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第2章 魔女たちの暗躍編
第3話ー③ 毒リンゴの力
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とある研究施設内。そこには政府が極秘で管理している『エヴィル・クイーン』と呼ばれる組織があり、その施設内では『エヴィル・クイーン』に属する子供たちが生活していた。
「キキ。お前、あのガキをどうするつもりだ?」
目の前にいる奇抜な服装の少女にそう言うのは、ツンツン頭の目つきが鋭い少年。
「ローレンスには関係ないでしょう? せっかく面白いことを思いついたんですから」
「面白いことって……相変わらず、性格悪いなあ。お前もそう思うだろう、ほたる?」
ほたると呼ばれた少年は無表情のままこくっと頷いた。
「はいぃ? ほたるまでそれを言っちゃいますか?」
「ははは! ほたるがそう言うなら、お前はやっぱり性格最悪ってことだな!」
ローレンスはキキに向かって挑発的にそう言った。
「最悪とまでは言ってないじゃないですか! ローレンス、いい機会だから私の実力の方が上ってことを証明しましょうか?」
キキはそう言いながら、手のひらに冷気を溜める。
「いいぜ。天気《ウェザー》になんて、俺の力は負けないからなあ」
そう言ってローレンスは腕まくりをする。それからにらみ合う2人。
「喧嘩はダメ。魔女様が困るから」
ほたるは表情を変えず、淡々と2人にそう告げた。
「で、でもよ!」
「じゃあ僕と戦う?」
ほたるが無表情でローレンスにそう言うと、そんなほたるに怖気づいたローレンスは一歩後ずさった。
「悪かったよ……」
「うん。わかったならいい」
「まあ今のローレンスじゃ、本気のほたるには敵わないですしね。ま、私もですけど」
キキがそう言うと、ローレンスはキキの顔を睨みつける。
「あー、怖い怖い」
キキは呆れながら、ローレンスにそう言った。
「キキ、てめぇ――!」
「まだ、続けるの?」
ほたるは手のひらに電気を走らせ、キキとローレンスを交互に見ながらそう言った。
「もうしないから! だからビリビリはやめてくださいって! そんなんじゃ、お友達がいなくなりますよ!!」
「僕、友達いないから……」
しゅんとするほたる。
「あ、なんか……ごめんね」
キキはそう言って申し訳なさそうな顔をした。
「うふふ。相変わらず、3人は仲良しみたいねえ」
突然聞こえたその声にほたるは驚いてびくっとするが、その顔はすぐ笑顔になり「魔女様!!」と言って現れた女性に跪く。
それからキキとローレンスもほたるに続いて、『魔女様』と呼ばれた女性の前で跪いた。
「うふ。いい子たちね……」
そう言ってにこりと微笑む魔女。
「魔女様、今日はどうしたんですか!」
ほたるは嬉しそうに魔女へ問う。
「ええ、キキが連れてきた子供を見に来たの」
「そう、ですか……」
そう言って、しゅんとするほたる。
「それと、ほたるたちの顔を見に来たのよ」
それを聞いたほたるの顔がぱあっと明るくなり、
「あ、ありがとうございます!」
笑顔でそう答えた。
「じゃあ、キキ。案内してくれる?」
「はい。かしこまりました」
そう言って、キキと魔女は部屋を出て行った。
「ふう。緊張した……ほたるは相変わらずみたいだな」
ローレンスはそう言いながら、ほたるの方を向く。
するとほたるは魔女たちが出て行った扉をうっとりと眺めたまま、何も発することもなく佇んでいた。
「聞いてるか、ほたるー?」
「うん。聞いてる」
「お前って、本当に魔女様のことが好きだよな」
ローレンスはやれやれという顔でほたるにそう言った。
「うん。僕は魔女様の為なら、どんなことだってするよ。僕の心も体も全て魔女様のものだからね」
そう言って、満面の笑みをするほたる。その笑顔はとても狂気じみていた。
ローレンスはその笑顔を見て少しぞっとすると、
「ほどほどにしておけよ……」
ほたるにそう告げたのだった。
***
廊下にて――。
部屋を出たキキと魔女は、連れてきた少年の元へと向かっていた。
「それで、その子の決め手は何だったのかしら?」
魔女は歩きながら、隣にいるキキに尋ねる。
「復讐心……ですね。ものすごい憎悪の感情を抱いていたので、これは期待できるかなと思って」
魔女は顎に手を当てて、
「うーん。復讐心か……」
そう答えた。
「何かあるのですか?」
キキはそんな魔女の顔を覗き込むように尋ねる。
「前にも復讐心に期待して、開発中の薬で実験した子がいたんだけど……結局、自分の復讐心を制御できなくなって暴走してしまったのよね」
「それって、あの施設に弟がいるって言っていたあの人のことですか?」
「ええ。それに今はその子も研究所の……『グリム』の連中に捕らえられてしまった……」
「厄介ですよね。『グリム』の連中もあの施設の教師も。やろうと思えばいつでも潰せるのに、残しているのはなぜなのでしょうか?」
キキは不思議そうな顔を魔女に問う。
「うふふ。まだその時じゃないからよ……」
そう言いながら、魔女は不敵に笑う。
「その時?」
「ええ。だからもう少しの辛抱ね。私達の――いえ。低級能力者たちの願いを叶えるまでは頑張りましょう、キキ?」
「はい!」
そして2人は『実験ルーム』と書かれた部屋の中へと消えていったのだった。
「キキ。お前、あのガキをどうするつもりだ?」
目の前にいる奇抜な服装の少女にそう言うのは、ツンツン頭の目つきが鋭い少年。
「ローレンスには関係ないでしょう? せっかく面白いことを思いついたんですから」
「面白いことって……相変わらず、性格悪いなあ。お前もそう思うだろう、ほたる?」
ほたると呼ばれた少年は無表情のままこくっと頷いた。
「はいぃ? ほたるまでそれを言っちゃいますか?」
「ははは! ほたるがそう言うなら、お前はやっぱり性格最悪ってことだな!」
ローレンスはキキに向かって挑発的にそう言った。
「最悪とまでは言ってないじゃないですか! ローレンス、いい機会だから私の実力の方が上ってことを証明しましょうか?」
キキはそう言いながら、手のひらに冷気を溜める。
「いいぜ。天気《ウェザー》になんて、俺の力は負けないからなあ」
そう言ってローレンスは腕まくりをする。それからにらみ合う2人。
「喧嘩はダメ。魔女様が困るから」
ほたるは表情を変えず、淡々と2人にそう告げた。
「で、でもよ!」
「じゃあ僕と戦う?」
ほたるが無表情でローレンスにそう言うと、そんなほたるに怖気づいたローレンスは一歩後ずさった。
「悪かったよ……」
「うん。わかったならいい」
「まあ今のローレンスじゃ、本気のほたるには敵わないですしね。ま、私もですけど」
キキがそう言うと、ローレンスはキキの顔を睨みつける。
「あー、怖い怖い」
キキは呆れながら、ローレンスにそう言った。
「キキ、てめぇ――!」
「まだ、続けるの?」
ほたるは手のひらに電気を走らせ、キキとローレンスを交互に見ながらそう言った。
「もうしないから! だからビリビリはやめてくださいって! そんなんじゃ、お友達がいなくなりますよ!!」
「僕、友達いないから……」
しゅんとするほたる。
「あ、なんか……ごめんね」
キキはそう言って申し訳なさそうな顔をした。
「うふふ。相変わらず、3人は仲良しみたいねえ」
突然聞こえたその声にほたるは驚いてびくっとするが、その顔はすぐ笑顔になり「魔女様!!」と言って現れた女性に跪く。
それからキキとローレンスもほたるに続いて、『魔女様』と呼ばれた女性の前で跪いた。
「うふ。いい子たちね……」
そう言ってにこりと微笑む魔女。
「魔女様、今日はどうしたんですか!」
ほたるは嬉しそうに魔女へ問う。
「ええ、キキが連れてきた子供を見に来たの」
「そう、ですか……」
そう言って、しゅんとするほたる。
「それと、ほたるたちの顔を見に来たのよ」
それを聞いたほたるの顔がぱあっと明るくなり、
「あ、ありがとうございます!」
笑顔でそう答えた。
「じゃあ、キキ。案内してくれる?」
「はい。かしこまりました」
そう言って、キキと魔女は部屋を出て行った。
「ふう。緊張した……ほたるは相変わらずみたいだな」
ローレンスはそう言いながら、ほたるの方を向く。
するとほたるは魔女たちが出て行った扉をうっとりと眺めたまま、何も発することもなく佇んでいた。
「聞いてるか、ほたるー?」
「うん。聞いてる」
「お前って、本当に魔女様のことが好きだよな」
ローレンスはやれやれという顔でほたるにそう言った。
「うん。僕は魔女様の為なら、どんなことだってするよ。僕の心も体も全て魔女様のものだからね」
そう言って、満面の笑みをするほたる。その笑顔はとても狂気じみていた。
ローレンスはその笑顔を見て少しぞっとすると、
「ほどほどにしておけよ……」
ほたるにそう告げたのだった。
***
廊下にて――。
部屋を出たキキと魔女は、連れてきた少年の元へと向かっていた。
「それで、その子の決め手は何だったのかしら?」
魔女は歩きながら、隣にいるキキに尋ねる。
「復讐心……ですね。ものすごい憎悪の感情を抱いていたので、これは期待できるかなと思って」
魔女は顎に手を当てて、
「うーん。復讐心か……」
そう答えた。
「何かあるのですか?」
キキはそんな魔女の顔を覗き込むように尋ねる。
「前にも復讐心に期待して、開発中の薬で実験した子がいたんだけど……結局、自分の復讐心を制御できなくなって暴走してしまったのよね」
「それって、あの施設に弟がいるって言っていたあの人のことですか?」
「ええ。それに今はその子も研究所の……『グリム』の連中に捕らえられてしまった……」
「厄介ですよね。『グリム』の連中もあの施設の教師も。やろうと思えばいつでも潰せるのに、残しているのはなぜなのでしょうか?」
キキは不思議そうな顔を魔女に問う。
「うふふ。まだその時じゃないからよ……」
そう言いながら、魔女は不敵に笑う。
「その時?」
「ええ。だからもう少しの辛抱ね。私達の――いえ。低級能力者たちの願いを叶えるまでは頑張りましょう、キキ?」
「はい!」
そして2人は『実験ルーム』と書かれた部屋の中へと消えていったのだった。
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