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アフターストーリー
第4話ー⑨ 夢、叶うまで
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――ライブ後。
すべての片づけを終えたしおんたちは楽屋に帰ってきていた。
「ふうう。疲れたなあ」
そう言って椅子に座るしおん。
「そうは言っても、まだ初日でしょ? これからツアーは続くんだから、帰ったら反省会ね」
「うっ……わかったよ……」
何か所かミスったからなあ。怒られることはあらかじめ覚悟しておこう――
そう思いながら机に突っ伏すしおん。すると、軽快に扉を叩く音が楽屋内に響いた。
「はい」
真一がそう答えると、
「私です」
という凛子の声がした。
「入って大丈夫だよ」
真一がそう言うと、凛子は扉を開けて、楽屋に入ってきた。
「お疲れ様でした。『はちみつとジンジャー』のお2人さん」
そう言って微笑む凛子。
「凛子もお疲れ様」
真一はそう言って微笑み、
「お疲れ~」
しおんは机に突っ伏したままそう言った。
そんなしおんの元に凛子は歩み寄り、
「もう! ステージであんなにかっこよかったくせに、だらしないなあ……」
ため息交じりにそう言った。
「いいんだよ。ギャップ萌えって言葉があるだろ」
「それはギャップ萌えとは言わないんじゃない? ただのスタミナ切れでしょ? 自分の身体管理もできないわけ?」
凛子が挑発気味にそう言うと、しおんはばっと顔を上げ、
「お前! ついさっきまで健気だったくせに、もういつもの冷酷なピエロに戻ってんじゃねえか!」
そう言って凛子を睨んだ。
「はあ? 健気だった覚えはないし、冷酷なピエロは失礼極まりないでしょ! 前からずっと思っていたけどっ!!」
「本当のことだろ~」
「むむむ……」
そう言って睨み合う、しおんと凛子。
「もう。ライブ後まで夫婦漫才しないでくれない?」
「だから夫婦じゃないっ!!」
しおんと凛子は声をハモらせて真一にそう言った。
「うんうん」
嬉しそうに頷く真一。
「なんか定番化されてるぞ、いいのか凛子!」
困惑した表情でそう言うしおん。
「いえ、これは由々しき事態――ってそんなことはどうでもいいのよ!!」
「あああ、そうだった……それで、凛子は何の用だ? まさか、俺に嫌味を言うだけのために来たわけじゃないんだろ?」
しおんがそう尋ねると、凛子は急に顔を赤らめて、
「ええ……その。さっきは、ありがとう。改めて、それを伝えたかったから――」
もじもじしながらそう言った。
「はははっ! お前もそんな顔、できるんだな!」
「何、馬鹿にしてんの?」
「いや。たまには、良いなって思ってさ。可愛いよっ!」
しおんはそう言って、ニッと笑った。
そして顔を真っ赤にする凛子。
「ム……ムカつく!!」
凛子は声を荒げてそう言った。
「は!? 俺、今のは明らかに褒めたよな、真一?」
「はあ、しおんは……」
「え!? なんでそんな、やれやれみたいなため息ついてんの!?」
たまに褒めたら、この仕打ち? なんでだよ――!
「とりあえず、今日はお疲れ様でした! またレコーディングの時はお願いしますね。さようなら!!」
まくし立てるようにそう言って、凛子は楽屋を出て行った。
「なんだよ、あいつ……」
しおんはそう言って唇を尖らせた。
「照れ隠し、かな」
「はあ?」
しおんは怪訝な顔をして、首を傾げたのだった。
「あ、そういえば……さっきのライブの事、もうネットニュースになってるよ」
そう言ってネット記事をしおんに見せる真一。
『知立凛子のスキャンダルはマスコミがでっち上げたデマだった。実際は楽曲制作のためにレッスンスタジオに籠っていたことが判明――』
「まあしおんとの噂が立つことになるだろうけど、それはもともと友人だって公表していることだし、すぐに沈静化しそうだね」
「そっか……よかった」
ほっと胸を撫でおろすしおん。
「でも。このために、凛子のセトリをいきなり変えたんだね」
「あはは――!」
――数時間前、リハーサル時。
もともとないはずだった、凛子の卒業ソングをセットリストに加えたいとしおんは言い出した。
『でも、まだ歌詞をちゃんと覚えたわけじゃ……』
不安な顔をしてそう言う凛子。
『今回は気持ちが伝わればいい。それに、自分で作った歌詞だろ? 完璧じゃなくたって、その歌で伝えたい気持ちは凛子の中にちゃんとあるんじゃないのか?』
しおんがそう言うと、凛子は少し考え、
『わかった。やってみる』
そう答えたのだった。
「けど、こんなにうまくいくなんて思わなかったさ。凛子の歌の中に込めた想いが本気だったから、きっとみんなに届いたんだよ」
そう言って微笑むしおん。
「うん。そうだね」
「じゃあ、さっさと撤収するか! 反省会、するんだろ?」
「うん」
それから『はちみつとジンジャー』の全国ツアーは順調に進み、最後まで自分たちらしいライブを届けて行ったしおんと真一。
その後、2人の人気と知名度が上がったのは言うまでもない事実だった。
すべての片づけを終えたしおんたちは楽屋に帰ってきていた。
「ふうう。疲れたなあ」
そう言って椅子に座るしおん。
「そうは言っても、まだ初日でしょ? これからツアーは続くんだから、帰ったら反省会ね」
「うっ……わかったよ……」
何か所かミスったからなあ。怒られることはあらかじめ覚悟しておこう――
そう思いながら机に突っ伏すしおん。すると、軽快に扉を叩く音が楽屋内に響いた。
「はい」
真一がそう答えると、
「私です」
という凛子の声がした。
「入って大丈夫だよ」
真一がそう言うと、凛子は扉を開けて、楽屋に入ってきた。
「お疲れ様でした。『はちみつとジンジャー』のお2人さん」
そう言って微笑む凛子。
「凛子もお疲れ様」
真一はそう言って微笑み、
「お疲れ~」
しおんは机に突っ伏したままそう言った。
そんなしおんの元に凛子は歩み寄り、
「もう! ステージであんなにかっこよかったくせに、だらしないなあ……」
ため息交じりにそう言った。
「いいんだよ。ギャップ萌えって言葉があるだろ」
「それはギャップ萌えとは言わないんじゃない? ただのスタミナ切れでしょ? 自分の身体管理もできないわけ?」
凛子が挑発気味にそう言うと、しおんはばっと顔を上げ、
「お前! ついさっきまで健気だったくせに、もういつもの冷酷なピエロに戻ってんじゃねえか!」
そう言って凛子を睨んだ。
「はあ? 健気だった覚えはないし、冷酷なピエロは失礼極まりないでしょ! 前からずっと思っていたけどっ!!」
「本当のことだろ~」
「むむむ……」
そう言って睨み合う、しおんと凛子。
「もう。ライブ後まで夫婦漫才しないでくれない?」
「だから夫婦じゃないっ!!」
しおんと凛子は声をハモらせて真一にそう言った。
「うんうん」
嬉しそうに頷く真一。
「なんか定番化されてるぞ、いいのか凛子!」
困惑した表情でそう言うしおん。
「いえ、これは由々しき事態――ってそんなことはどうでもいいのよ!!」
「あああ、そうだった……それで、凛子は何の用だ? まさか、俺に嫌味を言うだけのために来たわけじゃないんだろ?」
しおんがそう尋ねると、凛子は急に顔を赤らめて、
「ええ……その。さっきは、ありがとう。改めて、それを伝えたかったから――」
もじもじしながらそう言った。
「はははっ! お前もそんな顔、できるんだな!」
「何、馬鹿にしてんの?」
「いや。たまには、良いなって思ってさ。可愛いよっ!」
しおんはそう言って、ニッと笑った。
そして顔を真っ赤にする凛子。
「ム……ムカつく!!」
凛子は声を荒げてそう言った。
「は!? 俺、今のは明らかに褒めたよな、真一?」
「はあ、しおんは……」
「え!? なんでそんな、やれやれみたいなため息ついてんの!?」
たまに褒めたら、この仕打ち? なんでだよ――!
「とりあえず、今日はお疲れ様でした! またレコーディングの時はお願いしますね。さようなら!!」
まくし立てるようにそう言って、凛子は楽屋を出て行った。
「なんだよ、あいつ……」
しおんはそう言って唇を尖らせた。
「照れ隠し、かな」
「はあ?」
しおんは怪訝な顔をして、首を傾げたのだった。
「あ、そういえば……さっきのライブの事、もうネットニュースになってるよ」
そう言ってネット記事をしおんに見せる真一。
『知立凛子のスキャンダルはマスコミがでっち上げたデマだった。実際は楽曲制作のためにレッスンスタジオに籠っていたことが判明――』
「まあしおんとの噂が立つことになるだろうけど、それはもともと友人だって公表していることだし、すぐに沈静化しそうだね」
「そっか……よかった」
ほっと胸を撫でおろすしおん。
「でも。このために、凛子のセトリをいきなり変えたんだね」
「あはは――!」
――数時間前、リハーサル時。
もともとないはずだった、凛子の卒業ソングをセットリストに加えたいとしおんは言い出した。
『でも、まだ歌詞をちゃんと覚えたわけじゃ……』
不安な顔をしてそう言う凛子。
『今回は気持ちが伝わればいい。それに、自分で作った歌詞だろ? 完璧じゃなくたって、その歌で伝えたい気持ちは凛子の中にちゃんとあるんじゃないのか?』
しおんがそう言うと、凛子は少し考え、
『わかった。やってみる』
そう答えたのだった。
「けど、こんなにうまくいくなんて思わなかったさ。凛子の歌の中に込めた想いが本気だったから、きっとみんなに届いたんだよ」
そう言って微笑むしおん。
「うん。そうだね」
「じゃあ、さっさと撤収するか! 反省会、するんだろ?」
「うん」
それから『はちみつとジンジャー』の全国ツアーは順調に進み、最後まで自分たちらしいライブを届けて行ったしおんと真一。
その後、2人の人気と知名度が上がったのは言うまでもない事実だった。
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