10 / 126
第1章 新人編
第1話ー⑦ 初任務
しおりを挟む
太陽が沈み、空が紺色に変わり始めた頃、キリヤたちは例の墓地に向かった。
「今回はどうするの?」
キリヤは歩きながら、優香に作戦を問う。
「うーん。まだ考え中」
「そっか……」
そしてキリヤたちが墓地の近くまで来ると、裕二の幻影が墓地を彷徨い始めているのが見えた。
「他の誰かが被害にあう前に、僕たちで対処しよう」
キリヤはそう言って一歩踏み出そうとすると、優香がキリヤを静止する。
「待って、あれ! 誰か来る」
優香の言葉を聞き、キリヤはその方へ顔を向けた。
すると、数人の高校生が墓地に訪れていた。
だらしなく着崩された制服を纏い、彼らはずかずかと墓地に入り込んでいる。
その見た目から、素行の悪さがうかがえる。
「何しにこんなところに来たんだろう……」
キリヤたちはその高校生たちの様子を伺うことにした。
***
「ここが噂の肝試しができる墓地だろ? お化けなんてそんなものいるわけねえのに、馬鹿が騒ぎ立てているらしいな」
「俺たちが最強ってところを見せつけてやろうぜ。お化けが出てきても、俺らの能力で一網打尽だぜ」
高校生たちは墓地にずかずかと入り込み、その中心に立つ。
「何にもいねえな。やっぱりお化けなんて、嘘っぱちってこったな」
「ああ。でももしかしたら、俺らに怯えて逃げちまったのかもな! ははは!」
高校生たちは余裕の表情を見せていたが――
「フフフフ……」
突然の笑い声に驚いたのか、きょろきょろ周りを見る男子高校生たち。
「お前、変な声出すんじゃねえよ……」
「いや、俺じゃねえし!」
「じゃ、じゃあ誰が……?」
一人の高校生が振り返ると、
「ボークーダーヨー!!」
真っ白な顔をした子供の姿。
「う、うわあああ! 出たああああ!!」
逃げ惑う高校生たち。そのまま彼らは墓地を後にした。
***
一連の出来事をただ見ていたキリヤたち。
「さすがにあれは自業自得とも言えるわね」
呆れた表情の優香。
確かに優香のいう通りだなとキリヤも頷いた。
「今夜も事件は起こってしまったわけだけど……。解決まではまだ遠い道のりかもしれないわね」
「うん。でも早くなんとかしないと。今は驚かすだけで済んでいるけど、誰かが怪我とかすることになったら、大事になる」
「……そうね。早く解決しなくちゃ。でもどうしたら……」
頭を悩ます優香。
そして今日も事件を解決できないまま、キリヤたちは研究所に戻ったのだった。
研究所の自室に戻ったキリヤは久しぶりにマリアの声が聞きたくなり、マリアに電話をかけた。
『もしもし。どうしたの、キリヤ?』
「久しぶり。どうってことはないけど、元気にしているかなって思って」
『元気。私もみんなも。最近、転入生たちとも打ち解けてきて、楽しくやってるよ。キリヤはお仕事の方はどう? 順調?』
「う、うん……。まあ。そこそこに……」
本当は全く順調ではないけれど、さすがにそんなことは言えないなと思ったキリヤは言葉を濁した。
『……そう。無理せずに頑張って』
(なんとかごまかせたのかな)
「ありがとう、マリア」
『そういえば、言ってなかったけど、能力がなくなったよ』
マリアからの唐突な告白に驚くキリヤ。
「そうなの!?」
『うん』
マリアはとうとう普通の女の子になれたんだ――そう思ったキリヤの目頭は熱くなっていた。
マリアは自分自身の能力でずっと悩んでいた。自分の能力で周りの人間を不幸にしてしまったとずっと自分を責めていたからだ。
マリアにそんなことを思ってはいなかったけれど、マリアだけはずっと胸の中で抱えてきた問題だったはず……。でもマリアはその能力から、ようやく解放された。マリアの幸せをずっと願ってきたキリヤは、兄としてそれがとても嬉しかった。
これからマリアはきっとこれまで以上に幸せになれる――。
「よかったね、マリア。本当に……」
『キリヤが私のお兄ちゃんでいてくれたから、私は頑張れた。ずっと好きでいてくれてありがとう。私もキリヤのこと、ずっと大好きでいるから』
「マリア……」
キリヤはマリアのその言葉に涙ぐむ。
『泣かないでよ。もう大人なんだから』
「うん、そうだね……」
そう言いながら鼻をすするキリヤ。
『じゃあもう切るよ? 明日も仕事でしょ?』
「うん。お兄ちゃん、頑張る! マリアのおかげで明日はうまくいく気がするよ!」
『それは良かった。じゃあ、おやすみなさい』
そしてキリヤたちは通話を終えた。
「よし! 頑張るぞ!!」
マリアと話して、キリヤはこれまで以上に気合を入れた。
翌日。僕らは再びあの街へ。そしてこの日、大きな転機が起こる――。
「今回はどうするの?」
キリヤは歩きながら、優香に作戦を問う。
「うーん。まだ考え中」
「そっか……」
そしてキリヤたちが墓地の近くまで来ると、裕二の幻影が墓地を彷徨い始めているのが見えた。
「他の誰かが被害にあう前に、僕たちで対処しよう」
キリヤはそう言って一歩踏み出そうとすると、優香がキリヤを静止する。
「待って、あれ! 誰か来る」
優香の言葉を聞き、キリヤはその方へ顔を向けた。
すると、数人の高校生が墓地に訪れていた。
だらしなく着崩された制服を纏い、彼らはずかずかと墓地に入り込んでいる。
その見た目から、素行の悪さがうかがえる。
「何しにこんなところに来たんだろう……」
キリヤたちはその高校生たちの様子を伺うことにした。
***
「ここが噂の肝試しができる墓地だろ? お化けなんてそんなものいるわけねえのに、馬鹿が騒ぎ立てているらしいな」
「俺たちが最強ってところを見せつけてやろうぜ。お化けが出てきても、俺らの能力で一網打尽だぜ」
高校生たちは墓地にずかずかと入り込み、その中心に立つ。
「何にもいねえな。やっぱりお化けなんて、嘘っぱちってこったな」
「ああ。でももしかしたら、俺らに怯えて逃げちまったのかもな! ははは!」
高校生たちは余裕の表情を見せていたが――
「フフフフ……」
突然の笑い声に驚いたのか、きょろきょろ周りを見る男子高校生たち。
「お前、変な声出すんじゃねえよ……」
「いや、俺じゃねえし!」
「じゃ、じゃあ誰が……?」
一人の高校生が振り返ると、
「ボークーダーヨー!!」
真っ白な顔をした子供の姿。
「う、うわあああ! 出たああああ!!」
逃げ惑う高校生たち。そのまま彼らは墓地を後にした。
***
一連の出来事をただ見ていたキリヤたち。
「さすがにあれは自業自得とも言えるわね」
呆れた表情の優香。
確かに優香のいう通りだなとキリヤも頷いた。
「今夜も事件は起こってしまったわけだけど……。解決まではまだ遠い道のりかもしれないわね」
「うん。でも早くなんとかしないと。今は驚かすだけで済んでいるけど、誰かが怪我とかすることになったら、大事になる」
「……そうね。早く解決しなくちゃ。でもどうしたら……」
頭を悩ます優香。
そして今日も事件を解決できないまま、キリヤたちは研究所に戻ったのだった。
研究所の自室に戻ったキリヤは久しぶりにマリアの声が聞きたくなり、マリアに電話をかけた。
『もしもし。どうしたの、キリヤ?』
「久しぶり。どうってことはないけど、元気にしているかなって思って」
『元気。私もみんなも。最近、転入生たちとも打ち解けてきて、楽しくやってるよ。キリヤはお仕事の方はどう? 順調?』
「う、うん……。まあ。そこそこに……」
本当は全く順調ではないけれど、さすがにそんなことは言えないなと思ったキリヤは言葉を濁した。
『……そう。無理せずに頑張って』
(なんとかごまかせたのかな)
「ありがとう、マリア」
『そういえば、言ってなかったけど、能力がなくなったよ』
マリアからの唐突な告白に驚くキリヤ。
「そうなの!?」
『うん』
マリアはとうとう普通の女の子になれたんだ――そう思ったキリヤの目頭は熱くなっていた。
マリアは自分自身の能力でずっと悩んでいた。自分の能力で周りの人間を不幸にしてしまったとずっと自分を責めていたからだ。
マリアにそんなことを思ってはいなかったけれど、マリアだけはずっと胸の中で抱えてきた問題だったはず……。でもマリアはその能力から、ようやく解放された。マリアの幸せをずっと願ってきたキリヤは、兄としてそれがとても嬉しかった。
これからマリアはきっとこれまで以上に幸せになれる――。
「よかったね、マリア。本当に……」
『キリヤが私のお兄ちゃんでいてくれたから、私は頑張れた。ずっと好きでいてくれてありがとう。私もキリヤのこと、ずっと大好きでいるから』
「マリア……」
キリヤはマリアのその言葉に涙ぐむ。
『泣かないでよ。もう大人なんだから』
「うん、そうだね……」
そう言いながら鼻をすするキリヤ。
『じゃあもう切るよ? 明日も仕事でしょ?』
「うん。お兄ちゃん、頑張る! マリアのおかげで明日はうまくいく気がするよ!」
『それは良かった。じゃあ、おやすみなさい』
そしてキリヤたちは通話を終えた。
「よし! 頑張るぞ!!」
マリアと話して、キリヤはこれまで以上に気合を入れた。
翌日。僕らは再びあの街へ。そしてこの日、大きな転機が起こる――。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる