元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
16 / 161
アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します

これから

しおりを挟む
 卒業認定試験を終えたある日の休日、私はお父様と2人で、お母様が王家から頂いてきた領地を見に来ている。

 元々の侯爵領より南部に位置し、温暖な気候で、植物や野菜の栽培に適した土地。王都から馬車で2時間位で、便はいい方だと思う。
 確かにリタイアしたら、住むには良さそうな雰囲気ね。のんびりしているし、領民も気の良さそうな方ばかりに見える。

 今は領主代理として、王宮で文官をしていたという初老の男性が夫婦で住んでいる。穏やかで優しそうなおじ様に見えるが、…多分やり手ね。お父様とお母様が選んだ方のようだから。年齢的にも、あと数年で引退を考えていたようだ。

 領地経営に興味を持ち、特産品の薬草・野菜を学ぶ為、隣国に留学するということをすでに知らされていた様で、お待ちしてますとの事であった。
 未来の師匠になる方なので、よろしくお願いしますと挨拶をする。もし、他にも人が必要なら、今のクラスに優秀な方がいることも一応伝えておいた。クラスメイトの文官志望の人達、本当に優秀だからね。

 領地を見学出来て良かった。気が引き締まったと思う。


 隣国の高等学園の入学式まで、あと4ヶ月あるが早めに隣国入りし、準備期間として隣国のマナーや高等学園での勉強の予習などをすることになった。叔母様が、一流の講師を準備して待っていてくれるらしい。
 本当に有難いと思う。結果を出せるように頑張らなくては。

 ちなみに、入学・卒業のシーズンは隣国も我が国も同じ時期である。
 高等学園は貴族学園からの推薦で入れるが、卒業試験が難しいらしいので、入ってからも気が抜けないようだ。


 私は長期休暇に入る前日まで貴族学園に在籍することになった。
 そして長期休暇前日に行われる学園主催のダンスパーティーで、学園長から在校生に向けて、私の卒業を正式に発表するので、必ず参加するようにねと、学園長から念を押されてしまった。

 ええ、参加しますとも。私の人生で初めてエスコートを申し込まれたのですから。

 ダンスパーティーに向けて、令嬢達がドレスはどうするか話をしている場面をよく見かける。みんな楽しみにしているのねぇ、なんて言ったら、レベッカが、いやいや、みんなアンとマディソン様は当日どうなのかって噂してるわよーだって。

 どうなのって言う関係ではない!仲良くさせてもらっている先輩と後輩ですわ。

 そして、私の周りでパーティーに向けて一番張り切っているお方がいる。
 そうです。うちのお母様でございます。こういうのって、日本の成人式みたいに母親が張り切るのかしら。お母様は、王女時代から贔屓にしている王国一の人気デザイナーを呼びだしていたのだった。権力って凄いデスネ。

 アラサー杏奈としては、あまりヒラヒラ・ゴテゴテしているのは嫌なので、Aラインのオフショルダーの形にしてもらいました。シンプルになり過ぎないように、生地はデザイナーオススメもの(これから売り出したいみたい)にして、小さな花や蝶々の飾りを散りばめるようにつけ、10代らしく?少しだけかわいい要素も入れてもらいました。色は迷ったのですが、青空のようなブルーに決めました。

 アクセサリーは、元婚活女子の憧れだったダイヤモンドのネックレスとリングにしちゃった。


 そして、いよいよダンスパーティー当日である。

 カーラ達が一週間前から、念入りにお肌のパックやマッサージ、髪のトリートメントをしてくれたので、一時期、レポート作成や試験勉強で寝不足による肌荒れなどが酷かったのが、嘘のようである。
 あぁ、杏奈はブライダルエステに憧れていたなぁなんて、今更思い出す私であった。

 湯浴み、トリートメント、マッサージをして磨かれる私。
 メイクはドレスに合わせていつもよりは華やかに。でもあまりキツくしないでと頼んでおいた。
 髪型は緩く巻いて、サイドハーフアップにして、下ろしている髪もサイドに流してもらい、花の髪飾りを着けてもらう。
 ドレスを着て、はい。できました!

 私よりカーラ達が喜んでいますよ。ありがとう。最高の侍女たち。なんて思っていると、シリル様がお迎えに来てくださったらしい。

 玄関ホールに降りて行くと、すでにお母様とフィル(弟)がシリル様を出迎えて会話をしていた。ん、お母様が喜んでいるわね!表情は淑女の綺麗な笑みを浮かべているが、私はお母様が本気で喜んでいるのが、何となくオーラで分かるのです。

 フィルも、元婚約者にはブスくれていたのに、今日はいつもの天使の笑顔だ。

 婚約を白紙にして、心配掛けてたからなぁ。シリル様みたいな大物がエスコートしてくれるって知って、「よくやったわ!」とか言ってたし、安心したんだろうね。パーティーで肩身の狭い思いをしなくて済みそうだし。

 シリル様は黒のフロックコートを着こなし、いつもサラサラの水色の髪は後ろに流している。
 …カッコいい!!貴族学園のミスターコンテストがあるなら、私はシリル様に投票します、絶対に!うちわ作って応援します!

 騎士のようにムキムキではなく、程よい身長と筋肉、そして眼鏡の似合うイケメン。フロックコートが似合わない訳がない。
 こんなステキな方に、貴族学園最後のパーティーをエスコートしていただけるなんて、幸せです。

 なーんて、考えていたら、ふいにシリル様と目が合う。

「……綺麗だな。」

 えっ?綺麗って言ってくれた?そんなの元婚約者は一言も言ってくれなかったのに。

 アラサーでも、ちょっと恥ずかしくなって、多分顔が赤くなってると思う。お母様と侍女たちの生暖かい目がキツい。

「シリル様もとても素敵ですわ。今日はよろしくお願い致します。」

「こちらこそ。それと、もし良ければ、これを着けてくれないだろうか?」

 シリル様が差し出してくれたのは、白薔薇の髪飾り。光にあたって綺麗にキラキラ輝いている。よくみると、透明度の高いダイヤが、薔薇の周りに散りばめられていて、とても高価そうね。ってあれ?シリル様の胸元に飾ってある白薔薇と一緒?お揃い?

 私がお礼を言う前に、

「まぁ、素敵な髪飾りね。カーラ、直ぐにアンに着けてあげて。」

「かしこまりました。お嬢様、こちらへ。」

 おい!お母様とカーラ、返事早いな。

 カーラがテキパキと髪飾りを付け替えてくれた。うん、とても綺麗。ドレスにも、ネックレスにも合ってる。そーいえば、少し前に、ドレスの色とアクセサリーについて聞いてきたのは、そう言うことか。

「シリル様、とても素敵な髪飾りありがとうございました。このような贈り物は初めてですので、とても嬉しいですわ。大切に使わせていただきます。」

 私は心からのお礼を伝えた。

「喜んでくれたなら、良かった。それに、よく似合っている。」

 その微笑みは、反則ですよー!

「それでは、お手をどうぞ。」

 シリル様の大きな手。私は迷わずその手を取るのだった。

 上手く笑えているかな?













 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

処理中です...