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婚約してすぐ、私は社交に復帰することにした。
「フローラ、婚約おめでとう!
ルイスが病気で臥せっていたフローラに手紙を書いて励まし続けたことがきっかけで、恋が芽生えたんですってね!
〝ララ〟と〝ルイ〟って呼び合っているんですって? 幸せになってちょうだい」
「シーウェル嬢、私からも君達の婚約を祝福させて欲しい。ルイスをよろしく頼む」
ルイ様にエスコートされてやってきた王宮の夜会では、王太子殿下と王太子妃であるセシリアから早速、祝福の言葉を掛けられる。
家出していたことや、アストン侯爵令息に監禁されていたことは内密にしているので、表向きは私が病気で臥せっている時に、ルイ様が励ましの手紙を書き続けてくれたことがきっかけで恋仲になったということにしているのだ。
「王太子殿下・妃殿下の祝福のお言葉に大変感激しております。
いつも温かいご配慮やお心づかいに感謝しておりますわ」
「ララ、もう相手にしなくていい。この二人は私達を冷やかしに来ただけだ。
殿下と妃殿下に声を掛けてもらいたがっている方々は他に沢山いらっしゃるようです。どうぞそちらへ……」
「まあ! ルイスったら、フローラを独占したいからって見苦しいわよ」
「セシリア。ルイスを怒らずと仕事が増やされて大変だから、あまり刺激を与えない方がいい。ほら、行こう」
最近分かったことは、ルイ様は独占欲が強いということだった。王太子殿下と仲が良いのは知っていたが、あの扱いはどうかと思ってしまう。
「ルイ様。あのような態度を取るのはちょっと……」
「あの二人にはいつも振り回されているんだ。あのニヤニヤした顔を見ただろう?
それに今日は、愛するララを初めてエスコートする特別な夜会だから、二人の時間を邪魔されたくなかった」
婚約した途端、真っ直ぐに愛情を伝えてくれるルイ様に、私は赤面にされっぱなしだ。
そして、王太子殿下と王太子妃殿下が祝福する私達の婚約について、表立って批判してくる人はいなかった。久しぶりに会った友人達が喜んでくれたこともとても嬉しく感じた。
そんな中、ある人達からの視線に気づいてしまう。
それはアストン侯爵令息の友人達だ。何か言いたげな、複雑そうな目で私を見ていたのだ。
恐らくだが、彼らはアストン侯爵令息と仲が良かったので何か事情を知っているのだと思う。手紙のやり取りくらいはしているだろうし、あの友人達の中にはアストン侯爵令息と一緒になって、結婚前に仮面舞踏会に行っていた人もいると思われる。
彼らはきっと、私に話しかけてくることは出来ないだろう。私達の破局の原因の一つが、あの男が仮面舞踏会に誘われたことがきっかけなのだから……
「ララ。ダンスは沢山踊ったし、不愉快な視線が気になるから、王宮内にある私の執務室にでも行って休憩しよう。夜食を頼んであるんだ」
「はい。ありがとうございます」
ルイ様は細かいことにもよく気付いてくれて、とても頼り甲斐のある人だった。一緒にいると、とても安心出来る。
私達は婚約してから半年後に結婚することに決まった。お父様とお義母様、マクラーレン公爵様は、しっかり準備をしたいから結婚は婚約から一年後でいいのではないかと言っていたのだが、ルイ様は王太子殿下とセシリアを味方につけて、半年後に結婚すると言って聞かなかったのだ。
「私はララが婚約者になったからと安心するつもりはない。早く君を妻にして公爵家の人間にしてしまった方が、君をもっと強い力で守れるだろう?
あの男がいつ戻ってくるか分からないから、その前に私の妻にして、夫として守りたいんだ」
ルイ様は、かつての私が結婚の直前に破局してしまったことをまだ気にしているようだった。
「もうあの男とは終わっております。何も心配はないかと……」
「ララは終わっていると思っても、あの男は分からない。君を奪われたくないんだ。分かってくれ」
完璧な公爵令息だと思っていたルイ様は、心配性な方だったらしい。でも、そんなところも愛おしく感じてしまった。
結婚の準備や公爵家の勉強をする忙しい日々を過ごしていたら、半年はあっという間に過ぎて、私達の結婚式の日を迎えていた。
ウエディングドレスはAラインにして、長いトレーンが特徴的なデザインにしてもらった。あの時のドレスとは全く違ったデザインのドレスだ。
結婚式の司式については、今回は大神官様に依頼はしなかったらしい。ルイ様を孫のように可愛がってくれた大神官様には、結婚式は親族席にいて欲しいと頼んだようだ。
大神官様は物忘れがあるから司式はお願い出来ないと話すルイ様を見て、リリアン達の結婚式は意図的に大神官様に依頼していたことに気づいてしまった。自分を可愛がってくれている人を利用するなんて、ルイ様も腹が黒いところがあるらしい。
結婚式もパーティーもとても緊張したが、素晴らしい時間になった。
みんなから祝福されて結婚出来た私は幸せだ。
◇◇
結婚から十年後、私は二人の子供の母親になっていた。
今日は、子連れで参加する国王陛下主催のガーデンパーティーがあり、ルイ様と息子のセシル、娘のサラの四人で王宮に来ている。
「フローラ。今日は来てくれてありがとう。
あらー、セシルはルイスにそっくりになってきたわね。パパみたいに小言が多い男になってはダメよ。
サラは、誰が見てもフローラの娘だって分かるわね。うちの息子のお嫁さんになる?」
「王妃殿下! 私の娘は王家には渡しませんよ。
間違えて嫁いだりなんかしたら、姑が強烈過ぎて可愛いサラが苦労するに決まってますから」
「相変わらず、一言多い男だわ……
サラ、父君が煩くて嫌になったら王宮にいらっしゃい。可愛い部屋を用意して待っているわ」
「はい! ありがとうございます」
王妃になったセシリアは、まだ六歳のサラをとても可愛がってくれている。セシリアと国王陛下は娘が欲しかったようだが、賑やかな男の子が三人生まれ、娘は諦めることにしたとか。
「サラ。王妃殿下は怒るとこの国で一番怖い方なんだ。騙されてはいけないよ。
ほら、お父様とあっちで美味しいケーキでも食べてこよう。セシルも一緒に行こう!」
ルイ様は子供を可愛がってくれる良きパパなのだけど、いくら従兄妹でも王妃殿下であるセシリアに〝この国で一番怖い方〟なんて言うのは不敬だと思う。
「ルイス……! 将来、サラに嫌われてしまえばいいのよ」
世間では素晴らしい国母と言われているセシリアではあるが、私達の前では相変わらずだった。
バチっ!
その時、視線を感じた私は少し離れた場所にいたアストン侯爵様とうっかり目が合ってしまった。
最近の私は目が合ってしまっても、何事もなかったかのように目を逸らすことに慣れている。
「あの男はまたフローラを見つめていたのね。
そういえば、奥方との子供ができないからと、親戚から養子を迎えたらしいわよ。
あの夫婦はどう見ても仮面夫婦よね」
「仲の良い夫婦には見えないわね。私にはもう関係のない人だけど……」
5年ほど前、侯爵位を引き継いだアストン様は王都に戻ってきた。その時にはすでに結婚していて夫人を伴っていたが、二人は愛のある夫婦には見えなかった。両親が決めた政略結婚なのかもしれない。
政略結婚でも仲のいい夫婦は沢山いるが、あの二人の雰囲気は独特だ。仲が良くないことを隠さずにいるように見えるのだ。
アストン侯爵様は、王妃殿下や夫と一緒にいる私に近づいてはこないが、絡みつくような視線を向けてくるので気分の良いものではなかった。しかし、そんな時は必ず……
「ララ。そろそろ君もこっちに来て、一緒にスイーツを食べよう!」
「フローラ、妻が大好き過ぎる旦那様がお呼びよ」
「ふふっ……。王妃殿下、また後ほど」
ルイ様がアストン侯爵様を牽制するように私を呼んでくれる。愛する夫に守られていると感じて、私は嬉しくなってしまうのだ。
「ララ。君の好きなショコラだ。ほら、あーんして」
「もう! 人前で恥ずかしいですわ」
「父上と母上は仲が良いですよね。
毎日、毎日……、そんな二人を見ている私は胸焼けしそうですよ」
こんな私達夫婦を、息子のセシルは呆れたような目で見ている。
色々あったけど、この人と結婚出来て良かった……
《おわり》
これで完結です。
短編の予定でしたが、思っていたよりも長くなってしまいました。
最後までお付き合いして下さって、ありがとうございます。
「フローラ、婚約おめでとう!
ルイスが病気で臥せっていたフローラに手紙を書いて励まし続けたことがきっかけで、恋が芽生えたんですってね!
〝ララ〟と〝ルイ〟って呼び合っているんですって? 幸せになってちょうだい」
「シーウェル嬢、私からも君達の婚約を祝福させて欲しい。ルイスをよろしく頼む」
ルイ様にエスコートされてやってきた王宮の夜会では、王太子殿下と王太子妃であるセシリアから早速、祝福の言葉を掛けられる。
家出していたことや、アストン侯爵令息に監禁されていたことは内密にしているので、表向きは私が病気で臥せっている時に、ルイ様が励ましの手紙を書き続けてくれたことがきっかけで恋仲になったということにしているのだ。
「王太子殿下・妃殿下の祝福のお言葉に大変感激しております。
いつも温かいご配慮やお心づかいに感謝しておりますわ」
「ララ、もう相手にしなくていい。この二人は私達を冷やかしに来ただけだ。
殿下と妃殿下に声を掛けてもらいたがっている方々は他に沢山いらっしゃるようです。どうぞそちらへ……」
「まあ! ルイスったら、フローラを独占したいからって見苦しいわよ」
「セシリア。ルイスを怒らずと仕事が増やされて大変だから、あまり刺激を与えない方がいい。ほら、行こう」
最近分かったことは、ルイ様は独占欲が強いということだった。王太子殿下と仲が良いのは知っていたが、あの扱いはどうかと思ってしまう。
「ルイ様。あのような態度を取るのはちょっと……」
「あの二人にはいつも振り回されているんだ。あのニヤニヤした顔を見ただろう?
それに今日は、愛するララを初めてエスコートする特別な夜会だから、二人の時間を邪魔されたくなかった」
婚約した途端、真っ直ぐに愛情を伝えてくれるルイ様に、私は赤面にされっぱなしだ。
そして、王太子殿下と王太子妃殿下が祝福する私達の婚約について、表立って批判してくる人はいなかった。久しぶりに会った友人達が喜んでくれたこともとても嬉しく感じた。
そんな中、ある人達からの視線に気づいてしまう。
それはアストン侯爵令息の友人達だ。何か言いたげな、複雑そうな目で私を見ていたのだ。
恐らくだが、彼らはアストン侯爵令息と仲が良かったので何か事情を知っているのだと思う。手紙のやり取りくらいはしているだろうし、あの友人達の中にはアストン侯爵令息と一緒になって、結婚前に仮面舞踏会に行っていた人もいると思われる。
彼らはきっと、私に話しかけてくることは出来ないだろう。私達の破局の原因の一つが、あの男が仮面舞踏会に誘われたことがきっかけなのだから……
「ララ。ダンスは沢山踊ったし、不愉快な視線が気になるから、王宮内にある私の執務室にでも行って休憩しよう。夜食を頼んであるんだ」
「はい。ありがとうございます」
ルイ様は細かいことにもよく気付いてくれて、とても頼り甲斐のある人だった。一緒にいると、とても安心出来る。
私達は婚約してから半年後に結婚することに決まった。お父様とお義母様、マクラーレン公爵様は、しっかり準備をしたいから結婚は婚約から一年後でいいのではないかと言っていたのだが、ルイ様は王太子殿下とセシリアを味方につけて、半年後に結婚すると言って聞かなかったのだ。
「私はララが婚約者になったからと安心するつもりはない。早く君を妻にして公爵家の人間にしてしまった方が、君をもっと強い力で守れるだろう?
あの男がいつ戻ってくるか分からないから、その前に私の妻にして、夫として守りたいんだ」
ルイ様は、かつての私が結婚の直前に破局してしまったことをまだ気にしているようだった。
「もうあの男とは終わっております。何も心配はないかと……」
「ララは終わっていると思っても、あの男は分からない。君を奪われたくないんだ。分かってくれ」
完璧な公爵令息だと思っていたルイ様は、心配性な方だったらしい。でも、そんなところも愛おしく感じてしまった。
結婚の準備や公爵家の勉強をする忙しい日々を過ごしていたら、半年はあっという間に過ぎて、私達の結婚式の日を迎えていた。
ウエディングドレスはAラインにして、長いトレーンが特徴的なデザインにしてもらった。あの時のドレスとは全く違ったデザインのドレスだ。
結婚式の司式については、今回は大神官様に依頼はしなかったらしい。ルイ様を孫のように可愛がってくれた大神官様には、結婚式は親族席にいて欲しいと頼んだようだ。
大神官様は物忘れがあるから司式はお願い出来ないと話すルイ様を見て、リリアン達の結婚式は意図的に大神官様に依頼していたことに気づいてしまった。自分を可愛がってくれている人を利用するなんて、ルイ様も腹が黒いところがあるらしい。
結婚式もパーティーもとても緊張したが、素晴らしい時間になった。
みんなから祝福されて結婚出来た私は幸せだ。
◇◇
結婚から十年後、私は二人の子供の母親になっていた。
今日は、子連れで参加する国王陛下主催のガーデンパーティーがあり、ルイ様と息子のセシル、娘のサラの四人で王宮に来ている。
「フローラ。今日は来てくれてありがとう。
あらー、セシルはルイスにそっくりになってきたわね。パパみたいに小言が多い男になってはダメよ。
サラは、誰が見てもフローラの娘だって分かるわね。うちの息子のお嫁さんになる?」
「王妃殿下! 私の娘は王家には渡しませんよ。
間違えて嫁いだりなんかしたら、姑が強烈過ぎて可愛いサラが苦労するに決まってますから」
「相変わらず、一言多い男だわ……
サラ、父君が煩くて嫌になったら王宮にいらっしゃい。可愛い部屋を用意して待っているわ」
「はい! ありがとうございます」
王妃になったセシリアは、まだ六歳のサラをとても可愛がってくれている。セシリアと国王陛下は娘が欲しかったようだが、賑やかな男の子が三人生まれ、娘は諦めることにしたとか。
「サラ。王妃殿下は怒るとこの国で一番怖い方なんだ。騙されてはいけないよ。
ほら、お父様とあっちで美味しいケーキでも食べてこよう。セシルも一緒に行こう!」
ルイ様は子供を可愛がってくれる良きパパなのだけど、いくら従兄妹でも王妃殿下であるセシリアに〝この国で一番怖い方〟なんて言うのは不敬だと思う。
「ルイス……! 将来、サラに嫌われてしまえばいいのよ」
世間では素晴らしい国母と言われているセシリアではあるが、私達の前では相変わらずだった。
バチっ!
その時、視線を感じた私は少し離れた場所にいたアストン侯爵様とうっかり目が合ってしまった。
最近の私は目が合ってしまっても、何事もなかったかのように目を逸らすことに慣れている。
「あの男はまたフローラを見つめていたのね。
そういえば、奥方との子供ができないからと、親戚から養子を迎えたらしいわよ。
あの夫婦はどう見ても仮面夫婦よね」
「仲の良い夫婦には見えないわね。私にはもう関係のない人だけど……」
5年ほど前、侯爵位を引き継いだアストン様は王都に戻ってきた。その時にはすでに結婚していて夫人を伴っていたが、二人は愛のある夫婦には見えなかった。両親が決めた政略結婚なのかもしれない。
政略結婚でも仲のいい夫婦は沢山いるが、あの二人の雰囲気は独特だ。仲が良くないことを隠さずにいるように見えるのだ。
アストン侯爵様は、王妃殿下や夫と一緒にいる私に近づいてはこないが、絡みつくような視線を向けてくるので気分の良いものではなかった。しかし、そんな時は必ず……
「ララ。そろそろ君もこっちに来て、一緒にスイーツを食べよう!」
「フローラ、妻が大好き過ぎる旦那様がお呼びよ」
「ふふっ……。王妃殿下、また後ほど」
ルイ様がアストン侯爵様を牽制するように私を呼んでくれる。愛する夫に守られていると感じて、私は嬉しくなってしまうのだ。
「ララ。君の好きなショコラだ。ほら、あーんして」
「もう! 人前で恥ずかしいですわ」
「父上と母上は仲が良いですよね。
毎日、毎日……、そんな二人を見ている私は胸焼けしそうですよ」
こんな私達夫婦を、息子のセシルは呆れたような目で見ている。
色々あったけど、この人と結婚出来て良かった……
《おわり》
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短編の予定でしたが、思っていたよりも長くなってしまいました。
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