元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します

忘れていたこと

 留学の話は、隣国の王妃殿下(叔母様)のお陰で、あっさりと進んでいく。薬学や野菜など専門的なことを学ぶなら、貴族学園の更に上になる、高等学園に入った方がいいらしい。前世でいう大学だろうね。
 
 そこで問題が発生。高等学園には貴族学園を卒業しないと入れない。私は卒業まで後2年残っている。そこで、二つの選択肢がある。

①自国の貴族学園を卒業した後に、隣国の高等学園にいく。

②隣国の貴族学園に転校し、高等学園入学に向けて、勉強しながら卒業を待つ。

③貴族学園の飛び級制度を利用して、予定より早い卒業を目指し、卒業でき次第、隣国の高等学園に行く。

 色々迷ったが、結婚行き遅れを回避したい私は、③を選択しつつ、もし無理なら恥を忍んで②に変更しようという、少しズルい選択に決めた。

 しかし、飛び級制度と早期の卒業を目指すには各教科のレポートを提出し、更に卒業試験に合格しなければならない。かなり難しい挑戦である。成績は上位にはいるものの、ダントツ1位とかではない。自分でも、無茶してるのは分かってはいるのです。

 やると決めた以上は、やるしかない。その日から、先生方への質問攻撃と、図書室通いが始まるのであった。

 レベッカ達とシリル様には仮婚約は白紙になる予定で両親に動いてもらうこと、急遽、隣国に留学する予定になったことを報告した。ついでに婚約者の彼とのこの前の出来事を話し、今まで以上に彼を避けて生活していくこともね。うっかり会いたくないから。

 驚いていたけど、前向きな新たなスタートをみんなは応援してくれることになった。


 そして、忙しかったので、忘れていたことがあった。それは、王家の主催の剣術大会である。

 カーラにもうすぐ大会ですが、いつクッキーを焼きますか?と聞かれるまで、すっかり忘れていたのだ。

 婚約白紙の件は、お父様が変な気を遣って、まだ正式に発表してないので、アル以外は使用人にも話してなかったから、カーラも知らなかったのよね。ごめんなさい。

 毎年開かれるこの大会は、騎士を目指す子息だけでなく、騎士団や貴族の護衛になりたい平民も出場する。少年から青年まで、年齢層ごとに分かれて戦うのだ。
 今までは彼が子供の頃に好きだった、私の手作りクッキーを持って応援しに行っていた。ここ数年は、クッキーを持って行っても、従者に渡しておくように言われて、直接受け取ってもらえなかった。こんな冷たい扱いをされても、本当にアンネマリーはいいコだったよね。

 しかも、今年で学園を卒業する彼にとっては特別な大会かと思って、手作りのアミュレットまで用意してたんだったわ。元々、手作りで作るのが好きだったし。杏奈の記憶が戻る前だったけど、無意識にミサンガ風に紐を編んで、そこに特注しておいた、小ぶりのアメジストのペンダントトップをつけて。紐も糸から選んで、銀糸をメインに彼の髪色の黒の糸も入れて編んだのよね。豪華版ミサンガみたいな。結構、大作だと思うのよ。更に、いつでも渡せるように、メッセージカードを入れて、すでにラッピングまでしてあるという手際の良さ…。

 あぁ、こんなことしてたから、病を拗らせて、死にそうになったのかしら。

「今年は忙しいし、婚約が白紙になるので剣術大会には行かない。だから、クッキーも焼かないわ。」

 カーラは絶句してしまった。

「近いうちに婚約の話はなくなるわ。まだ正式に発表してないから、内密にしてね。やっと解放されるのよ。」

 私はニヤリと笑う。

「お嬢様、私は何と言っていいものか分かりませんが。ただ、お嬢様の幸せを願ってます。」

「ありがとう。いつもカーラがいるお陰で、私は元気でいれるの。これからもよろしくね。それと、あのアミュレットも処分しておいてね。」

「お嬢様、あのアミュレットは心をこめて、手間暇をかけて、お嬢様が手作りした物ですよ。とても素晴らしく出来上がっていて、私には捨てることは出来ません。」

 確かに自信作ではあるが、あの方を思い出したくないので、手元に置きたくないのよね。私にとっては不快な思い出の作品だし。

「じゃあ、カーラにあげるわ。アメジストならお金に替えて使えるだろうから。」

 カーラは少し考え込んでから、では大切に預からせて頂きますとのことだった。


 それと、もう一つ忘れていたこと。

 ヒロイン気取りこと、エイミー・ケール嬢が学園を退学したらしい。田舎の男爵の後妻として、嫁いだんだって。

 謹慎明けたら、学園に戻ってくるかと思っていたが、全く反省する様子がないし、王家と公爵家と侯爵家に目をつけられているので、まともな縁談も期待出来そうにないから、厄介払いされたようだ。

 前妻との間に子供が数人いる男爵家で、そこまで裕福じゃないらしいから、子育て要員だろうって。クラスの情報通のクロエ様が教えてくれた。

 王太子殿下や高位の貴族令息相手に、一生懸命に婚活してたのに、呆気なかったなぁ。

 ヒロイン気取りが、前妻の子育てをするとか、想像できないが…。

 ヒロイン気取りが、幸せになれることを祈ろう。
 

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