白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

文字の大きさ
450 / 501
アフターストーリー

第2話ー③ 約束のブレスレット

しおりを挟む
 ――昼休み、カフェにて。

 マリアはフォークを持って、ボーっとしたまま購入したバジルパスタを見つめていた。

「疲れたかい?」

 ゆめかはボーっとするマリアにニコニコと笑いながら、そう尋ねた。

「あ、す、すみません……」
「大丈夫さ。それより、大丈夫かな? 午後もいけそうかい?」
「は、はい! もちろんです!!」
「無理はダメだよ?」

 心配そうな顔でそう言うゆめか。

 そしてマリアは首を振り、

「無理はしていません。ただ……」

 ゆめかを見据えた。

「ただ?」
「白銀さんって本当にすごい方なんだって、改めて感じたんです」
「あはは。それはありがとう。嬉しい言葉だよ」

 そう言って微笑むゆめか。

「私も、なれるでしょうか」
「ん?」
「白銀さんのようなカウンセラーに……」

 マリアは俯きながらそう言った。

「私みたいになる必要はないさ」

 その言葉にはっとして顔を上げ、瞠目するマリア。

「マリア君はマリア君らしいカウンセラーになればいい。君の優しさで、いろんな人たちを救ってあげたらいいんだよ」
「私……自信がなくて」

 自分らしいって何だろう――

「大丈夫。大丈夫だから――私は、マリア君の優しさを知っている。愛情を知っている。それで救われた子だっていたんだろう?」

 そう言われたマリアはふと、シロの顔を思い出す。

 シロがそうであったらいいな――マリアはそう思いながら、「はい!」と答えたのだった。

「うん、素敵な笑顔だ。もう大丈夫そうだね」

 ゆめかは笑顔でそう言った。

「ありがとうございます。やっぱり白銀さんは、私の尊敬するカウンセラーですね」
「ははは。ありがとう」

 それからマリアは残っていたバジルパスタを綺麗に食べ終え、午後もゆめかに同行して子供たちの部屋を周ったのだった。



 ――1日目、終了後。

「今日はお疲れ様。あとは部屋でゆっくりしてくれればいいから」

 ゆめかは笑顔でマリアにそう告げた。

「白銀さんはまだお仕事ですか?」
「ああ、別件でちょっとね!」
「じゃあ、私も――」
「あ、ああ。その件はカウンセリングとは関係ない仕事なんだ。だから大丈夫だよ」
「は、はい……」

 困った顔で言うゆめかに、マリアは首を傾げた。

 白銀さんはきっと忙しい人なんだな――

 そう思うことで、マリアはそれ以上のことを考えるのはやめたのだった。

「それじゃ、また明日! 夕食はカフェで食べるもよし。外に行くも良し! もし外に行くのなら、遅くならないように帰ってくるんだよ。きっとキリヤ君が心配するからね」
「はい」
「じゃあ、お疲れ様!」

 そう言ってゆめかはマリアを置いてどこかへ行ってしまった。

「外に行ってもいいっていっていたけど……」

 そう呟いたマリアは廊下の窓から外を見つめた。

「出かけたら、迷子になりそう……カフェで済ませよう」

 そしてマリアはカフェへ向かった。



 ――カフェにて。

「どこに座ろう……」

 マリアがそう呟き、キョロキョロしていると、

「あ、マリア!!」

 そう言ってカフェの中央にある席からキリヤは手を振っていた。そしてその隣には、呆れ顔の優香もいた。

 キリヤ、来てたんだ――

 そう思いながら、マリアはキリヤたちのいる席へと向かう。

「マリア、お疲れ様! 初日はどうだった?」
「うん。大丈夫だったよ」
「白銀さんから厳しいこととか言われなかった?」

 心配そうな顔でそう言うキリヤ。

「うん。ずっと優しかった」
「……やっぱりマリアだからなのかな」
「え?」
「あ、何でもない! こっちの話!!」

 キリヤはそう言ってはぐらかす。

 私だからって、どういう事なんだろう? やっぱり外部の人間だからってことかな――

 そう思いながら首を傾げるマリア。

 それから急に優香が咳ばらいをして、

「――今から夕食なら、ご一緒にいかがです?」

 笑顔でマリアにそう言った。

「うん!」

 それからマリアはカウンターでロコモコ丼を購入し、キリヤたちのいる席で夕食を摂り始めた。

「……そういえば、白銀さんはまだお仕事って言っていたけど、キリヤたちはもうお仕事終わったの?」
「あ、うん。僕たちは今日、訓練日だったからね!」
「訓練……?」

 訓練って何の訓練? それに、キリヤたちが普段どんな仕事をしているのかを私は知らないな――

 そんなことを思いながら、キリヤをボーっと見つめるマリア。

 それから優香はキリヤの方を見ながら、「ごほんっ」と何かを訴え掛けるような咳ばらいをした。

「あ、あの……えっと。避難訓練の日だったんだ! あははは!」

 訓練ってそう言うことだったんだ。納得――

「そうなんだね。お疲れ様」

 マリアはそう言って微笑んだ。

「ありがとう!」

 キリヤは嬉しそうな顔でそう言った。

「相変わらずですね、キリヤ君は」
「は!? 相変わらずって何が!!」
「いえ。桑島さんのことが本当に大好きなんだなと」

 ニヤリと笑いながらそう言う優香。

「もう、からかわないでよ!!」
「うふふ」

 2人のやりとりを微笑ましい笑顔で見守るマリア。そして、

「いつ結婚するの?」

 キリヤたちの顔をまっすぐに見ながらマリアはそう言った。

「ぼ、僕たちはまだそんな――」
「そうです。まだ先の事なので!!」

 キリヤたちは頬を赤らめながらそう答えた。

 もう夫婦みたいな会話に見えたんだけどな。そっか、まだなんだ――少し残念な気持ちになりつつ、その時を楽しんで待つことにしたマリアだった。



 夕食後、マリアは用意してもらった個室で過ごしていた。

「あっという間の一日だったな……」

 マリアはそう呟きながら、ボーっとベッドで寝転がっていた。

「私にしかなれないカウンセラー、か」

 それからマリアは布団に顔を埋める。

「私、大丈夫かな……」

 すると、マリアのスマホから通知音が響いた。

「何だろう――あ!」

 スマホを手に取り、その通知音の正体を知ったマリアは笑顔になる。

「結衣、頑張ってるんだ」

 結衣から来たメッセージには、声優事務所への所属が決まったことが記されていた。

 ――結衣だけじゃない。キリヤと優香、真一としおんも……みんな、夢や目標のために頑張ってるんだ。

「私も、頑張りたい。みんなと肩を並べられるように」

 それからマリアは気持ちを入れ替え、夜を明かしたのだった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

黄泉がえり陽炎姫は最恐魔王に溺愛される

彪雅にこ
恋愛
「ああ、私、とうとう死んでしまうのね…」 侯爵令嬢フェリシアは、命の危機に瀕していた──。 王太子の婚約者だったフェリシアは、何者かの手にかかり、生死の境を彷徨い黄泉へと渡りかける。奇跡の生還を果たしたものの、毒の後遺症で子を成せなくなったと診断され、婚約は破棄に。陽炎姫と呼ばれる日陰の存在となっていた。 まるで邸を追い出されるかのように隣国の好色伯爵の元へ嫁がされる途中で馬車が暴漢に襲われ、再び命の危険に晒されたフェリシアを救ったのは、悪魔のような山羊の頭蓋骨の面を被った魔王だった。 人々から最恐と怖れられる魔王は、なぜフェリシアを助けたのか…? そして、フェリシアを黄泉へと送ろうとした人物とは? 至宝と称えられながらも表舞台から陽炎のように消えた侯爵令嬢と、その強大すぎる魔力と特異な容姿により魔王と恐れられる公爵の、恋と成長の物語。 表紙は友人の丸インコさんが描いてくださいました!感謝♡

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

【完結】黒の花嫁/白の花嫁

あまぞらりゅう
恋愛
秋葉は「千年に一人」の霊力を持つ少女で、幼い頃に龍神――白龍の花嫁として選ばれていた。 だが、双子の妹の春菜の命を救うために、その霊力を代償として失ってしまう。 しかも、秋葉の力は全て春菜へと移り、花嫁の座まで奪われてしまった。 それ以来、家族から「無能」と蔑まれながらも、秋葉は失われた力を取り戻すために静かに鍛錬を続けていた。 そして五年後、白龍と春菜の婚礼の日。 秋葉はついに霊力が戻らず、一縷の望みも消えてしまった。 絶望の淵に立つ彼女の前に、ひとりの青年が現れる。 「余りもの同士、仲良くやろうや」 彼もまた、龍神――黒龍だった。 ★ザマァは軽めです! ★後半にバトル描写が若干あります! ★他サイト様にも投稿しています!

第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結

まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。 コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。 部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。 絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。 王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。 最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。 私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。 えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない? 私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。 というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。 小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。 「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。 pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。 【改稿版について】   コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。  ですが……改稿する必要はなかったようです。   おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。  なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。  小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。  よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。   ※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。 ・一人目(ヒロイン) ✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前) ◯リアーナ・ニクラス(変更後) ・二人目(鍛冶屋) ✕デリー(変更前) ◯ドミニク(変更後) ・三人目(お針子) ✕ゲレ(変更前) ◯ゲルダ(変更後) ※下記二人の一人称を変更 へーウィットの一人称→✕僕◯俺 アルドリックの一人称→✕私◯僕 ※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...