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アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します
閑話 ある公爵令息の話 1
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彼女と初めて会った時、その可愛さに目を奪われた。
父の昔からの親友だと言うスペンサー侯爵が、我が公爵家に一緒に連れてきた娘のアンネマリー嬢。
初めて会ったのは私が8歳で彼女は6歳の時。母親である元第二王女によく似た美少女で、水色のパッチリした大きな瞳に、整った愛らしい顔立ち。プラチナブロンドの美しい髪はサラサラしていて、思わず触れたくなってしまう程だ。
見た目は美しい完璧な御令嬢だが、貴族令嬢にありがちな傲慢さがなく、明るく素直な、皆に愛される性格であったと思う。何度か会ううちに、すっかり打ち解け、屈託のない笑顔で私を「お兄様」と呼び、かわいい妹のようだと思っていた。
しかしある日、自分の本当の気持ちに気付くことになる。この時、私は10歳で彼女は8歳であった。
きっかけは王家の主催する、親子で参加したお茶会での事だ。
彼女を妖精姫と呼ぶ大人達。美しい彼女を見て、顔を赤くする令息達。…面白くなかった。
そして、明らかに彼女を特別扱いする近衛騎士達。後で母に聞いたが、元第二王女に憧れていた近衛騎士が沢山いたので、元第二王女にそっくりな美少女のアンネマリーは近衛騎士達にとって特別なのだろうと。…とても不愉快だと思った。
従兄弟の第一王子殿下に至っては「アン」と彼女を呼び、手を繋いだり、頭を撫でたりと距離がとても近い。彼女も嫌がることなく、ニコニコして「お兄様」と呼ぶ。…お兄様って殿下にもそう呼んでいるのか?
自分だけがそう呼ばれているのではないのか。私は彼女にとって特別ではないのか?
自分の心の中が、ドス黒く染まっていくのが分かった。
しかし、彼女はそのようなことにも気づかず、あの屈託のない笑顔を見せて、周りに話し掛けたり、お菓子を勧めたりと、更に魅了するので、見ているこっちがハラハラしてしまう。
更にお茶会に参加していた大人達の会話を聞いて、どうしようもない気持ちになるのであった。
「スペンサー家のアンネマリー嬢は、美姫と言われた元第一王女と第二王女に劣らないくらい美しいな。」
「今の王家には姫がいないから、何かあればアンネマリー嬢が、他国の王族に嫁ぐのだろうな。」
「そうなるだろう。殿下の婚約者のファーエル公爵令嬢と一緒にマナーや教養を学んでいるらしいから。」
何を話しているんだ。アンネマリーが他国に嫁ぐ?そんなの許さない。絶対に誰にも渡すものか。
お茶会が終わり公爵邸に戻った後、両親に今日聞いてしまった話について聞いてみることにした。
「父上、今日のお茶会で耳にしたのですが、アンネマリー嬢はいずれは他国に嫁ぐのでしょうか?」
「ああ、そのことか。決まってはいないが可能性はある。王家の血を引く未婚の姫は、アンネマリー嬢だけだからな。」
「くっ!そんなの嫌です。」
「アンネマリー嬢が好きなのか?」
「はい。誰にも渡したくないのです。」
「…そうか。侯爵家に話してみるか。」
「ふふっ。アンネマリーちゃん、可愛いし、性格もいいから人気がありそうね。頑張りなさい。」
何故か母上は楽しそうにしていた。
後日、私と両親、スペンサー侯爵で話す機会を設けられた。
「君はアンネマリーが好き?婚約したいの?」
無駄を嫌う侯爵がストレートに聞いてくる。
「はい。アンネマリー嬢が好きです。婚約をお許し頂けませんか?」
「条件があるけど、いいかな?」
「条件とは何でしょうか?」
「私達夫婦は貴族では珍しく、恋愛で結ばれた結婚だから、アンネマリーにも望む人と結婚してもらいたいと思っている。今のアンネマリーはまだ恋愛とか婚約について、まだ深く理解していないようだから、今すぐ婚約というのは、反対なんだ。」
「でも、知っているようだけど、アンネマリーは王家の血を引く唯一の未婚の令嬢だから、このまま婚約者をつくらないと他国からの縁談が来てしまう可能性がある。私達は他国にアンネマリーは嫁がせたくないから、それも嫌でね。」
「だから、18歳になるまでは、君と仮の婚約と言うことにして、その時にお互いが思い合っていて納得していたら、婚約と結婚の話を認めるということでいいだろうか。もちろん、18歳になる前に、君の心変わりやアンネマリーが違う人を選ぶ可能性もあるから、その時は仮の婚約の話も白紙に出来るということにして。」
「それでもいいなら、今すぐにでも仮ではあるが、婚約を認めるよ。」
18歳になった時に、お互い思い合っていれば正式に婚約と結婚を認めてもらえる。それなら今は他国からの縁談避けであろうと我慢しよう。仮とはいえ婚約者になれるならそれでいい。そのくらい、彼女が好きだし、誰にも渡したくなかった。
私は侯爵の条件をのむことにした。
この条件が後の自分を苦しめるとは知らずに。
第一王子殿下→後の王太子殿下
父の昔からの親友だと言うスペンサー侯爵が、我が公爵家に一緒に連れてきた娘のアンネマリー嬢。
初めて会ったのは私が8歳で彼女は6歳の時。母親である元第二王女によく似た美少女で、水色のパッチリした大きな瞳に、整った愛らしい顔立ち。プラチナブロンドの美しい髪はサラサラしていて、思わず触れたくなってしまう程だ。
見た目は美しい完璧な御令嬢だが、貴族令嬢にありがちな傲慢さがなく、明るく素直な、皆に愛される性格であったと思う。何度か会ううちに、すっかり打ち解け、屈託のない笑顔で私を「お兄様」と呼び、かわいい妹のようだと思っていた。
しかしある日、自分の本当の気持ちに気付くことになる。この時、私は10歳で彼女は8歳であった。
きっかけは王家の主催する、親子で参加したお茶会での事だ。
彼女を妖精姫と呼ぶ大人達。美しい彼女を見て、顔を赤くする令息達。…面白くなかった。
そして、明らかに彼女を特別扱いする近衛騎士達。後で母に聞いたが、元第二王女に憧れていた近衛騎士が沢山いたので、元第二王女にそっくりな美少女のアンネマリーは近衛騎士達にとって特別なのだろうと。…とても不愉快だと思った。
従兄弟の第一王子殿下に至っては「アン」と彼女を呼び、手を繋いだり、頭を撫でたりと距離がとても近い。彼女も嫌がることなく、ニコニコして「お兄様」と呼ぶ。…お兄様って殿下にもそう呼んでいるのか?
自分だけがそう呼ばれているのではないのか。私は彼女にとって特別ではないのか?
自分の心の中が、ドス黒く染まっていくのが分かった。
しかし、彼女はそのようなことにも気づかず、あの屈託のない笑顔を見せて、周りに話し掛けたり、お菓子を勧めたりと、更に魅了するので、見ているこっちがハラハラしてしまう。
更にお茶会に参加していた大人達の会話を聞いて、どうしようもない気持ちになるのであった。
「スペンサー家のアンネマリー嬢は、美姫と言われた元第一王女と第二王女に劣らないくらい美しいな。」
「今の王家には姫がいないから、何かあればアンネマリー嬢が、他国の王族に嫁ぐのだろうな。」
「そうなるだろう。殿下の婚約者のファーエル公爵令嬢と一緒にマナーや教養を学んでいるらしいから。」
何を話しているんだ。アンネマリーが他国に嫁ぐ?そんなの許さない。絶対に誰にも渡すものか。
お茶会が終わり公爵邸に戻った後、両親に今日聞いてしまった話について聞いてみることにした。
「父上、今日のお茶会で耳にしたのですが、アンネマリー嬢はいずれは他国に嫁ぐのでしょうか?」
「ああ、そのことか。決まってはいないが可能性はある。王家の血を引く未婚の姫は、アンネマリー嬢だけだからな。」
「くっ!そんなの嫌です。」
「アンネマリー嬢が好きなのか?」
「はい。誰にも渡したくないのです。」
「…そうか。侯爵家に話してみるか。」
「ふふっ。アンネマリーちゃん、可愛いし、性格もいいから人気がありそうね。頑張りなさい。」
何故か母上は楽しそうにしていた。
後日、私と両親、スペンサー侯爵で話す機会を設けられた。
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無駄を嫌う侯爵がストレートに聞いてくる。
「はい。アンネマリー嬢が好きです。婚約をお許し頂けませんか?」
「条件があるけど、いいかな?」
「条件とは何でしょうか?」
「私達夫婦は貴族では珍しく、恋愛で結ばれた結婚だから、アンネマリーにも望む人と結婚してもらいたいと思っている。今のアンネマリーはまだ恋愛とか婚約について、まだ深く理解していないようだから、今すぐ婚約というのは、反対なんだ。」
「でも、知っているようだけど、アンネマリーは王家の血を引く唯一の未婚の令嬢だから、このまま婚約者をつくらないと他国からの縁談が来てしまう可能性がある。私達は他国にアンネマリーは嫁がせたくないから、それも嫌でね。」
「だから、18歳になるまでは、君と仮の婚約と言うことにして、その時にお互いが思い合っていて納得していたら、婚約と結婚の話を認めるということでいいだろうか。もちろん、18歳になる前に、君の心変わりやアンネマリーが違う人を選ぶ可能性もあるから、その時は仮の婚約の話も白紙に出来るということにして。」
「それでもいいなら、今すぐにでも仮ではあるが、婚約を認めるよ。」
18歳になった時に、お互い思い合っていれば正式に婚約と結婚を認めてもらえる。それなら今は他国からの縁談避けであろうと我慢しよう。仮とはいえ婚約者になれるならそれでいい。そのくらい、彼女が好きだし、誰にも渡したくなかった。
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