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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 従兄妹 2
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騎士団の遠征から戻ったある日、邸に入ると、子供の頃に嗅いだ覚えのある、甘い良い匂いがする。過去に、午後のこの時間にお菓子を焼いていたのは、姉だけだったなと思い出す。良い匂いが気になった私は、調理場の中を覗いてみることにした。
すると、そこには、亡くなったはずの姉上そっくりの少女がいたのだ。
焼き上がったクッキーを嬉しそうに見つめる、美しい少女。調理場の使用人と会話する声も心地良く、姉の声にそっくりな気がする。私は思わず、
「…姉上」
と、口にしていた。すると、私がいることに気付いた少女は、不思議そうに私を見つめる。水色の綺麗な大きな瞳でじっと見つめられ、心臓がドキンとした。それが何なのかよく分からないが、少女は、見れば見るほど姉に似ている気がする。その時、
「フィル?帰って来たのね。あなた、そこで何をしているの?」
「………あっ。母上、今帰りました。その、懐かしい匂いがしてきたので、気になって覗いたのですが…。」
「ああ、マリーがクッキーを焼いているのよ。まだフィルには紹介していなかったわね。マリー、あなたにも紹介するから、こっちに来てくれる?」
その少女は、私の従兄妹になるらしい。母の歳の離れた弟、フォーレス侯爵家の令嬢。体が弱く、領地で生活している従姉妹がいることは聞いていたが、こんなに姉によく似た、美しい少女だったとは…。
マリーのクッキーを味見させてもらうと、懐かしい味がした。姉がよく焼いてくれた、大好きなクッキーと同じ味がする。母も同じように感じたのだろう。言葉を詰まらせていた。とても美味しくて、何枚でも食べれた。治癒魔法を込めて焼いたと言っていたからか、騎士団の遠征の疲れが無くなっていたような気がする。
クッキーが美味しかったと礼を言うと、マリーは微笑んでくれる。ずっと忘れていたが、私はこの優しい微笑みが大好きだった…。マリーは姉上と同じように微笑むのだな。
夜、王宮から帰ってきた父は、マリーがクッキーを焼いたと聞くと、いつもは夜に甘い物は食べないのに、涙目になりながら何枚も食べていた。溺愛していた姉を思い出したのだろうな。調子に乗った父は、今度はクッキーを焼いたら、王宮に届けて欲しいとまでマリーに頼んでいた。母は呆れていたが、何となく嬉しそうだった。父は母が言うように、マリーが生き甲斐になっているようだ。
そういえば、同じ近衛騎士の友人が、父が王宮の図書館で、すごい美少女をエスコートしていたけど、あれは隠し子か?とか言っていたな。もしかしてと思い、両親に聞いてみると、マリーの勉強の為に、父が一緒に連れて行って案内したという。隠し子と思われていたことを話すと、母がすごく笑っていた。
マリーが自室に戻った後に、何故うちで預かることになったのか話を聞く。
マリーは、幼少期は、体が弱く領地にずっと住んでおり、初等教育は聖女子学園に入学して寮に住んでいたと言う。そして今年、貴族学園に入学したが、その時に初めて、養子で義理の兄のアルベルトに会う。アルベルトは優しいマリーを溺愛し過ぎて、兄妹以上の執着を見せるようになり、しばらく2人を離した方がよいと侯爵夫人が判断したらしい。そして、学園から近くて便利なうちに預けることにしたと言うのだ。
その話を聞いて正直驚いた。アルベルトも色々な令嬢に言い寄られるくらいモテていた。しかし、全く興味を示さないし、素っ気なくあしらっていたはず。そんなアルベルトがマリーに執着するなんて。
母は、マリーは自分に執着するアルベルトに、涙を流すくらい、疲れてしまっているようだから、フィルも関わり方には注意しなさないと話す。マリーが泣くくらいの執着って、あのアルベルトは何をしたのか気になるが…。
マリーは私に対して、従兄妹として当たり障りない感じで接してくれるが、どこか一歩引いているような気がする。アルベルトのことがあったから、警戒されているのか?今までは、しつこい令嬢にうんざりしていたのに、マリーからは壁を感じて、こんなよく分からないような気持ちになるなんて。
マリーはすっかりスペンサー家に慣れて、父も母も実の娘のように可愛がっているようだ。マリーが来てから、邸の雰囲気が明るくなったような気がする。そして、父はマリーが来てから、忙しくても早く帰ってくるようになった。そして私も、無意識にそうなっていたらしい。騎士団の寮の部屋には全く行かなくなっていた。
そんな時、マリーの母のフォーレス侯爵夫人が来て、義兄のアルベルトがちゃんと反省しているので、マリーはそろそろ学園に復帰しても大丈夫だろうと話す。マリーは学業に専念する為に、学園に寮を借りて住んでいたらしいが、その寮に、アルベルトが無理に訪ねてくることはもうないだろうと言うのだ。…アルベルト、そんなことをしていたのか。胸がチクリとした。
マリーは、寮での生活に戻りたいようだが、うちの両親が引き止めていた。せっかく楽しく生活しているのだからと。マリーの母も、うちの両親の思いを汲んでくれたようで、せっかくだから、もうしばらくはお世話になったらと言ってくれ、マリーはしばらくは、うちの邸で生活しながら、学園に通うことになる。そのことで、私はなぜ、安心しているのだろう…?
そして、16歳のマリーのデビュタントを迎える。マリーの父は王弟で陛下の側近としての仕事があるようで、デビュタントは別行動になると聞いた母は、マリーのエスコートを私にさせてくれないかと、マリーの母親に頼んだらしい。そんなことを母がわざわざ頼むなんて珍しいと思ったが、何となく嬉しく感じていた。
デビュタントの白いドレスを着たマリーは、あり得ないくらい美しかった。それをみた両親は、マリー本人より喜んでいたと思う。可愛くて仕方がないのだろう。そして、母はマリーのいないところで、
「フィル!今日はマリーをしっかりエスコートしなさい。マリーには沢山の虫が寄ってくるわ。」
母から気合いを入れられるが、それは、言われなくても分かっている!こんなに可愛くて美しいマリーは、恐らく今日の主役だろう。
会場になる王宮まで移動し、馬車を降りると、マリーは何となく緊張したような表情になる。そんなところが可愛くて、守ってあげたいと庇護欲をそそられる。こんな気持ちは初めてだと思う。不安そうなマリーの手を離したくなくて、エスコートする手をしっかり握る。マリーに大丈夫だと微笑むと、マリーもあの綺麗な微笑みを返してくれる。マリーのこの微笑みは、他の誰にも見せたくないと思う自分がいる。百歩譲って、父と母ならいいけど。…私はどうしてしまったのだろう。
マリーをエスコートして歩いているだけで、沢山の視線を感じる。特に令息達は目を見開いて、マリーを見るのだ。同僚のモテる近衛騎士達も、マリーに見惚れている。アイツら、後で色々とマリーのことに探りを入れてきそうだな。
マリーの母の侯爵夫人と義兄のアルベルトとは、大広間近くの控室で待ち合わせするらしい。
本能的に、アルベルトにマリーを会わせたくないと思う自分がいる。そして、控室でアルベルトを見たマリーも、何となく気不味そうだ。不安にさせたくなくて、また手をギュッとする。マリーはそれに気付いてくれたらしく、手を握り返してくれる。この手を離したくないな…。
アルベルトと2人きりで話すことになり、少し私達から離れるマリー。無意識に、マリーの腕を掴んでいた。涙を流すほど嫌な事をされたヤツと、2人きりで話が出来るのか?…それに、同じ部屋だとしても、2人で話をさせたくなかった。しかし、マリーは大丈夫と言うので、待つことにした。
無意識に、マリーとアルベルトの会話に聞き耳を立てていた。少し離れているから、ハッキリは聞こえないが、アルベルトは謝っているようだ。しかも、マリーが大切だとか、可愛くて仕方がないとか言っている。それは、同じ歳の義妹に言うセリフじゃないだろう!イライラして聞いていると、マリーは殺される夢をみて不安だとか話している。何を言ってるんだ?アルベルトも、泣きそうな声で、あの時守れなかったとか、もう死なせない、守るとか言っている。何のことを言っているのか?両親も、険しい顔で聞き耳を立てている。マリーの母だけは、向こうでのんびりお茶を飲んでいるようだが。
結局、アルベルトはマリーと何か約束をして、仲直りしたらしい。最後に、2人は指切りをしていた。指切りって!今思い出したが、よく姉上がやっていたものだ。というか、姉上以外にやっている人を見たことがない。両親もギョッとして、無言で指切りする2人見ている。そんな私達に気付かないマリーは、アルベルトの手を引いて自分の母親のところで、和解を報告していた。アルベルトは嬉しそうな表情を見せる。マリーの母は、相変わらず、マイペースに報告を喜んでいた。
マリーはやはり……。いや、それも気になるが、アルベルトの手を引くマリーを見て、胸の中がモヤモヤするような、嫌な感じがする。いくら義兄といえ、他の男を触って欲しくない。
生まれて初めて自覚する、この気持ちは……。
すると、そこには、亡くなったはずの姉上そっくりの少女がいたのだ。
焼き上がったクッキーを嬉しそうに見つめる、美しい少女。調理場の使用人と会話する声も心地良く、姉の声にそっくりな気がする。私は思わず、
「…姉上」
と、口にしていた。すると、私がいることに気付いた少女は、不思議そうに私を見つめる。水色の綺麗な大きな瞳でじっと見つめられ、心臓がドキンとした。それが何なのかよく分からないが、少女は、見れば見るほど姉に似ている気がする。その時、
「フィル?帰って来たのね。あなた、そこで何をしているの?」
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「ああ、マリーがクッキーを焼いているのよ。まだフィルには紹介していなかったわね。マリー、あなたにも紹介するから、こっちに来てくれる?」
その少女は、私の従兄妹になるらしい。母の歳の離れた弟、フォーレス侯爵家の令嬢。体が弱く、領地で生活している従姉妹がいることは聞いていたが、こんなに姉によく似た、美しい少女だったとは…。
マリーのクッキーを味見させてもらうと、懐かしい味がした。姉がよく焼いてくれた、大好きなクッキーと同じ味がする。母も同じように感じたのだろう。言葉を詰まらせていた。とても美味しくて、何枚でも食べれた。治癒魔法を込めて焼いたと言っていたからか、騎士団の遠征の疲れが無くなっていたような気がする。
クッキーが美味しかったと礼を言うと、マリーは微笑んでくれる。ずっと忘れていたが、私はこの優しい微笑みが大好きだった…。マリーは姉上と同じように微笑むのだな。
夜、王宮から帰ってきた父は、マリーがクッキーを焼いたと聞くと、いつもは夜に甘い物は食べないのに、涙目になりながら何枚も食べていた。溺愛していた姉を思い出したのだろうな。調子に乗った父は、今度はクッキーを焼いたら、王宮に届けて欲しいとまでマリーに頼んでいた。母は呆れていたが、何となく嬉しそうだった。父は母が言うように、マリーが生き甲斐になっているようだ。
そういえば、同じ近衛騎士の友人が、父が王宮の図書館で、すごい美少女をエスコートしていたけど、あれは隠し子か?とか言っていたな。もしかしてと思い、両親に聞いてみると、マリーの勉強の為に、父が一緒に連れて行って案内したという。隠し子と思われていたことを話すと、母がすごく笑っていた。
マリーが自室に戻った後に、何故うちで預かることになったのか話を聞く。
マリーは、幼少期は、体が弱く領地にずっと住んでおり、初等教育は聖女子学園に入学して寮に住んでいたと言う。そして今年、貴族学園に入学したが、その時に初めて、養子で義理の兄のアルベルトに会う。アルベルトは優しいマリーを溺愛し過ぎて、兄妹以上の執着を見せるようになり、しばらく2人を離した方がよいと侯爵夫人が判断したらしい。そして、学園から近くて便利なうちに預けることにしたと言うのだ。
その話を聞いて正直驚いた。アルベルトも色々な令嬢に言い寄られるくらいモテていた。しかし、全く興味を示さないし、素っ気なくあしらっていたはず。そんなアルベルトがマリーに執着するなんて。
母は、マリーは自分に執着するアルベルトに、涙を流すくらい、疲れてしまっているようだから、フィルも関わり方には注意しなさないと話す。マリーが泣くくらいの執着って、あのアルベルトは何をしたのか気になるが…。
マリーは私に対して、従兄妹として当たり障りない感じで接してくれるが、どこか一歩引いているような気がする。アルベルトのことがあったから、警戒されているのか?今までは、しつこい令嬢にうんざりしていたのに、マリーからは壁を感じて、こんなよく分からないような気持ちになるなんて。
マリーはすっかりスペンサー家に慣れて、父も母も実の娘のように可愛がっているようだ。マリーが来てから、邸の雰囲気が明るくなったような気がする。そして、父はマリーが来てから、忙しくても早く帰ってくるようになった。そして私も、無意識にそうなっていたらしい。騎士団の寮の部屋には全く行かなくなっていた。
そんな時、マリーの母のフォーレス侯爵夫人が来て、義兄のアルベルトがちゃんと反省しているので、マリーはそろそろ学園に復帰しても大丈夫だろうと話す。マリーは学業に専念する為に、学園に寮を借りて住んでいたらしいが、その寮に、アルベルトが無理に訪ねてくることはもうないだろうと言うのだ。…アルベルト、そんなことをしていたのか。胸がチクリとした。
マリーは、寮での生活に戻りたいようだが、うちの両親が引き止めていた。せっかく楽しく生活しているのだからと。マリーの母も、うちの両親の思いを汲んでくれたようで、せっかくだから、もうしばらくはお世話になったらと言ってくれ、マリーはしばらくは、うちの邸で生活しながら、学園に通うことになる。そのことで、私はなぜ、安心しているのだろう…?
そして、16歳のマリーのデビュタントを迎える。マリーの父は王弟で陛下の側近としての仕事があるようで、デビュタントは別行動になると聞いた母は、マリーのエスコートを私にさせてくれないかと、マリーの母親に頼んだらしい。そんなことを母がわざわざ頼むなんて珍しいと思ったが、何となく嬉しく感じていた。
デビュタントの白いドレスを着たマリーは、あり得ないくらい美しかった。それをみた両親は、マリー本人より喜んでいたと思う。可愛くて仕方がないのだろう。そして、母はマリーのいないところで、
「フィル!今日はマリーをしっかりエスコートしなさい。マリーには沢山の虫が寄ってくるわ。」
母から気合いを入れられるが、それは、言われなくても分かっている!こんなに可愛くて美しいマリーは、恐らく今日の主役だろう。
会場になる王宮まで移動し、馬車を降りると、マリーは何となく緊張したような表情になる。そんなところが可愛くて、守ってあげたいと庇護欲をそそられる。こんな気持ちは初めてだと思う。不安そうなマリーの手を離したくなくて、エスコートする手をしっかり握る。マリーに大丈夫だと微笑むと、マリーもあの綺麗な微笑みを返してくれる。マリーのこの微笑みは、他の誰にも見せたくないと思う自分がいる。百歩譲って、父と母ならいいけど。…私はどうしてしまったのだろう。
マリーをエスコートして歩いているだけで、沢山の視線を感じる。特に令息達は目を見開いて、マリーを見るのだ。同僚のモテる近衛騎士達も、マリーに見惚れている。アイツら、後で色々とマリーのことに探りを入れてきそうだな。
マリーの母の侯爵夫人と義兄のアルベルトとは、大広間近くの控室で待ち合わせするらしい。
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無意識に、マリーとアルベルトの会話に聞き耳を立てていた。少し離れているから、ハッキリは聞こえないが、アルベルトは謝っているようだ。しかも、マリーが大切だとか、可愛くて仕方がないとか言っている。それは、同じ歳の義妹に言うセリフじゃないだろう!イライラして聞いていると、マリーは殺される夢をみて不安だとか話している。何を言ってるんだ?アルベルトも、泣きそうな声で、あの時守れなかったとか、もう死なせない、守るとか言っている。何のことを言っているのか?両親も、険しい顔で聞き耳を立てている。マリーの母だけは、向こうでのんびりお茶を飲んでいるようだが。
結局、アルベルトはマリーと何か約束をして、仲直りしたらしい。最後に、2人は指切りをしていた。指切りって!今思い出したが、よく姉上がやっていたものだ。というか、姉上以外にやっている人を見たことがない。両親もギョッとして、無言で指切りする2人見ている。そんな私達に気付かないマリーは、アルベルトの手を引いて自分の母親のところで、和解を報告していた。アルベルトは嬉しそうな表情を見せる。マリーの母は、相変わらず、マイペースに報告を喜んでいた。
マリーはやはり……。いや、それも気になるが、アルベルトの手を引くマリーを見て、胸の中がモヤモヤするような、嫌な感じがする。いくら義兄といえ、他の男を触って欲しくない。
生まれて初めて自覚する、この気持ちは……。
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