白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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第8章 猫と娘と生徒たち

第66話 日向ぼっこ

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 良く晴れた日のこと。

 ミケは真一がよく過ごしていた大樹の下で日向ぼっこをしていた。

『実に平和だ。きっとこの場所は、暁のおかげで平和でいられるのだろうな……』

 そんなことをしみじみと思いながら、大きな欠伸をするミケ。

 やはり私はここへ来て正解だった――とミケはそう思っていた。

 暁のことは獣の力を宿した青年と聴いていたから、もっと野蛮で凶暴な輩かと思っていた。でも実際に会ってみれば、とても生徒思いで優しい性格をしている。

 まあ暑苦しいのが玉に瑕だが、それでもどこか背中を預けたくなる頼もしさがある青年だ。暁ならきっと『ゼンシンノウリョクシャ』の問題も解決してくれるかもしれないな――と期待を胸に抱くミケ。

『私はそんな暁の手助けができたらいいな』

 ミケがそんなことを思っていると、建物の方から誰かがやってきた。

「あ! ミケさん、ここにいたー!」

 水蓮はそう言ってミケに駆け寄る。

「1人で日向ぼっこか? やっぱりペットとしての自覚が――」
『それはない』
「あはは! そうだったな」

 頭を掻きながら笑う暁に不服な顔をするミケ。

 本当にわかっているのか、暁は――と心の中でミケはそう呟いた。

 ミケのそんな思いもつゆ知らず、

「スイも一緒にお昼寝する!」

 そう言ってミケの隣で寝転ぶ水蓮。

「お日様ぽかぽかだね、ミケさん!」

 そう言って笑顔で寝転ぶ水蓮を、暁とミケは優しい眼差しで見つめた。

『実に平和だな』
「ああ、そうだな」

 そう言いながら暁も水蓮の隣に腰を下ろした。

「……この時間がずっと続くといいな」

 暁はぼーっと前を見つめながら、そう呟く。

『そうだな。暁がここにいる限り、きっとこの場所はずっと平和でいられるだろう。もしも暁がここを出ることになったとしても、必ずまたここへ戻ってくるんだぞ』
「もちろん。俺はこの施設の担任教師だからな」

 暁はそう言って笑った。

 この笑顔。根拠はないのに、なぜか安心してしまう。だから暁は生徒たちから慕われるのだろうな――とミケはそう思いながら、「ふっ」と笑ったのだった。


 * * *


「『ゼンシンノウリョクシャ』に水蓮のこと、そして剛の復帰か……本当にいろいろあったが、これからもこれまでと何も変わらないだろうな」

 暁はミケとの出会いで自分の力のことを知り、ほんの少しだけ不安に思うこともあったが、水蓮との日常と剛の復帰でその不安が薄れていった。

「俺は俺らしくあるだけ。どんな未来があるのかはわからないけど、俺に与えられている時間を全部使って、子供たちの未来を作っていきたいな」

 暁たちはその想いを胸に抱き、今日もいつものように過ごすのだった。



 三毛猫が暁にもたらしたものは、未来への覚悟のきっかけだったのかもしれない。
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