いますか……私は生涯、結婚しないつもりでいたのでびっくりしたと言いますか……あの……嫌、じゃないです」

「では結婚、してくれるか?」
「はい。私で良かったらお願いします」
公開プロポーズに、私はもう顔が熱くて仕方がない。でも、皆の前で堂々と告白してくれた事がとても嬉しかった。

跪いていた彼が立ち上がった瞬間、抱きしめられた。再び近づいて来る金の瞳。だが、そこは当然邪魔が入る。

「だから、それ以上は、お父さんが許しませんよ」
お義兄様の言葉に皆で笑った。

中に戻ってレジナルドと踊っていなかった事に気付く。彼自身も気付いてくれたようで、以前と同じセリフで私を誘った。
「1曲、お相手願えるか?」
「はい、喜んで」

やはり彼のステップは柔らかい。
「前回も思いましたけれど、レジナルドは見かけに反して柔らかい動きをするのですね」
「そうか?自分ではよくわからない。だが、ダンスは嫌いじゃない」
「そうなのですか?では何故、舞踏会にあまり出席しないのですか?」
「面倒くさい」
「それだけ?」
理由が子供過ぎる。

「思ってもいないくせにおべっかばかり使ってくる貴族もそうだが、まとわりついてくる女たちが煩わしくて仕方なかったんだ」
「なるほど」
「嫁ぎ先を探している令嬢ならばまだわかる。少しでもいい家へ嫁ぎたいというのは皆が思っていることだろう。それはいいんだ。だが、金には困っていないが物足りなさを感じている未亡人や、娘を推してきながら自分をアピールするかのように密着してくる母親。あ、令嬢でも画策して既成事実を作ろうとする奴もいたな。俺の周りにはそんなろくでもない女が群がって来るんだ」

「それは……ご愁傷様です?」
「どうして疑問形にする?」
「いえ……それなりに楽しんだんじゃないかなあ、なんて勘繰りました」
「俺がそんな事をするとでも?」
あの時の情景を思い出して、嫉妬心からなのか少し熱くなってしまった。

「だって、あなたの隣に座った女性は、随分と過剰なアピールをしていたわ。それでもあなたは平然としていた。きっと慣れているんだろうなあって思ってしまうのは仕方がない事ではない?」
「あんなのは、虫がとまったようなもんだ。無視し続ければ諦める。下手に反応する方がああいう女はつけあがる」

「そういうもの?」
「ああ、そういうものだ」
「でも、嫌だった」
「もう絶対にさせない……ところで気付いているか?」
彼がニヤッとして私を抱いていた手に力を入れた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?

naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ゆるふわ設定です。 連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~

サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

処理中です...