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第5章 新しい出会い
第35話ー⑧ 七夕
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それから奏多との会話を終えた織姫は、暁にスマホを差し出した。
「私のために、いろいろとありがとうございます。奏多ちゃんから話は聞きました」
暁は、織姫から差し出されたスマホを受け取りながら笑顔で答える。
「織姫だけのためじゃないさ。これは俺の為でもあった。俺は織姫の幸せそうな顔がみたかったんだよ」
暁の言葉に織姫は目をそらし、少し照れながら、
「……あなたのこと、少しは信じてもいいかなって思いました」
と告げる。
やっぱり素直じゃないな――。
暁はそう思いながら笑った。
「ちょっと、何を笑っているんですか!?」
「いやあ。そんな織姫も俺は好きだぞってことだ!」
「は、はあ……というか。まさかこんな調子でいろんな女子生徒をたぶらかしているんじゃ……」
織姫は疑いの目を暁に向けながら、そう言った。
「そ、そんなことはないぞ! 俺は奏多一筋なんだからな!!」
「むきになるところが怪しいです……。あなたのことを信じてもいいとは言いましたが、奏多ちゃんとの交際を認めたわけでなありませんからね! そのことはお忘れなく!」
織姫は意気揚々と暁にそう言い放った。
「認められるよう、善処します……」
トホホと下を向く暁を見ながら、織姫は楽しそうに微笑んでいるのだった。
私はずっと独りぼっちだって、孤独なんだって思っていた。でもそれは違っていて、私を見てくれていた人はちゃんと存在していた。
いつからか両親に嫌われないことばかり考えて、周りにいた人たちのことが見えていなかったのかもしれない。
奏多ちゃんは、自分の光を失っていた私にそれを教えてくれた。
そして私は気が付くことができたこの場所から、また新しい一歩を踏み出す――。
翌朝、食堂。
織姫は楽しそうに食事を摂るマリアと結衣のところに行くと、
「お、おはよう、ございます」といつもはしない朝の挨拶をした。
それを聞いたマリアと結衣は驚いた顔をする。
今更こんなことしても、もう遅いかもしれない。でも私は変わりたい。もう孤独な瞬く星でいたくないから――
そう思いながら、織姫は目を瞑りマリアと結衣の反応を待った。
そして――
「おはようございます、織姫ちゃん!」
「おはよう織姫! よかったら、一緒に食べない?」
マリアたちはそう言って笑顔で織姫を受け入れたのだった。
「あ、ありがとうございます」
そして織姫は二人と共に、朝食を摂ったのだった。
この空には無数の星々が瞬いている。当たり前のように見える星と、誰の目にも映らない星。織姫は自分がずっと誰の目にも映らない星だと思っていた。
でもそれは自分が勝手にそう思い込んでいただけ――。
これからは誰にも見てもらえないと悲観していた自分から、みんなの目に映る星になるため、自分の輝きを信じることにする――と織姫はそう誓ったのだった。
「私のために、いろいろとありがとうございます。奏多ちゃんから話は聞きました」
暁は、織姫から差し出されたスマホを受け取りながら笑顔で答える。
「織姫だけのためじゃないさ。これは俺の為でもあった。俺は織姫の幸せそうな顔がみたかったんだよ」
暁の言葉に織姫は目をそらし、少し照れながら、
「……あなたのこと、少しは信じてもいいかなって思いました」
と告げる。
やっぱり素直じゃないな――。
暁はそう思いながら笑った。
「ちょっと、何を笑っているんですか!?」
「いやあ。そんな織姫も俺は好きだぞってことだ!」
「は、はあ……というか。まさかこんな調子でいろんな女子生徒をたぶらかしているんじゃ……」
織姫は疑いの目を暁に向けながら、そう言った。
「そ、そんなことはないぞ! 俺は奏多一筋なんだからな!!」
「むきになるところが怪しいです……。あなたのことを信じてもいいとは言いましたが、奏多ちゃんとの交際を認めたわけでなありませんからね! そのことはお忘れなく!」
織姫は意気揚々と暁にそう言い放った。
「認められるよう、善処します……」
トホホと下を向く暁を見ながら、織姫は楽しそうに微笑んでいるのだった。
私はずっと独りぼっちだって、孤独なんだって思っていた。でもそれは違っていて、私を見てくれていた人はちゃんと存在していた。
いつからか両親に嫌われないことばかり考えて、周りにいた人たちのことが見えていなかったのかもしれない。
奏多ちゃんは、自分の光を失っていた私にそれを教えてくれた。
そして私は気が付くことができたこの場所から、また新しい一歩を踏み出す――。
翌朝、食堂。
織姫は楽しそうに食事を摂るマリアと結衣のところに行くと、
「お、おはよう、ございます」といつもはしない朝の挨拶をした。
それを聞いたマリアと結衣は驚いた顔をする。
今更こんなことしても、もう遅いかもしれない。でも私は変わりたい。もう孤独な瞬く星でいたくないから――
そう思いながら、織姫は目を瞑りマリアと結衣の反応を待った。
そして――
「おはようございます、織姫ちゃん!」
「おはよう織姫! よかったら、一緒に食べない?」
マリアたちはそう言って笑顔で織姫を受け入れたのだった。
「あ、ありがとうございます」
そして織姫は二人と共に、朝食を摂ったのだった。
この空には無数の星々が瞬いている。当たり前のように見える星と、誰の目にも映らない星。織姫は自分がずっと誰の目にも映らない星だと思っていた。
でもそれは自分が勝手にそう思い込んでいただけ――。
これからは誰にも見てもらえないと悲観していた自分から、みんなの目に映る星になるため、自分の輝きを信じることにする――と織姫はそう誓ったのだった。
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