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第3章 完結編
第4話ー③ その始まりを知って
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「晩御飯だけじゃなく、まさか寝床まで用意してもらえるなんて……」
そう思いながら、客間の床に寝転がるキリヤ。
「お腹いっぱいだし、今夜はもう――」
そしてキリヤははっとして身体を起こした。
「違うだろ!? 僕はここに『ゼンシンノウリョクシャ』のことを調べに来たんだって!!」
それからキリヤは部屋を出て、神主を探した。
そしてキリヤが居間に行くと、そこには環奈と環奈の母の姿があった。
「あれ、キリヤ君? もう寝ちゃったのかと思ったよ」
キリヤを見つけた環奈はそう言って微笑んだ。
「ああ、うん。ここへ来た目的を思い出して……神主さんは?」
「たぶん神社の方かな。やりたいことがあるからって言ってたし」
「わかった。ありがとう」
そしてキリヤは神社の境内へと向かった。
「あ、いた……」
キリヤは神社の境内を見つめている神主の元へと歩み寄った。
「キリヤ君。どうしたんだい?」
「いえ、ここへ来た目的を思い出して……何、していたんですか?」
「ああ、ちょっと昔のことを思い出していた」
そう言って遠くを見る神主。
「昔の事?」
「ああ。篤志がここにいて、それともう2人……子供がいてね」
「子供……」
そういえば、環奈のお母さんもさっき『昔は賑やかだった』って言っていたっけ――
そう思いながら、キリヤは神主を見つめる。
「1人はここを出て、結婚して子供ができたって連絡をもらっていたんだが、もう1人はいつの間にかいなくなっていたんだよ」
「そう、なんですか。……結局その子は、見つかったんですか?」
「いや。どこを探しても見つからなくてね……でも、きっとどこかで幸せに暮らしているって信じているんだ」
そう言って悲しそうに笑う神主。
「何か特徴があれば、僕も探すのを手伝います! 僕の問題が解決した後にはなるかもしれないですが」
「ははは! ありがとう。嬉しいよ! じゃあその時はお願いしようかな」
「はい!」
満面の笑みで頷くキリヤ。
「それでここへ来た目的だったね。確か、『白雪姫症候群』のことを教えてもらいに来たって」
「そうでした! ――あの、教えてもらえませんか? 『白雪姫症候群』のこと」
「わかった。じゃあ私の部屋にきてくれ」
それからキリヤは神主の後ろを着いていったのだった。
神主の部屋にて――
「そこに座ってくれるかい」
「あ、はい」
キリヤは神主にそう言われて、床に座る。
「どこから話せばいいのかな……うーん」
そう言って神主は腕を組んで首をひねっていた。
「わかることを全て教えてほしいんです。僕は、何も知らないから」
キリヤは神主の顔をまっすぐに見てそう言った。
「わかった――」
そして神主は語り始めた。
神主の家系は200年以上も続いている特殊な力を持つ一族で、その特殊な力というのが、現代では『白雪姫症候群』と呼ばれているものだった。
「え、そんなに前から『白雪姫症候群』ってあったんですか?」
「いや。そうだけど、そうじゃない。元々は私達一族だけが使える能力だった」
「そう、なんですか」
「そして約20年前、この力は私達一族以外の子供たちが使える力になった」
僕もその話のことだけは知っていた。教科書にも載っているようなことだったし、『ゼンシンノウリョクシャ』について調べた時にも目にしていたから――
「その当時、私はまだ20歳くらいで先代の神主――私の父と共にその原因を探ったんだ」
「それで、わかったんですか?」
キリヤは息をのんでそう尋ねると、
「ああ。どうやらこの力は未来から送り込まれていて、私達一族の能力に少しだけ手を加えたものだったんだ」
キリヤの顔をまっすぐに見て、神主はそう言った。
「み、未来から!?」
そう言って、目を丸くするキリヤ。
「ははは! 驚くのも無理はないな。でも、先代の『ツカサドルモノ』という力を使って、その力の根源を見たんだよ。私たちの子孫が力を悪用するためにこの力を売り込んだことがすべての始まりだ」
「悪用するために!? 何でそんなことを!!」
「それはわからない。でもそれが原因で『白雪姫症候群』と呼ばれる力が生まれた」
「え……」
でも始まりが未来なのに、なんで今の時代に影響が及んでいるんだろう――
そんなことを疑問に思うキリヤ。
「何か引っかかることがあるみたいだね」
「はい。どうして未来での出来事が今に影響しているのかなって」
「ああ、それは――」
神主は自分の見たものをキリヤに話す。
神主の見た未来では、能力者のための学び舎があり、そこでは大勢の子供たちがその学び舎で能力者のための教育を受けていた。
そしてなぜかそこにいた数人の子供たちが持った力を使って現代へやって来て、能力覚醒のための種を蒔いたということだった。
「ここにある世界はここだけじゃなく、いくつもの世界のうちの一つなんだよ。何度も同じことを繰り返していくうちに、今の世界が出来上がったんだと思う。それが今に影響していることの答えなんじゃないかなと」
「じゃあもしかして、この世界とは違った道を進んでいる世界もあると」
「そうだ。未来から能力を持ち込まれずに、子供たちが普通に生きている世界もあるだろうね」
「その子供たちがここの世界に来なければ……」
そう呟き、キリヤは拳を握る。
優香はお母さんを殺めることもなかっただろうし、きっと前にいた学校のクラスメイトとのわだかまりも……すべてはその子供たちのせいで――
「そういうことだ。そしてその力を持ちこんだ子供の一人が……桐谷篤志だ」
そう思いながら、客間の床に寝転がるキリヤ。
「お腹いっぱいだし、今夜はもう――」
そしてキリヤははっとして身体を起こした。
「違うだろ!? 僕はここに『ゼンシンノウリョクシャ』のことを調べに来たんだって!!」
それからキリヤは部屋を出て、神主を探した。
そしてキリヤが居間に行くと、そこには環奈と環奈の母の姿があった。
「あれ、キリヤ君? もう寝ちゃったのかと思ったよ」
キリヤを見つけた環奈はそう言って微笑んだ。
「ああ、うん。ここへ来た目的を思い出して……神主さんは?」
「たぶん神社の方かな。やりたいことがあるからって言ってたし」
「わかった。ありがとう」
そしてキリヤは神社の境内へと向かった。
「あ、いた……」
キリヤは神社の境内を見つめている神主の元へと歩み寄った。
「キリヤ君。どうしたんだい?」
「いえ、ここへ来た目的を思い出して……何、していたんですか?」
「ああ、ちょっと昔のことを思い出していた」
そう言って遠くを見る神主。
「昔の事?」
「ああ。篤志がここにいて、それともう2人……子供がいてね」
「子供……」
そういえば、環奈のお母さんもさっき『昔は賑やかだった』って言っていたっけ――
そう思いながら、キリヤは神主を見つめる。
「1人はここを出て、結婚して子供ができたって連絡をもらっていたんだが、もう1人はいつの間にかいなくなっていたんだよ」
「そう、なんですか。……結局その子は、見つかったんですか?」
「いや。どこを探しても見つからなくてね……でも、きっとどこかで幸せに暮らしているって信じているんだ」
そう言って悲しそうに笑う神主。
「何か特徴があれば、僕も探すのを手伝います! 僕の問題が解決した後にはなるかもしれないですが」
「ははは! ありがとう。嬉しいよ! じゃあその時はお願いしようかな」
「はい!」
満面の笑みで頷くキリヤ。
「それでここへ来た目的だったね。確か、『白雪姫症候群』のことを教えてもらいに来たって」
「そうでした! ――あの、教えてもらえませんか? 『白雪姫症候群』のこと」
「わかった。じゃあ私の部屋にきてくれ」
それからキリヤは神主の後ろを着いていったのだった。
神主の部屋にて――
「そこに座ってくれるかい」
「あ、はい」
キリヤは神主にそう言われて、床に座る。
「どこから話せばいいのかな……うーん」
そう言って神主は腕を組んで首をひねっていた。
「わかることを全て教えてほしいんです。僕は、何も知らないから」
キリヤは神主の顔をまっすぐに見てそう言った。
「わかった――」
そして神主は語り始めた。
神主の家系は200年以上も続いている特殊な力を持つ一族で、その特殊な力というのが、現代では『白雪姫症候群』と呼ばれているものだった。
「え、そんなに前から『白雪姫症候群』ってあったんですか?」
「いや。そうだけど、そうじゃない。元々は私達一族だけが使える能力だった」
「そう、なんですか」
「そして約20年前、この力は私達一族以外の子供たちが使える力になった」
僕もその話のことだけは知っていた。教科書にも載っているようなことだったし、『ゼンシンノウリョクシャ』について調べた時にも目にしていたから――
「その当時、私はまだ20歳くらいで先代の神主――私の父と共にその原因を探ったんだ」
「それで、わかったんですか?」
キリヤは息をのんでそう尋ねると、
「ああ。どうやらこの力は未来から送り込まれていて、私達一族の能力に少しだけ手を加えたものだったんだ」
キリヤの顔をまっすぐに見て、神主はそう言った。
「み、未来から!?」
そう言って、目を丸くするキリヤ。
「ははは! 驚くのも無理はないな。でも、先代の『ツカサドルモノ』という力を使って、その力の根源を見たんだよ。私たちの子孫が力を悪用するためにこの力を売り込んだことがすべての始まりだ」
「悪用するために!? 何でそんなことを!!」
「それはわからない。でもそれが原因で『白雪姫症候群』と呼ばれる力が生まれた」
「え……」
でも始まりが未来なのに、なんで今の時代に影響が及んでいるんだろう――
そんなことを疑問に思うキリヤ。
「何か引っかかることがあるみたいだね」
「はい。どうして未来での出来事が今に影響しているのかなって」
「ああ、それは――」
神主は自分の見たものをキリヤに話す。
神主の見た未来では、能力者のための学び舎があり、そこでは大勢の子供たちがその学び舎で能力者のための教育を受けていた。
そしてなぜかそこにいた数人の子供たちが持った力を使って現代へやって来て、能力覚醒のための種を蒔いたということだった。
「ここにある世界はここだけじゃなく、いくつもの世界のうちの一つなんだよ。何度も同じことを繰り返していくうちに、今の世界が出来上がったんだと思う。それが今に影響していることの答えなんじゃないかなと」
「じゃあもしかして、この世界とは違った道を進んでいる世界もあると」
「そうだ。未来から能力を持ち込まれずに、子供たちが普通に生きている世界もあるだろうね」
「その子供たちがここの世界に来なければ……」
そう呟き、キリヤは拳を握る。
優香はお母さんを殺めることもなかっただろうし、きっと前にいた学校のクラスメイトとのわだかまりも……すべてはその子供たちのせいで――
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