31 / 126
第1章 新人編
第3話ー⑨ 異変
しおりを挟む
キリヤたちがミーティングルームに着くと、そこには所長の姿があった。
「何かあったんですか?」
キリヤは所長の顔を見るなり、そう問いかけた。
「ああ。まずいことになった。君たちが確保した能力者の少年が、警察署から逃げ出したらしい」
「え……」「そんな!」
所長の言葉を聞き、驚愕の表情をするキリヤと優香。
「それで、また君たちにその子を捕まえてほしいんだ。能力がわかっている君たちの方が、他の隊員を向かわせるよりもリスクは少ないだろう」
「そうですが……」
そう言ってキリヤは優香の方を見る。
確かに戻って来た時の優香よりは元気を取り戻している。でも優香の中にあるスライムがまたいつ牙をむくかなんてわからない――。
キリヤはそんな優香を連れて行くのは、正直不安だった。
もしも優香に何かあったら――。
そう思って暗い表情をするキリヤ。
そして優香はそんなキリヤの気持ちを察したのか、
「私なら大丈夫だから。だから信じて、ね?」
と微笑みながらそう言った。
「優香……」
そうだよ。僕は優香を信じる。そう約束したじゃないか――!
「うん、わかった。僕は優香を信じるよ」
キリヤはそう言って優香に向かって強く頷いてから、所長の方に顔を向ける。
「所長、行きます! 今すぐにでも!」
「ありがとう。面倒をかけてすまないね。車は入り口に着けてあるから、急いで向かってくれ!」
「「はい!」」
そしてキリヤたちは再びあの街へと向かった。
***
ビルの屋上。そこには不敵に笑う少年の姿があった。
「ふふふ。さて、仕返しは倍返しでしなくちゃね」
そう言ってから少年は屋上の扉を出て行った。
***
キリヤたちは再びあの街に着くと、時刻は午前3時を過ぎていた。
「大丈夫かい? 移動時間で少しでも休めたのならいいけれど……」
八雲は心配そうにキリヤたちの顔を見ながらそう告げた。
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。八雲さんもずっと運転で疲れていると思うので、ここでゆっくりと休んでいてください! 必ずあの少年を捕まえて、戻ってきますから」
キリヤが笑顔でそう告げると、
「ははは。心配したつもりだったのに、逆に心配されるなんてね。ありがとう。君たちが無事に帰ってくるのを僕はここで信じて待っているからね。だからくれぐれも気をつけるんだよ」
八雲はキリヤたちの方をまっすぐに見てそう言った。
「はい!」「わかりました」
そしてキリヤと優香は、スライム少年を探しに出る。
深夜の街中を歩くキリヤたち。
「探すって言っても、あてがないんじゃ……。どうする、優香?」
キリヤがそう言って優香の方を向くと、優香は額に手を当ててふらつきながら歩いていた。
「優香!? やっぱり、調子が悪いんじゃ……」
そう言いながら優香の肩を抱き、優香の身体を支えるキリヤ。
「大丈夫、大丈夫……。そんなに大げさなもんじゃないからさ。……さあ行こう。早く解決しないと、また誰かが傷つくことになる」
優香はそう言ってキリヤの手を振りほどくと、再び歩き出した。
「うん。わかった……」
君は大丈夫って言うけどさ、やっぱり心配だよ――そう思いながら、キリヤもまた歩き出した。
それからまたしばらく歩くと、優香は突然真っ暗なビルの前で止まり、じっと中を見つめた。
「優香、どうしたの?」
そんな優香に疑問を抱いたキリヤは、優香の見ているところに視線を向けて優香に問う。
「ここ、かもしれない……」
優香は静かにそう言った。
「それって少年の居場所ってこと……?」
「うん。なぜかわからないけれど、でもここだってわかるんだ」
「え……」
これはもしかして優香の中にあるスライムが、元の能力者である少年に反応しているのだろうか――。
そんなことを思いつつ、優香とビルを交互に見つめるキリヤ。
そして優香は一人でビルの中に入っていく。
「待って!!」
キリヤは優香を追い、遅れながらもビルの中に入っていった。
「何かあったんですか?」
キリヤは所長の顔を見るなり、そう問いかけた。
「ああ。まずいことになった。君たちが確保した能力者の少年が、警察署から逃げ出したらしい」
「え……」「そんな!」
所長の言葉を聞き、驚愕の表情をするキリヤと優香。
「それで、また君たちにその子を捕まえてほしいんだ。能力がわかっている君たちの方が、他の隊員を向かわせるよりもリスクは少ないだろう」
「そうですが……」
そう言ってキリヤは優香の方を見る。
確かに戻って来た時の優香よりは元気を取り戻している。でも優香の中にあるスライムがまたいつ牙をむくかなんてわからない――。
キリヤはそんな優香を連れて行くのは、正直不安だった。
もしも優香に何かあったら――。
そう思って暗い表情をするキリヤ。
そして優香はそんなキリヤの気持ちを察したのか、
「私なら大丈夫だから。だから信じて、ね?」
と微笑みながらそう言った。
「優香……」
そうだよ。僕は優香を信じる。そう約束したじゃないか――!
「うん、わかった。僕は優香を信じるよ」
キリヤはそう言って優香に向かって強く頷いてから、所長の方に顔を向ける。
「所長、行きます! 今すぐにでも!」
「ありがとう。面倒をかけてすまないね。車は入り口に着けてあるから、急いで向かってくれ!」
「「はい!」」
そしてキリヤたちは再びあの街へと向かった。
***
ビルの屋上。そこには不敵に笑う少年の姿があった。
「ふふふ。さて、仕返しは倍返しでしなくちゃね」
そう言ってから少年は屋上の扉を出て行った。
***
キリヤたちは再びあの街に着くと、時刻は午前3時を過ぎていた。
「大丈夫かい? 移動時間で少しでも休めたのならいいけれど……」
八雲は心配そうにキリヤたちの顔を見ながらそう告げた。
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。八雲さんもずっと運転で疲れていると思うので、ここでゆっくりと休んでいてください! 必ずあの少年を捕まえて、戻ってきますから」
キリヤが笑顔でそう告げると、
「ははは。心配したつもりだったのに、逆に心配されるなんてね。ありがとう。君たちが無事に帰ってくるのを僕はここで信じて待っているからね。だからくれぐれも気をつけるんだよ」
八雲はキリヤたちの方をまっすぐに見てそう言った。
「はい!」「わかりました」
そしてキリヤと優香は、スライム少年を探しに出る。
深夜の街中を歩くキリヤたち。
「探すって言っても、あてがないんじゃ……。どうする、優香?」
キリヤがそう言って優香の方を向くと、優香は額に手を当ててふらつきながら歩いていた。
「優香!? やっぱり、調子が悪いんじゃ……」
そう言いながら優香の肩を抱き、優香の身体を支えるキリヤ。
「大丈夫、大丈夫……。そんなに大げさなもんじゃないからさ。……さあ行こう。早く解決しないと、また誰かが傷つくことになる」
優香はそう言ってキリヤの手を振りほどくと、再び歩き出した。
「うん。わかった……」
君は大丈夫って言うけどさ、やっぱり心配だよ――そう思いながら、キリヤもまた歩き出した。
それからまたしばらく歩くと、優香は突然真っ暗なビルの前で止まり、じっと中を見つめた。
「優香、どうしたの?」
そんな優香に疑問を抱いたキリヤは、優香の見ているところに視線を向けて優香に問う。
「ここ、かもしれない……」
優香は静かにそう言った。
「それって少年の居場所ってこと……?」
「うん。なぜかわからないけれど、でもここだってわかるんだ」
「え……」
これはもしかして優香の中にあるスライムが、元の能力者である少年に反応しているのだろうか――。
そんなことを思いつつ、優香とビルを交互に見つめるキリヤ。
そして優香は一人でビルの中に入っていく。
「待って!!」
キリヤは優香を追い、遅れながらもビルの中に入っていった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる