【外伝】 白雪姫症候群 ースノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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第1章 新人編

第3話ー② 異変

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 キリヤたちが部屋に入ると、そこにはつばめと神無月の姿があった。

「2人とも、お疲れさん! 最近の調子はどうだ?」

 神無月はキリヤたちへ陽気に問いかける。

「少しずつですが、できることが増えてきたように感じています! それと、神無月さん……先日はありがとうございました! 危機一髪でしたよ……」

 キリヤは改めて御茂山おもやま邸でのお礼を神無月に伝えた。

「ははは! いいってことよ!! でも、キリヤもよく頑張ったな。実銃なんて初めてだろう? びっくりするよな」
「そうですね、実はあの時、恐怖で身体が動かなくて……。本来なら、僕が何とかするべきことのはずだったのに。自分の未熟さが悔しいです」

 キリヤはその時のことを思い出しながら、自分の未熟さを怒り、両手を強く握りしめていた。

「大丈夫さ、キリヤ。お前はその時のことを思い出して、悔いているんだろう? だとしたら、上出来だ。キリヤはこれからもっと成長できる。だから今回のことはいい経験として、しっかり胸に刻んでおけよ?」

 神無月は笑顔でキリヤにそう告げた。その優しい言葉は、まるでかつての担任教師、暁のようでキリヤは自分の胸がぐっと熱くなるのを感じた。

「ありがとうございます。僕、頑張ります!」
「おう! その意気だ!!」
「まさき、そろそろ時間だ。出かけるぞ」

 つばめはキリヤと神無月の前に立ち、時計を見ながらそう告げた。

「そうか! じゃあ、俺たちも若者に負けないよう、頑張らないとな!」
「行くよ」

 つばめは神無月の言葉を聞き流し、さっさと部屋と出て行った。

「相変わらずクールだねえ」

 そう言いながら、神無月も部屋を出て行った。

 真逆な2人。例えるならそれは『温』と『冷』。それなのになぜコンビを組んでいるのだろうと、キリヤは疑問に思った。

 そして以前、ゆめかから聞いた話を思い出すキリヤ。

『あの2人の息はぴったりで、任務も易々と解決してしまうんだよ』

(タイプが違っても、心は繋がっているってことなのかな)

 そんなことを思いながら、神無月たちが出て行った扉を見つめるキリヤ。

「私たちもあの2人みたいなコンビになりたいね」

 優香はそう言いながらキリヤの隣に来てそう告げた。

「じゃあ優香が体力系の『温』で、僕がクール系の『冷』ってことでいい?」
「え? 何、急に?」
「なんだか神無月さんたちって、『温』と『冷』みたいだなって」
「へえ。私が体力系なのはまあ納得として、キリヤ君のどこに『冷』要素があるのさ! しかもクールって……あ! もしかして氷の能力者だから……とか?」

 笑いながら、優香はそう言った。

「いやいや! 僕も昔は氷の刃みたいに尖っていて、すごくクールな男だったんだよ?」
「あー、はいはい」

 優香は呆れながら、訓練室に向かっていった。

「いや、本当だって!」

 そう言って、キリヤは慌てて優香を追いかけたのだった。



 訓練室。本日はゆめかが出張でいないため、キリヤたちはいつものホログラムを使った訓練ができなかった。しかしそういう時、キリヤと優香は決まってやる訓練があった。

 キリヤと優香はそれぞれ動きやすい服装に着替え、軽く身体をのばしていた。

「キリヤ君、準備はいい?」

 優香は楽しそうに満面の笑みでキリヤに告げる。

「うん! 今日は負けないよ!」

 そしてキリヤたちは訓練室の両端でお互いを向かい合って立ち、構えのポーズを取る。

「じゃあ行くよ?」

 そう言って、優香はキリヤに向かって走り出した。

 優香が自分に向かってくるまでの時間を利用し、キリヤはその場に右膝をつくとそのまま両手を地面につけた。

 そしてキリヤは勢いよく走る優香の足元に氷を展開する。

「いつもそればっかりね!」

 そう言って、優香は左手を天に向ける。すると、その手から出された蜘蛛の糸を天井に着けて宙を舞った。

 キリヤはそんな優香の姿を見つめながら、額に汗をかいた。

「そういえば、そんなこともできたっけ」

 優香はそのままキリヤの目の前に飛び降りる。

「接近戦なら、私は負けないよ?」

 そう言うと、優香は勢いよくキリヤに拳を振るう。

 キリヤはその拳を交わし、間合いを取った。

「少しは成長しているみたいだね」
「僕だって、いつまでも子供じゃないよ」

 キリヤは優香を見つめながら、そう言った。

「そうこなくちゃ。……隊長の秘密特訓が利いているみたいだね!!」

 そして再び優香はキリヤ目掛け、拳を振るった。

 先ほどよりも勢いのあるその拳をキリヤは避けられず、もろに食らってしまう。

「……!」

 倒れそうになる身体を必死に支え、キリヤは何とか踏みとどまった。

「これで倒れないか……。うん。すごいよ、キリヤ君!」
「無傷で、しかも息切れもしていない優香にそれを言われるとなんだか複雑な気持ちなんだけど……」

 キリヤは少々むくれながら、そう答えた。

「いやいやいや。本心だよ? 本当にすごいなって感心したんだって!」
「ううう」
「じゃあ、続けよう。せっかく訓練室に来たんだからさ! 今度の任務の為にもね?」
「わかった……」

 それからキリヤたちは、気が済むまで訓練を続けたのだった。
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