元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

閑話 男爵令嬢 3

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 フォーレス侯爵令息の義妹の友人達も、他の御令嬢達から嫌がらせを受けているようだ。
 聖女子学園から彼女達が編入して来たおかげで、AクラスからBクラスに降格してしまった令嬢達。その事で僻んでいるんだろう。Aクラスの子息は高位貴族が多く、彼らとお近づきになりたいなら、同じクラスでいたいだろうから。
 ふん!着飾って、媚びるしか能がないただの令嬢が、あの聖女子出身の令嬢達に敵うはずがないのに。馬鹿みたい。
 食事中に、飲み物をかけようとして、跳ね返されたり、バケツの水で嫌がらせをしようとして、自分で水を被ってしまったりと、第三者から見てもレベルの低い嫌がらせをして、すべてサラリとかわされているのだ。
 あの令嬢達は、高度な魔法を使いこなしているのね。まともにやり合って敵うはずがないじゃない。
 彼女達は、とにかく隙がなく、頭の切れる令嬢達だ。授業中、難しい問題を急に振られても、余裕で解いてみせる。本当に優秀な人達なのね。

 私は今までのように、上位で残ることが出来るかしら。文官になるためには、上位でいなければいけない。負けられないの。
 私は今まで以上に勉強に取り組むのだった。時々、精神的に疲れてしまう。そんな時、フォーレス侯爵令嬢の机に落書きをして、鬱憤を晴らした事があった。誰も居ないし、私がやるなんて思っていないわ。

 入学して1ヶ月になる頃に、貴族学園主催の入学祝いのパーティーがあった。まだ社交会デビュー前なので、本格的なパーティーは初めてである。パーティーの数日前、いつも、私にあまり関心のない母と姉がドレスとアクセサリーを持って、寮に来てくれた。姉のドレスを手直しして、私に着せてくれるらしい。あまり期待していなかったが、初めて着るパーティー用のドレスは嬉しかった。
 当日、姉が来てくれてドレスの着付けと、メイクをしてくれた。またパーティーの作法が身に付いてない私の為に、姉が色々と教えてくれた。正直、とても助かったと思う。うちみたいな裕福でない末端貴族は、作法やダンスレッスンなんて、なかなか受けられないから。初めて姉に感謝した。
 準備を終えて、パーティー会場に向かうと、すでに沢山の生徒が集まっていた。みんなステキに着飾っている。その時、会場が一瞬ざわつく。誰か来たのかと思い、入り口の方を見ると、フォーレス侯爵令息と義妹の令嬢が2人そろって来たところであった。
 フォーレス侯爵令息はフロックコートがとても似合っていた。長身の彼なら何でも似合うのだろうが、令嬢達は、かっこいい彼を見つめている。私も彼に見惚れてしまった。
 しかし、彼がエスコートしている義妹はそれ以上に目を引いていた。照明に反射してキラキラ光っている水色のドレス。あれはダイヤモンドでも散りばめられているの?私の姉のドレスとは全然違うわね。
 美しい彼女に見惚れている沢山の令息達。そして、彼女をエスコートする彼は幸せそうな表情をしていた。彼のあの顔は、彼女を義妹として見ていないわ。きっと彼は義妹以上の感情を持っている。
 彼女を見るのがつらい。どうして私はこんなに惨めなんだろう…。
 美しい2人を見るのが嫌で、私は会場の隅に移動して、パーティが始まるのを静かに待つことにした。

 学園長や生徒会長が挨拶をして、パーティーが開始される。ファーストダンスは王太子殿下夫妻が2人だけで踊るらしい。初めて王太子殿下夫妻を見たけど、2人とも美しい方ね。気品が溢れているわ。
 その時に、私からは見えなかったが、会場のドアが開いて誰かが入って来たようだ。ホール真ん中で、ダンスを踊ろうとした、王太子殿下がドアの方を見て、従者に何か指示を出している。従者は急いで、ドアの方に行く。誰かを呼びに行ったのかしら?その後、呼ばれたと思われる男女がホールに出てくる。えっ?あの令嬢は、フォーレス侯爵令嬢じゃないの。どうして、彼とは違う男性と出てくるの?

 音楽が始まり、2組が踊り出す。王太子殿下夫妻は完璧なダンスを披露していた。フォーレス侯爵令嬢は私と同じ歳だから、まだデビュー前だ。いくら沢山レッスンをしていたとしても、学園の生徒みんなに注目されて、慣れないダンスを踊るなんて…。失敗して、恥でもかけばいいわ。ふふっ。
 私はあの完璧なフォーレス侯爵令嬢が恥をかくことを無意識に期待していた。しかし、その期待はあっさりと裏切られる。
 フォーレス侯爵令嬢のダンスは、ダンスがよく分からない私から見ても、とても綺麗で優雅であった。一緒に踊っている、少し年上の美丈夫とも息がピッタリ合っていて、初めてとは思えない程、落ち着いて踊っていた。踊りながら、美丈夫と何か会話をしているようだが、美丈夫が彼女に優しく微笑みかけている。彼女は、誰にでも好かれるのね…。
 みんな2人を見て、ステキだとか、綺麗だとか、フォーレス侯爵令嬢はダンスまで上手なのねとか言っている。
 近くにいた、令息達の話し声が聞こえてくる。

「フォーレス侯爵令嬢と踊っているのは、王太子殿下の1番の側近のマディソン卿だよな。あの方が令嬢とダンスを踊るなんて、初めて見た気がするよ。」

「次期宰相だろ。頭が切れすぎて、怖いって噂の。あんな風に微笑むんだな。フォーレス侯爵令嬢はすごいよな!」

「王太子殿下は、2人をどうしたいのだろう?時々、妃殿下と一緒に、2人を面白そうに見つめているぞ。」

「自分の側近と、かわいい身内の縁談でも進めたいのか?」

「身分も釣り合っているし、美男美女でお似合いじゃないのか。でも、御令嬢の義兄は面白くないだろうな。」

 彼女はフォーレス侯爵令息だけでなく、次期宰相様にも求められているの?
 どうして彼女ばかりが愛されるの?どうして…。

 パーティーの後日、私はフォーレス侯爵令嬢のノートを破いていた。悪いことは分かっていても、もう止められなかった。

 
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