【外伝】 白雪姫症候群 ースノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

文字の大きさ
53 / 126
第2章 魔女たちの暗躍編

第3話ー③ 毒リンゴの力

しおりを挟む
 とある研究施設内。そこには政府が極秘で管理している『エヴィル・クイーン』と呼ばれる組織があり、その施設内では『エヴィル・クイーン』に属する子供たちが生活していた。

「キキ。お前、あのガキをどうするつもりだ?」

 目の前にいる奇抜な服装の少女にそう言うのは、ツンツン頭の目つきが鋭い少年。 

「ローレンスには関係ないでしょう? せっかく面白いことを思いついたんですから」
「面白いことって……相変わらず、性格悪いなあ。お前もそう思うだろう、ほたる?」

 ほたると呼ばれた少年は無表情のままこくっと頷いた。

「はいぃ? ほたるまでそれを言っちゃいますか?」
「ははは! ほたるがそう言うなら、お前はやっぱり性格最悪ってことだな!」

 ローレンスはキキに向かって挑発的にそう言った。

「最悪とまでは言ってないじゃないですか! ローレンス、いい機会だから私の実力の方が上ってことを証明しましょうか?」

 キキはそう言いながら、手のひらに冷気を溜める。

「いいぜ。天気《ウェザー》になんて、俺の力は負けないからなあ」

 そう言ってローレンスは腕まくりをする。それからにらみ合う2人。

「喧嘩はダメ。魔女様が困るから」

 ほたるは表情を変えず、淡々と2人にそう告げた。

「で、でもよ!」
「じゃあ僕と戦う?」

 ほたるが無表情でローレンスにそう言うと、そんなほたるに怖気づいたローレンスは一歩後ずさった。

「悪かったよ……」
「うん。わかったならいい」
「まあ今のローレンスじゃ、本気のほたるには敵わないですしね。ま、私もですけど」

 キキがそう言うと、ローレンスはキキの顔を睨みつける。

「あー、怖い怖い」

 キキは呆れながら、ローレンスにそう言った。

「キキ、てめぇ――!」
「まだ、続けるの?」

 ほたるは手のひらに電気を走らせ、キキとローレンスを交互に見ながらそう言った。

「もうしないから! だからビリビリはやめてくださいって! そんなんじゃ、お友達がいなくなりますよ!!」
「僕、友達いないから……」

 しゅんとするほたる。

「あ、なんか……ごめんね」

 キキはそう言って申し訳なさそうな顔をした。

「うふふ。相変わらず、3人は仲良しみたいねえ」

 突然聞こえたその声にほたるは驚いてびくっとするが、その顔はすぐ笑顔になり「魔女様!!」と言って現れた女性に跪く。

 それからキキとローレンスもほたるに続いて、『魔女様』と呼ばれた女性の前で跪いた。

「うふ。いい子たちね……」

 そう言ってにこりと微笑む魔女。

「魔女様、今日はどうしたんですか!」

 ほたるは嬉しそうに魔女へ問う。

「ええ、キキが連れてきた子供を見に来たの」
「そう、ですか……」

 そう言って、しゅんとするほたる。

「それと、ほたるたちの顔を見に来たのよ」

 それを聞いたほたるの顔がぱあっと明るくなり、

「あ、ありがとうございます!」

 笑顔でそう答えた。

「じゃあ、キキ。案内してくれる?」
「はい。かしこまりました」

 そう言って、キキと魔女は部屋を出て行った。

「ふう。緊張した……ほたるは相変わらずみたいだな」

 ローレンスはそう言いながら、ほたるの方を向く。

 するとほたるは魔女たちが出て行った扉をうっとりと眺めたまま、何も発することもなく佇んでいた。

「聞いてるか、ほたるー?」
「うん。聞いてる」
「お前って、本当に魔女様のことが好きだよな」

 ローレンスはやれやれという顔でほたるにそう言った。

「うん。僕は魔女様の為なら、どんなことだってするよ。僕の心も体も全て魔女様のものだからね」

 そう言って、満面の笑みをするほたる。その笑顔はとても狂気じみていた。

 ローレンスはその笑顔を見て少しぞっとすると、

「ほどほどにしておけよ……」

 ほたるにそう告げたのだった。


 ***


 廊下にて――。

 部屋を出たキキと魔女は、連れてきた少年の元へと向かっていた。

「それで、その子の決め手は何だったのかしら?」

 魔女は歩きながら、隣にいるキキに尋ねる。

「復讐心……ですね。ものすごい憎悪の感情を抱いていたので、これは期待できるかなと思って」

 魔女は顎に手を当てて、

「うーん。復讐心か……」

 そう答えた。

「何かあるのですか?」

 キキはそんな魔女の顔を覗き込むように尋ねる。


「前にも復讐心に期待して、開発中の薬で実験した子がいたんだけど……結局、自分の復讐心を制御できなくなって暴走してしまったのよね」

「それって、あの施設に弟がいるって言っていたあの人のことですか?」

「ええ。それに今はその子も研究所の……『グリム』の連中に捕らえられてしまった……」

「厄介ですよね。『グリム』の連中もあの施設の教師も。やろうと思えばいつでも潰せるのに、残しているのはなぜなのでしょうか?」


 キキは不思議そうな顔を魔女に問う。

「うふふ。まだその時じゃないからよ……」

 そう言いながら、魔女は不敵に笑う。

「その時?」
「ええ。だからもう少しの辛抱ね。私達の――いえ。低級能力者たちの願いを叶えるまでは頑張りましょう、キキ?」
「はい!」

 そして2人は『実験ルーム』と書かれた部屋の中へと消えていったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...