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第9章 新たな希望と変わる世界
第73話ー④ デビュー前の
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施設内、廊下にて――
エントランスゲートに向かって暁は歩いていた。
「真一もしおんも元気にやっているかな。――もしかしたら東京に染まっていて、耳たぶが取れそうな大きさのピアスを着けていたりとか、髪の色が金色とかに……」
でも金髪って……2人とも、なんだか似合わなそうだな――
暁はそんなことを思いながらクスッと笑い、エントランスゲートへ歩いて行ったのだった。
そして建物の外へ出た暁はエントランスゲートの前に立つ2人の影を見つけると、
「――悪い、待たせたな!」
そう言って急いでゲートに駆け寄った。
「いえ! 俺たちも今、着いたところなんで! それと、先生。お久しぶりです」
しおんが笑顔でそう言うと、それを見た真一は照れながら「久しぶり」と言った。
「ああ、久しぶりだな! 2人とも相変わらずみたいで、安心したよ!」
そう言って微笑む暁。
金髪でピアスジャラジャラだったらって心配したけど、変わりないみたいだな――!
親になったような気持ちでそう思う暁だった。
「あはは! 先生もお元気そうで何よりです」
「ねえ! こんなところで立ち話はもういいから、中に入らない? 続きはまだいくらでもできるでしょ」
真一はしおんの顔を見ながらそう言った。
「お、おう! そうだな!!」
「じゃあ、しおん。これ――」
そう言って暁はしおんにゲストパスを渡し、それを受け取ったしおんは真一と共にゲートを潜った。
「卒業してから1年も経ってないのにな」
しおんはそう言いながら懐かしそうな顔で歩く。
「ははは。でもそんなに見た目は変わってないぞ」
「あははは。そうみたいですね!」
そう言ってしおんは微笑んだ。
「あ、ねえ。そういえば、今年は来たの?」
「え? 来たって??」
真一の問いに首をかしげる暁。
「新入生。だって凛子と織姫だけじゃ、先生も寂しいんじゃない?」
「ああ、そうだった! 真一に伝えるのを忘れていたよ! それがさ――」
「おおーい、先生! 真一、着いたかあ?」
そう言って建物の中から出てくる剛。
「え?」
真一は驚いて、立ち止まる。
「ごめん、先に伝えるべきだったな」
そう言って真一に申し訳なさそうな顔をする暁。
「真一~~! 久しぶりだな!!」
剛はそう言って真一の前まで来ると、その頭を撫でた。
「ちょっと、やめてよ! そんな年齢でもないだろ!!」
真一はそう言って剛の手を払う。
「なんだよお、恥ずかしいのか? 昔からそういうところ、あったもんなあ」
そう言いながら、「うんうん」と頷く剛。
「あ、えっとこの方は……どちら様?」
しおんはそう言って真一の方を向く。
「元クラスメイト。キリヤより学年は1つ上で、2年くらい前に能力が暴走してから眠っていたんだ」
淡々とそう答える真一。
「そう、なのか……」
「でも、まさかこっちに戻って来てるなんてね」
そう言って、ふっと笑う真一。
「ここは俺の実家みたいなもんだからなっ!!」
剛はそう言って楽しそうに笑った。
真一もなんだかんだ剛にまた会えたことは嬉しいんだな――
そう思いながら真一と剛の会話を聞き、暁は微笑んでいた。
「じゃあ、中に行こうぜ! 真一にはいろいろ聞きたいことがたくさんあるんだからな!!」
「まったく……剛は相変わらず騒がしいんだから」
それから一同は建物の中へと入っていく。
「そういえば、真一。もう1人、ここへ戻って来た生徒がいるんだ」
「……誰?」
真一はそう言って首をかしげる。
「それが……聞いて驚くなよ?」
「剛に会った以上に驚くことがあると思う?」
真一はやれやれといった顔をしてそう答えた。
「ま、まあ確かに」
「それで、誰なの?」
「ああ……狂司だよ!」
「……狂司?」
そう言って、困った顔をしながら「うーん」と唸る真一。
あ、あれ? もしかして覚えていないのか――?
「ほら! 優香と一緒に入ってきただろ? 小学生の!!」
「…………きっと、顔を見たら思い出すかもしれない」
真一は考えることを早々に諦め、涼しい顔で歩いていった。
「さすが世界を目指すミュージシャンだな……」
そんな真一に感心しながら、暁は歩くのだった。
* * *
食堂にて――
凛子は1人でしおんたちの到着を待っていた。
「久しぶりに会えることが楽しみなんだろ、か」
さきほどの暁から言われたその言葉をふと思い出す凛子。
ええ、そりゃあもちろんですよ。だって――
「今回はなんて言ってあげようかな、どんな意地悪をしようかな! きっとしおん君ならすっごく面白い反応をするに違いないです! ――ふふふ、楽しみですね☆」
そう言って嬉しそうに笑う凛子。
私がしおん君に求めるもの、それは私を楽しませてくれるかどうかなんだから! 私はしおん君にそれ以上のことなんて、求めませんよ――
凛子はそう思いながら、少しだけ寂しそうな顔をした。
「ふわああ。そういえば、昨日は遅くまでダンスの振りを――」
凛子はそう呟くと、そっと顔を机に伏せた。
「――はっ! ダメダメ。もうすぐしおん君が来るんだから……最高のアイドルスマイルでお迎えしないとです☆」
そして凛子は両頬を優しく叩き、しおんたちの到着を待つことにしたのだった。
エントランスゲートに向かって暁は歩いていた。
「真一もしおんも元気にやっているかな。――もしかしたら東京に染まっていて、耳たぶが取れそうな大きさのピアスを着けていたりとか、髪の色が金色とかに……」
でも金髪って……2人とも、なんだか似合わなそうだな――
暁はそんなことを思いながらクスッと笑い、エントランスゲートへ歩いて行ったのだった。
そして建物の外へ出た暁はエントランスゲートの前に立つ2人の影を見つけると、
「――悪い、待たせたな!」
そう言って急いでゲートに駆け寄った。
「いえ! 俺たちも今、着いたところなんで! それと、先生。お久しぶりです」
しおんが笑顔でそう言うと、それを見た真一は照れながら「久しぶり」と言った。
「ああ、久しぶりだな! 2人とも相変わらずみたいで、安心したよ!」
そう言って微笑む暁。
金髪でピアスジャラジャラだったらって心配したけど、変わりないみたいだな――!
親になったような気持ちでそう思う暁だった。
「あはは! 先生もお元気そうで何よりです」
「ねえ! こんなところで立ち話はもういいから、中に入らない? 続きはまだいくらでもできるでしょ」
真一はしおんの顔を見ながらそう言った。
「お、おう! そうだな!!」
「じゃあ、しおん。これ――」
そう言って暁はしおんにゲストパスを渡し、それを受け取ったしおんは真一と共にゲートを潜った。
「卒業してから1年も経ってないのにな」
しおんはそう言いながら懐かしそうな顔で歩く。
「ははは。でもそんなに見た目は変わってないぞ」
「あははは。そうみたいですね!」
そう言ってしおんは微笑んだ。
「あ、ねえ。そういえば、今年は来たの?」
「え? 来たって??」
真一の問いに首をかしげる暁。
「新入生。だって凛子と織姫だけじゃ、先生も寂しいんじゃない?」
「ああ、そうだった! 真一に伝えるのを忘れていたよ! それがさ――」
「おおーい、先生! 真一、着いたかあ?」
そう言って建物の中から出てくる剛。
「え?」
真一は驚いて、立ち止まる。
「ごめん、先に伝えるべきだったな」
そう言って真一に申し訳なさそうな顔をする暁。
「真一~~! 久しぶりだな!!」
剛はそう言って真一の前まで来ると、その頭を撫でた。
「ちょっと、やめてよ! そんな年齢でもないだろ!!」
真一はそう言って剛の手を払う。
「なんだよお、恥ずかしいのか? 昔からそういうところ、あったもんなあ」
そう言いながら、「うんうん」と頷く剛。
「あ、えっとこの方は……どちら様?」
しおんはそう言って真一の方を向く。
「元クラスメイト。キリヤより学年は1つ上で、2年くらい前に能力が暴走してから眠っていたんだ」
淡々とそう答える真一。
「そう、なのか……」
「でも、まさかこっちに戻って来てるなんてね」
そう言って、ふっと笑う真一。
「ここは俺の実家みたいなもんだからなっ!!」
剛はそう言って楽しそうに笑った。
真一もなんだかんだ剛にまた会えたことは嬉しいんだな――
そう思いながら真一と剛の会話を聞き、暁は微笑んでいた。
「じゃあ、中に行こうぜ! 真一にはいろいろ聞きたいことがたくさんあるんだからな!!」
「まったく……剛は相変わらず騒がしいんだから」
それから一同は建物の中へと入っていく。
「そういえば、真一。もう1人、ここへ戻って来た生徒がいるんだ」
「……誰?」
真一はそう言って首をかしげる。
「それが……聞いて驚くなよ?」
「剛に会った以上に驚くことがあると思う?」
真一はやれやれといった顔をしてそう答えた。
「ま、まあ確かに」
「それで、誰なの?」
「ああ……狂司だよ!」
「……狂司?」
そう言って、困った顔をしながら「うーん」と唸る真一。
あ、あれ? もしかして覚えていないのか――?
「ほら! 優香と一緒に入ってきただろ? 小学生の!!」
「…………きっと、顔を見たら思い出すかもしれない」
真一は考えることを早々に諦め、涼しい顔で歩いていった。
「さすが世界を目指すミュージシャンだな……」
そんな真一に感心しながら、暁は歩くのだった。
* * *
食堂にて――
凛子は1人でしおんたちの到着を待っていた。
「久しぶりに会えることが楽しみなんだろ、か」
さきほどの暁から言われたその言葉をふと思い出す凛子。
ええ、そりゃあもちろんですよ。だって――
「今回はなんて言ってあげようかな、どんな意地悪をしようかな! きっとしおん君ならすっごく面白い反応をするに違いないです! ――ふふふ、楽しみですね☆」
そう言って嬉しそうに笑う凛子。
私がしおん君に求めるもの、それは私を楽しませてくれるかどうかなんだから! 私はしおん君にそれ以上のことなんて、求めませんよ――
凛子はそう思いながら、少しだけ寂しそうな顔をした。
「ふわああ。そういえば、昨日は遅くまでダンスの振りを――」
凛子はそう呟くと、そっと顔を机に伏せた。
「――はっ! ダメダメ。もうすぐしおん君が来るんだから……最高のアイドルスマイルでお迎えしないとです☆」
そして凛子は両頬を優しく叩き、しおんたちの到着を待つことにしたのだった。
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