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第1章 新人編
第1話ー① 初任務
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都内某所。午後6時48分。自転車でいつも通りの帰路につく女子高校生。
しかし帰路の途中にある墓地を横切った時、そこには目を疑う光景が広がっていた。
「何……これ?」
女子高校生は驚きのあまり、その場に自転車を止めて、目を丸くしながらその墓地を見つめる。
それは、今夜がハロウィンパーティなんじゃないかと疑うほどの大量なお化けたちの姿。
「本物じゃないよね……」
女子高校生がその墓地に近づくと、お化けたちはその存在に気が付き、姿を消した。
「え……消えた? あれはやっぱり本物の幽霊なの……?」
突然いなくなったお化けたちに、動揺する女子高生。
そして――
「オネエチャン、アソボウ……」
女子高生が振り返ると、そこには子供の姿をした幽霊がいた。
「いやああああああ!!」
気が動転した女子高生は、奇声を上げながらその場を去った。
そしてそんな女子高生の姿を部屋の窓から見つめて、笑っている少年がいた。
「あはははは!! なんだよ、あの叫び声! あー愉快、愉快。今度は誰を脅かしてやろうかな」
そしてその少年は次のターゲットを探し始める。
***
「ここがこれからの僕の居場所。そして職場となる場所、か……」
目の前に建つ真っ白な壁の建物を見て、しみじみとそう呟くキリヤ。
キリヤたちは今まで住んでいた保護施設を出て、今日この日から研究所にやってきた。
「じゃあ行こうよ」
そう言ってポニーテールを揺らしながらキリヤの先を歩く優香。
「ま、待ってよ、優香!!」
そう言ってキリヤは急いで優香を追いかけた。
「優香は冷めてるなあ。もっと感動とかないの? とうとう自分も社会人だ! とかさ」
「これから毎日ここで過ごすのに、そんな感動を抱いてどうするの? それにここからがスタートなんだから、まだ感動するには早すぎ」
「は、はい……」
(そうだよね、僕ももっと大人にならないとなあ……ここに遊びできたわけじゃないんだもんね!)
そしてキリヤたちが研究所の入り口に到着すると、きれいな銀色の髪をなびかせながら、白銀ゆめかが建物の中から出てきた。
「やあ、待っていたよ。よく来たね、2人とも」
ゆめかはそう言って優しい笑顔でキリヤたちを迎えた。
「今日からよろしくお願いします」「よろしくお願いします」
キリヤと優香は、それぞれゆめかに頭を下げる。
「ははは! そんなに堅苦しくなくていいんだよ。今まで通りにしていてくれればいいさ」
キリヤたちの行動を見たゆめかはそれをおかしく思ったのか、お腹を抱えながら笑っていた。
「で、でも……これから上司になるわけですし。ちゃんとしないとなって、僕なりに思って」
「そうか。君たちはちゃんと大人になろうとしているんだね。その気持ちが素晴らしいよ。でも無理に大人にならなくてもいいんだ。少しずつ、君のペースで成長してくれればそれでいいんだよ」
ゆめかはそう言って、柔らかい笑顔をした。
「あ、ありがとうございます!」
そしてキリヤも笑顔でゆめかにそう返したのだった。
「じゃあ君たちの部屋を案内するよ、着いてきてくれ」
そう言われたキリヤたちはゆめかの後ろについて歩く。
いつもは定期検査や眠っている剛のお見舞いに行くくらいしか来なかった研究所。そのため、キリヤは研究所の職員がどこで寝泊まりしているかを知らずにいた。
そもそもこの建物の中に、居住スペースがあったことに驚きだよ――。
そんなことを思いながら、キリヤたちは普段見ている研究所内を通り、行ったことのないもっと奥へと進んでいった。
すると、その先に鋼の大きな扉があった。
「この先に、君たちの住まいがある」
そしてゆめかはキリヤたちにそれぞれカードキーを預ける。
「これは……?」
キリヤがゆめかにそう問うと、ゆめかは右手の人差し指を立てながら答える。
「これはいわば、家の鍵みたいなものかな! これがないとここから先には行けないつくりになっているんだ。だからこの鍵は絶対に無くさないこと! いいかい?」
「わかりました」
そう言って頷くキリヤ。
「使い方は同じなんだけど、それぞれのカードにIDがついているから、廊下に落ちていたり、部屋に置きっぱなしにすると、すぐに身元が割れるからね」
「き、気をつけます……」
「キリヤ君はちょっとそそっかしいところがあるから、特に注意しないとですね!」
優香はからかうようにキリヤへそういった。
キリヤは何か言い返したい気持ちになりつつも、実際に優香の言う通りなので、何も言い返せなかった。
何も言えない自分が、実に悔しい――そんなことを優香の笑顔を見ながら思うキリヤだった。
「じゃあ、さっそく君たちの部屋に案内するよ!」
そしてキリヤたちは居住スペースの中へと入っていった。
居住スペースの構造自体は、今までいた保護施設と同じだった。
個室がずらりと並んでいて、廊下のところどころにミニキッチンが配備されている。
「こんなに部屋があるってことはそれだけここで暮らしている人が多いという事ですか?」
キリヤは歩きながら、ゆめかにそう問いかけた。
「いや、ほとんど空室だよ。昔はここに住み込みで働く研究員が多くいたけれど、今は通勤している人ばかりかな。だからここは今、主に『グリム』のメンバーが暮らしているんだ」
「そうなんですね」
「ああ。だからここのメンバーとは仲良くしてやってくれるとありがたいよ。……とキリヤ君はここか」
そしてそんな話をしているとキリヤの部屋に到着した。
「じゃあキリヤ君とは、いったんここでお別れだ。またあとで迎えに行くから」
「わかりました」
「そうだ! 施設から届いた荷物を運んでおいたから、片付けておくといい」
「はい!」
「キリヤ君、一人で大丈夫ですか? 片づけられますか……?」
本気で心配そうな表情をする優香。
「だ、大丈夫だよ! 僕だって、そこまでお子様じゃないんだから!」
「それなら、いいですが……」
そして優香はもう少し先にある女性用の居住スペースへゆめかさんと歩いていった。
それからキリヤが部屋に入ると、施設から運んでもらっていた荷物が置いてあった。
「これ、片付けなくちゃね……。マリアがいてくれたら、すぐ終わるのにな……って、いや。それじゃダメだ! 僕は一人でもちゃんとできるってところを見せないと!」
そしてキリヤは荷解きを始めるのだった。
しかし帰路の途中にある墓地を横切った時、そこには目を疑う光景が広がっていた。
「何……これ?」
女子高校生は驚きのあまり、その場に自転車を止めて、目を丸くしながらその墓地を見つめる。
それは、今夜がハロウィンパーティなんじゃないかと疑うほどの大量なお化けたちの姿。
「本物じゃないよね……」
女子高校生がその墓地に近づくと、お化けたちはその存在に気が付き、姿を消した。
「え……消えた? あれはやっぱり本物の幽霊なの……?」
突然いなくなったお化けたちに、動揺する女子高生。
そして――
「オネエチャン、アソボウ……」
女子高生が振り返ると、そこには子供の姿をした幽霊がいた。
「いやああああああ!!」
気が動転した女子高生は、奇声を上げながらその場を去った。
そしてそんな女子高生の姿を部屋の窓から見つめて、笑っている少年がいた。
「あはははは!! なんだよ、あの叫び声! あー愉快、愉快。今度は誰を脅かしてやろうかな」
そしてその少年は次のターゲットを探し始める。
***
「ここがこれからの僕の居場所。そして職場となる場所、か……」
目の前に建つ真っ白な壁の建物を見て、しみじみとそう呟くキリヤ。
キリヤたちは今まで住んでいた保護施設を出て、今日この日から研究所にやってきた。
「じゃあ行こうよ」
そう言ってポニーテールを揺らしながらキリヤの先を歩く優香。
「ま、待ってよ、優香!!」
そう言ってキリヤは急いで優香を追いかけた。
「優香は冷めてるなあ。もっと感動とかないの? とうとう自分も社会人だ! とかさ」
「これから毎日ここで過ごすのに、そんな感動を抱いてどうするの? それにここからがスタートなんだから、まだ感動するには早すぎ」
「は、はい……」
(そうだよね、僕ももっと大人にならないとなあ……ここに遊びできたわけじゃないんだもんね!)
そしてキリヤたちが研究所の入り口に到着すると、きれいな銀色の髪をなびかせながら、白銀ゆめかが建物の中から出てきた。
「やあ、待っていたよ。よく来たね、2人とも」
ゆめかはそう言って優しい笑顔でキリヤたちを迎えた。
「今日からよろしくお願いします」「よろしくお願いします」
キリヤと優香は、それぞれゆめかに頭を下げる。
「ははは! そんなに堅苦しくなくていいんだよ。今まで通りにしていてくれればいいさ」
キリヤたちの行動を見たゆめかはそれをおかしく思ったのか、お腹を抱えながら笑っていた。
「で、でも……これから上司になるわけですし。ちゃんとしないとなって、僕なりに思って」
「そうか。君たちはちゃんと大人になろうとしているんだね。その気持ちが素晴らしいよ。でも無理に大人にならなくてもいいんだ。少しずつ、君のペースで成長してくれればそれでいいんだよ」
ゆめかはそう言って、柔らかい笑顔をした。
「あ、ありがとうございます!」
そしてキリヤも笑顔でゆめかにそう返したのだった。
「じゃあ君たちの部屋を案内するよ、着いてきてくれ」
そう言われたキリヤたちはゆめかの後ろについて歩く。
いつもは定期検査や眠っている剛のお見舞いに行くくらいしか来なかった研究所。そのため、キリヤは研究所の職員がどこで寝泊まりしているかを知らずにいた。
そもそもこの建物の中に、居住スペースがあったことに驚きだよ――。
そんなことを思いながら、キリヤたちは普段見ている研究所内を通り、行ったことのないもっと奥へと進んでいった。
すると、その先に鋼の大きな扉があった。
「この先に、君たちの住まいがある」
そしてゆめかはキリヤたちにそれぞれカードキーを預ける。
「これは……?」
キリヤがゆめかにそう問うと、ゆめかは右手の人差し指を立てながら答える。
「これはいわば、家の鍵みたいなものかな! これがないとここから先には行けないつくりになっているんだ。だからこの鍵は絶対に無くさないこと! いいかい?」
「わかりました」
そう言って頷くキリヤ。
「使い方は同じなんだけど、それぞれのカードにIDがついているから、廊下に落ちていたり、部屋に置きっぱなしにすると、すぐに身元が割れるからね」
「き、気をつけます……」
「キリヤ君はちょっとそそっかしいところがあるから、特に注意しないとですね!」
優香はからかうようにキリヤへそういった。
キリヤは何か言い返したい気持ちになりつつも、実際に優香の言う通りなので、何も言い返せなかった。
何も言えない自分が、実に悔しい――そんなことを優香の笑顔を見ながら思うキリヤだった。
「じゃあ、さっそく君たちの部屋に案内するよ!」
そしてキリヤたちは居住スペースの中へと入っていった。
居住スペースの構造自体は、今までいた保護施設と同じだった。
個室がずらりと並んでいて、廊下のところどころにミニキッチンが配備されている。
「こんなに部屋があるってことはそれだけここで暮らしている人が多いという事ですか?」
キリヤは歩きながら、ゆめかにそう問いかけた。
「いや、ほとんど空室だよ。昔はここに住み込みで働く研究員が多くいたけれど、今は通勤している人ばかりかな。だからここは今、主に『グリム』のメンバーが暮らしているんだ」
「そうなんですね」
「ああ。だからここのメンバーとは仲良くしてやってくれるとありがたいよ。……とキリヤ君はここか」
そしてそんな話をしているとキリヤの部屋に到着した。
「じゃあキリヤ君とは、いったんここでお別れだ。またあとで迎えに行くから」
「わかりました」
「そうだ! 施設から届いた荷物を運んでおいたから、片付けておくといい」
「はい!」
「キリヤ君、一人で大丈夫ですか? 片づけられますか……?」
本気で心配そうな表情をする優香。
「だ、大丈夫だよ! 僕だって、そこまでお子様じゃないんだから!」
「それなら、いいですが……」
そして優香はもう少し先にある女性用の居住スペースへゆめかさんと歩いていった。
それからキリヤが部屋に入ると、施設から運んでもらっていた荷物が置いてあった。
「これ、片付けなくちゃね……。マリアがいてくれたら、すぐ終わるのにな……って、いや。それじゃダメだ! 僕は一人でもちゃんとできるってところを見せないと!」
そしてキリヤは荷解きを始めるのだった。
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