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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
お誘い 1
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今日は週末で学園がお休みの日。私は今、学園の寮に迎えに来てくれた、美丈夫ことシリル様と馬車に乗っている。なぜこの方と一緒にいるのかと言うと…。
昨日の放課後に、母が訪ねてきたころから始まる。
少し前に、父や義兄には内緒と口止めをされ、昨日と今日をあけておくように言われていた。
そして昨日の放課後、メイドを引き連れ、ドレスやアクセサリー・新作の香油を持って寮にやって来たお母様。何だ?と思ったら、明日、観劇のお誘いを受けたから、このドレスとアクセサリーを着けて行って来なさいとの命令であった。
人気の演目でなかなか取れないチケットらしいわ!マリー、これは行かなければ人生損するわよと、すごい圧の笑顔で言われた。コレはお母様の絶対命令ね!
誰が誘ってくれたのですか?と聞いたら、王太子殿下がチケットが余っているから、側近のマディソン様と一緒に行ってはいかがと、声を掛けて頂いたのよと。お母様、少し興奮してません?すると、マディソン様は次期宰相で人気のある方よと。独身貴族の中の大物中の大物だから、これは絶対に行かないとダメ!少し年上だけど、貴族は歳の差カップルは珍しくないし、そんなことが気にならないくらいかっこいいし、有望な方だから、社会勉強だと思って行って来なさいね、と気合いをいれられた。
綺麗な母が、お見合いおばさんに見えてきたわね。
更に続く。
お父様とアルには、絶対に秘密よ!あの2人がいたら、マリーは一生独身になってしまうかもしれないわ。お母様はアナタの味方だから、素敵な人がいたら、まずはお母様だけに相談するようにしてね、間違ってもアルには言ってはダメ、絶対にバレないようにやりなさい、と注意事項まで念を押された。
義兄よ…、アナタは母にも警戒されてるぞ!
お母様の絶対命令により、昨夜から磨かれ、お母様セレクトの少し大人っぽいデザインの、品の良いグレーブルーのドレスを着せられて、寮の正面の門のところに行くと、立派な黒塗りの馬車と、護衛騎士を連れたシリル様が待っていてくれたのだった。
シリル様は私を見ると、優しく微笑んでくれる。知的イケメンの笑顔は危険だわ!
「マリーベル嬢、今日は時間をつくってくれてありがとう。君に会えるのを楽しみにしていたんだ。」
さすが、大人の男性ね。サラッと女性が喜ぶことを言ってくれるわ。
「こちらこそ、お誘いありがとうございます。男性と2人で出かけるのは、家族以外で初めてですので、少し緊張していますが、今日はよろしくお願いしますわ。」
なかなか、こんな大人のイケメンとデートまがいのことなんてないから、アラサーとしては楽しみかも。
思わず笑みが溢れる私。
「……君は、笑顔が綺麗だな。」
そう言って、私をエスコートして馬車に乗せてくれた。エスコートもステキにこなすのね。
そして、馬車でやって来たのは、某国のオペラ座のような雰囲気の建物。ステキな建物ね!海外旅行好きのアラサーとしては、キョロキョロと色々と観て歩きたいが、今そんなことをしたら、田舎くさいと思われちゃうから我慢ね。
シリル様にエスコートされて、中に入っていくと、沢山の人の視線が感じるわね。まぁ、独身貴族の大物が私みたいな小娘を連れているから、目立つのでしょうけどね。
うわー、少し年上と思われる御令嬢?お姉様方?の視線は敵意に満ちているわね。ふふっ。面白いわね。これはトイレで絡まれるパターンかしら?今日は頭から、足先まで、ドレスを汚さないように、念入りに保護魔法をかけて来たからバッチ来いよ!しかも、最近は学園で仲間達に保護魔法かけまくっていたからか、鍛えられて、前より強力な保護魔法になりつつあるのよね。ナイフで刺されても平気かもしれないわ。
思わず、お姉様達に向かって微笑む私。ん?何で目を逸らすのよ。
「ふっ。マリーベル嬢は、なかなか面白い御令嬢のようだな。ふっ…。」
シリル様がなぜが笑っている。私が不思議そうに見つめると、
「ああ、失礼。君の笑顔には誰にも敵わないってことだ。あんな女狐なんて放っておいて、行こう!」
うん。この方の笑顔は危険だけど、安心もするわね。
そして、案内されたのは広めのボックス席。学生なのにいいのかしら?
「あの、シリル様。このような立派な席でよろしいのでしょうか?」
「遠慮はいらない。これは王族専用の席だからな。君は王族の姫なのだから。殿下と妃殿下が、ぜひ君に使って欲しいと言っていたし。」
そう言って、立派な椅子を引いてくれる。何だか恐縮してしまうが、せっかくなので楽しもう。
「私は観劇を観に来るのは初めてなので、とても楽しみにしてましたの。」
昨日からだけどねー!すると、シリル様は
「そうだったのか。君さえよければ、また誘ってもいいだろうか?」
「なかなか外出する機会もないので、誘って頂けるのなら、光栄ですわ。」
この世界に生まれて、自由に外出してないからね。こんな大人のイケメンなら大歓迎よ。
「じゃあ、仕事が休みの日が分かったら、また連絡させていただくよ。」
「まぁ、嬉しいですわ。あっ!ただ一つ注意して頂きたい事がありまして…。父と義兄にバレると面倒そうなので、出来れば2人にバレないように、今回みたいに母を通してくださると嬉しいですわ。」
「その方が良さそうだな。マリーベル嬢のお父上も義兄上も、貴女が可愛くて仕方がないのだろう。私は妹も娘もいないから分からなかったが、君みたいな家族がいたら、君のお父上と義兄上のようになっていたかも知れないな。」
ふぅ、あまり気にしないでいてくれて、有難いけど、あの義兄は恐ろしいから、気を付けないとね。
2人で楽しく話をしていると、照明が落とされる。観劇が始まるのね。
今日の演目は、原作が私の好きなロマンス小説であった。
主人公の令嬢は、子供の頃から大好きで、結婚の約束までしていた彼に、ある日突然、別に好きな人が出来たと別れを告げられる。納得出来ず、深く落ち込む令嬢。友人や家族に励まされ、何とか立ち直った令嬢は、大好きだった彼が病気で余命幾ばくも無いということを知る。実は彼は心変わりではなく、病気で先がない事を知って身を引いたのだった。それを知った令嬢は、家族や友人の反対を押しきり、毎日、彼の元に看病に行く。初めは彼女の看病を拒否していた彼も、献身的な彼女の姿に折れて、彼女の看病を受け入れる。最期は、彼女と手を繋ぎ息を引き取る彼。また君に逢いたい、生まれ変わったら、必ず君を見つけ出すよと言い残して。そして、残された令嬢は……。
涙を流しながら、観劇に夢中になり過ぎていた私。
その時、隣に座るシリル様が私の手を握っていたのだった…。
昨日の放課後に、母が訪ねてきたころから始まる。
少し前に、父や義兄には内緒と口止めをされ、昨日と今日をあけておくように言われていた。
そして昨日の放課後、メイドを引き連れ、ドレスやアクセサリー・新作の香油を持って寮にやって来たお母様。何だ?と思ったら、明日、観劇のお誘いを受けたから、このドレスとアクセサリーを着けて行って来なさいとの命令であった。
人気の演目でなかなか取れないチケットらしいわ!マリー、これは行かなければ人生損するわよと、すごい圧の笑顔で言われた。コレはお母様の絶対命令ね!
誰が誘ってくれたのですか?と聞いたら、王太子殿下がチケットが余っているから、側近のマディソン様と一緒に行ってはいかがと、声を掛けて頂いたのよと。お母様、少し興奮してません?すると、マディソン様は次期宰相で人気のある方よと。独身貴族の中の大物中の大物だから、これは絶対に行かないとダメ!少し年上だけど、貴族は歳の差カップルは珍しくないし、そんなことが気にならないくらいかっこいいし、有望な方だから、社会勉強だと思って行って来なさいね、と気合いをいれられた。
綺麗な母が、お見合いおばさんに見えてきたわね。
更に続く。
お父様とアルには、絶対に秘密よ!あの2人がいたら、マリーは一生独身になってしまうかもしれないわ。お母様はアナタの味方だから、素敵な人がいたら、まずはお母様だけに相談するようにしてね、間違ってもアルには言ってはダメ、絶対にバレないようにやりなさい、と注意事項まで念を押された。
義兄よ…、アナタは母にも警戒されてるぞ!
お母様の絶対命令により、昨夜から磨かれ、お母様セレクトの少し大人っぽいデザインの、品の良いグレーブルーのドレスを着せられて、寮の正面の門のところに行くと、立派な黒塗りの馬車と、護衛騎士を連れたシリル様が待っていてくれたのだった。
シリル様は私を見ると、優しく微笑んでくれる。知的イケメンの笑顔は危険だわ!
「マリーベル嬢、今日は時間をつくってくれてありがとう。君に会えるのを楽しみにしていたんだ。」
さすが、大人の男性ね。サラッと女性が喜ぶことを言ってくれるわ。
「こちらこそ、お誘いありがとうございます。男性と2人で出かけるのは、家族以外で初めてですので、少し緊張していますが、今日はよろしくお願いしますわ。」
なかなか、こんな大人のイケメンとデートまがいのことなんてないから、アラサーとしては楽しみかも。
思わず笑みが溢れる私。
「……君は、笑顔が綺麗だな。」
そう言って、私をエスコートして馬車に乗せてくれた。エスコートもステキにこなすのね。
そして、馬車でやって来たのは、某国のオペラ座のような雰囲気の建物。ステキな建物ね!海外旅行好きのアラサーとしては、キョロキョロと色々と観て歩きたいが、今そんなことをしたら、田舎くさいと思われちゃうから我慢ね。
シリル様にエスコートされて、中に入っていくと、沢山の人の視線が感じるわね。まぁ、独身貴族の大物が私みたいな小娘を連れているから、目立つのでしょうけどね。
うわー、少し年上と思われる御令嬢?お姉様方?の視線は敵意に満ちているわね。ふふっ。面白いわね。これはトイレで絡まれるパターンかしら?今日は頭から、足先まで、ドレスを汚さないように、念入りに保護魔法をかけて来たからバッチ来いよ!しかも、最近は学園で仲間達に保護魔法かけまくっていたからか、鍛えられて、前より強力な保護魔法になりつつあるのよね。ナイフで刺されても平気かもしれないわ。
思わず、お姉様達に向かって微笑む私。ん?何で目を逸らすのよ。
「ふっ。マリーベル嬢は、なかなか面白い御令嬢のようだな。ふっ…。」
シリル様がなぜが笑っている。私が不思議そうに見つめると、
「ああ、失礼。君の笑顔には誰にも敵わないってことだ。あんな女狐なんて放っておいて、行こう!」
うん。この方の笑顔は危険だけど、安心もするわね。
そして、案内されたのは広めのボックス席。学生なのにいいのかしら?
「あの、シリル様。このような立派な席でよろしいのでしょうか?」
「遠慮はいらない。これは王族専用の席だからな。君は王族の姫なのだから。殿下と妃殿下が、ぜひ君に使って欲しいと言っていたし。」
そう言って、立派な椅子を引いてくれる。何だか恐縮してしまうが、せっかくなので楽しもう。
「私は観劇を観に来るのは初めてなので、とても楽しみにしてましたの。」
昨日からだけどねー!すると、シリル様は
「そうだったのか。君さえよければ、また誘ってもいいだろうか?」
「なかなか外出する機会もないので、誘って頂けるのなら、光栄ですわ。」
この世界に生まれて、自由に外出してないからね。こんな大人のイケメンなら大歓迎よ。
「じゃあ、仕事が休みの日が分かったら、また連絡させていただくよ。」
「まぁ、嬉しいですわ。あっ!ただ一つ注意して頂きたい事がありまして…。父と義兄にバレると面倒そうなので、出来れば2人にバレないように、今回みたいに母を通してくださると嬉しいですわ。」
「その方が良さそうだな。マリーベル嬢のお父上も義兄上も、貴女が可愛くて仕方がないのだろう。私は妹も娘もいないから分からなかったが、君みたいな家族がいたら、君のお父上と義兄上のようになっていたかも知れないな。」
ふぅ、あまり気にしないでいてくれて、有難いけど、あの義兄は恐ろしいから、気を付けないとね。
2人で楽しく話をしていると、照明が落とされる。観劇が始まるのね。
今日の演目は、原作が私の好きなロマンス小説であった。
主人公の令嬢は、子供の頃から大好きで、結婚の約束までしていた彼に、ある日突然、別に好きな人が出来たと別れを告げられる。納得出来ず、深く落ち込む令嬢。友人や家族に励まされ、何とか立ち直った令嬢は、大好きだった彼が病気で余命幾ばくも無いということを知る。実は彼は心変わりではなく、病気で先がない事を知って身を引いたのだった。それを知った令嬢は、家族や友人の反対を押しきり、毎日、彼の元に看病に行く。初めは彼女の看病を拒否していた彼も、献身的な彼女の姿に折れて、彼女の看病を受け入れる。最期は、彼女と手を繋ぎ息を引き取る彼。また君に逢いたい、生まれ変わったら、必ず君を見つけ出すよと言い残して。そして、残された令嬢は……。
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その時、隣に座るシリル様が私の手を握っていたのだった…。
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