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第1章 新人編
第2話ー① 風船少年
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キリヤたちは少しずつ実力をつけて、単独任務に向かうことが増えていた。
そして今日は所長から、次の任務について話がある! と『コール』が入り、キリヤは優香と共に所長室に向かっていたのだった。
「次はどんな任務なんだろうね!」
優香は歩きながら、楽しそうにそう告げる。
「前の任務はなかなか大変だったよね……。僕の能力だけじゃ、きっとどうにもできなかったよ」
「あははは。でも先輩たちの協力もあって、なんとか解決できたからよかったよね!」
「まさかあの任務があんなに大変なことになるなんて、思いもしなかったよね」
「閉じ込められたときのキリヤ君の慌てっぷりは、なかなか面白かったけどね!」
そう言って優香はキリヤの顔を見ながら笑っていた。
そんな優香を見たキリヤは、
「あ、あれはしょうがなかったんだって!!」
慌ててそう返す。
「しょうがなかった、ねえ」
そう言いながら、ニヤニヤする優香。
そう。それは前回の任務のこと――。
「風船になる能力者!?」
キリヤは所長から手渡された資料に目を通し、驚きの声を上げていた。
「ああ。無意識のうちに身体が膨らんでしまって、気が付くと宙を彷徨ってしまうんだとか」
「いやいやいや。膨らみだした時点で、自分の異変に気が付きそうですけど! その時点でどこかに掴んだりとか……」
「まあ、まだ6歳なんだ。だから、そのあたりのことの判断がまだできないのだろう」
「そういうものなんですかね……」
キリヤは呆れながら、所長に告げる。
「とにかく! 君たちには、その風船少年の警護をお願いしたい! それが今回の任務だ!」
「警護ですか?」
今まで救助や保護などの任務が多く、対象の特定がなかったため、今回の任務内容にはキリヤも驚いていた。
「具体的にはどんな警護をすればいいのでしょうか」
キリヤの隣にいた優香は淡々とそう尋ねる。
「少年がどこかに飛んでいかないように傍にいることかな!」
「は、はあ」
そして所長はキリヤたちに概要を説明する。
近々その家ではパーティが開かれるようで、そのパーティの間だけその少年の傍で風船にならないよう見守ってほしいという事だった。
「まあ簡単な任務だし、最近の君たちの活躍は聞いているからね。きっと大丈夫だろう!」
「なるほど」
キリヤは所長の説明に納得し、頷いた。
それを見た所長は、微笑みながら、
「それじゃ、よろしく頼むよ」
キリヤたちにそう告げた。
それからキリヤたちは、任務先の屋敷へと向かった。
任務地に到着したキリヤたちは、目の前の家の大きさに驚愕する。
「お城……?」
何メートルあるのかわからないくらい高い門。そして屋敷まではたくさんの木々が生い茂っており、屋敷がとても小さく見える。
「じゃ、じゃあチャイムを鳴らすよ?」
キリヤは恐る恐る、門に取り付けられた黒いチャイムボタンに触れる。
そしてボタンを押してすぐに、女性の声が聞こえた。
「はい。どちら様ですか」
「あの、研究所から派遣されたものですが……」
キリヤが緊張しながらそう答えると、門は音を立てながらゆっくりと開き、
「お待ちしておりました。どうぞお入りください」
女性は淡々とそう答えた。
「お邪魔します」
そしてキリヤたちは屋敷まで歩き出す。
門から歩くこと15分。キリヤたちはやっと屋敷に到着した。
「奏多の家ももしかしてこんな感じなのかな……」
「あはは……。それは確かにありえそうね」
優香はキリヤの言葉の後に奏多の家を想像したのか、なんだか遠い目をしていた。
でもそうなるよね、うん――。
優香の今の心情に、キリヤはそう思い頷いた。
それからキリヤは、屋敷の扉についていたノブで扉をノックすると、その中から小柄な女性が出てきた。
「ようこそいらっしゃいました。桑島キリヤ様。糸原優香様」
そう言いながら、キリヤたちに深々と頭を下げる女性。
黒のワンピースと白エプロン、そして頭にはレースのついたカチューシャ。これが俗にいう『メイド』さんという存在か――。
キリヤは『メイド』という存在を結衣から勧められたアニメで何度か観たことはあったが、本物を見るのは初めてだった。
「私、今回案内人を務めます、使用人の浜風紗季と申します。以後、お見知り置きを」
「ご丁寧にありがとうございます」「宜しくお願い致します」
キリヤと優香は、互いに頭を下げる。
「それでは、ご主人様のところにご案内いたしますので、私に続いてきてくださいませ」
紗季は顔を上げてからそう言うと、そのまま踵を返して屋敷の中を進んでいった。
そしてキリヤたちは紗季の後ろをついていく。
広々とした廊下を歩きながら、キリヤはその廊下の静けさに緊張していた。
「あの。この家ってこんなに広いのに、なんだか静かですね」
キリヤはその静けさに耐えかねて、紗季にそう尋ねる。
「そうですね。たまに太陽坊ちゃまが一人ではしゃいでおりますが、大体は閑散とした雰囲気ですね」
「そうなんですか……」
僕なら、こんなに広い家で物音一つ聴こえないくらいに静かだと、ちょっと寂しく感じてしまうかもしれないな――。
そんなことを思いつつ、キリヤは歩みを進めた。
「こちらです」
それからキリヤたちは、紗季に言われてその部屋に入る。
その中には、今回の依頼主の御茂山しずるがいた。
「ようこそ、我が屋敷へ」
そう言って、優しく微笑む御茂山だった。
そして今日は所長から、次の任務について話がある! と『コール』が入り、キリヤは優香と共に所長室に向かっていたのだった。
「次はどんな任務なんだろうね!」
優香は歩きながら、楽しそうにそう告げる。
「前の任務はなかなか大変だったよね……。僕の能力だけじゃ、きっとどうにもできなかったよ」
「あははは。でも先輩たちの協力もあって、なんとか解決できたからよかったよね!」
「まさかあの任務があんなに大変なことになるなんて、思いもしなかったよね」
「閉じ込められたときのキリヤ君の慌てっぷりは、なかなか面白かったけどね!」
そう言って優香はキリヤの顔を見ながら笑っていた。
そんな優香を見たキリヤは、
「あ、あれはしょうがなかったんだって!!」
慌ててそう返す。
「しょうがなかった、ねえ」
そう言いながら、ニヤニヤする優香。
そう。それは前回の任務のこと――。
「風船になる能力者!?」
キリヤは所長から手渡された資料に目を通し、驚きの声を上げていた。
「ああ。無意識のうちに身体が膨らんでしまって、気が付くと宙を彷徨ってしまうんだとか」
「いやいやいや。膨らみだした時点で、自分の異変に気が付きそうですけど! その時点でどこかに掴んだりとか……」
「まあ、まだ6歳なんだ。だから、そのあたりのことの判断がまだできないのだろう」
「そういうものなんですかね……」
キリヤは呆れながら、所長に告げる。
「とにかく! 君たちには、その風船少年の警護をお願いしたい! それが今回の任務だ!」
「警護ですか?」
今まで救助や保護などの任務が多く、対象の特定がなかったため、今回の任務内容にはキリヤも驚いていた。
「具体的にはどんな警護をすればいいのでしょうか」
キリヤの隣にいた優香は淡々とそう尋ねる。
「少年がどこかに飛んでいかないように傍にいることかな!」
「は、はあ」
そして所長はキリヤたちに概要を説明する。
近々その家ではパーティが開かれるようで、そのパーティの間だけその少年の傍で風船にならないよう見守ってほしいという事だった。
「まあ簡単な任務だし、最近の君たちの活躍は聞いているからね。きっと大丈夫だろう!」
「なるほど」
キリヤは所長の説明に納得し、頷いた。
それを見た所長は、微笑みながら、
「それじゃ、よろしく頼むよ」
キリヤたちにそう告げた。
それからキリヤたちは、任務先の屋敷へと向かった。
任務地に到着したキリヤたちは、目の前の家の大きさに驚愕する。
「お城……?」
何メートルあるのかわからないくらい高い門。そして屋敷まではたくさんの木々が生い茂っており、屋敷がとても小さく見える。
「じゃ、じゃあチャイムを鳴らすよ?」
キリヤは恐る恐る、門に取り付けられた黒いチャイムボタンに触れる。
そしてボタンを押してすぐに、女性の声が聞こえた。
「はい。どちら様ですか」
「あの、研究所から派遣されたものですが……」
キリヤが緊張しながらそう答えると、門は音を立てながらゆっくりと開き、
「お待ちしておりました。どうぞお入りください」
女性は淡々とそう答えた。
「お邪魔します」
そしてキリヤたちは屋敷まで歩き出す。
門から歩くこと15分。キリヤたちはやっと屋敷に到着した。
「奏多の家ももしかしてこんな感じなのかな……」
「あはは……。それは確かにありえそうね」
優香はキリヤの言葉の後に奏多の家を想像したのか、なんだか遠い目をしていた。
でもそうなるよね、うん――。
優香の今の心情に、キリヤはそう思い頷いた。
それからキリヤは、屋敷の扉についていたノブで扉をノックすると、その中から小柄な女性が出てきた。
「ようこそいらっしゃいました。桑島キリヤ様。糸原優香様」
そう言いながら、キリヤたちに深々と頭を下げる女性。
黒のワンピースと白エプロン、そして頭にはレースのついたカチューシャ。これが俗にいう『メイド』さんという存在か――。
キリヤは『メイド』という存在を結衣から勧められたアニメで何度か観たことはあったが、本物を見るのは初めてだった。
「私、今回案内人を務めます、使用人の浜風紗季と申します。以後、お見知り置きを」
「ご丁寧にありがとうございます」「宜しくお願い致します」
キリヤと優香は、互いに頭を下げる。
「それでは、ご主人様のところにご案内いたしますので、私に続いてきてくださいませ」
紗季は顔を上げてからそう言うと、そのまま踵を返して屋敷の中を進んでいった。
そしてキリヤたちは紗季の後ろをついていく。
広々とした廊下を歩きながら、キリヤはその廊下の静けさに緊張していた。
「あの。この家ってこんなに広いのに、なんだか静かですね」
キリヤはその静けさに耐えかねて、紗季にそう尋ねる。
「そうですね。たまに太陽坊ちゃまが一人ではしゃいでおりますが、大体は閑散とした雰囲気ですね」
「そうなんですか……」
僕なら、こんなに広い家で物音一つ聴こえないくらいに静かだと、ちょっと寂しく感じてしまうかもしれないな――。
そんなことを思いつつ、キリヤは歩みを進めた。
「こちらです」
それからキリヤたちは、紗季に言われてその部屋に入る。
その中には、今回の依頼主の御茂山しずるがいた。
「ようこそ、我が屋敷へ」
そう言って、優しく微笑む御茂山だった。
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