元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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南国へ国外逃亡できたよ

離縁

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 今日は休日で、お茶会に来ている。一応は伯爵令嬢だから、これはお母様命令での参加だ。

 お茶会には、リーナやサーラ達もいて、楽しいお茶会になりそう。美味しそうなケーキも沢山あるしね。お茶会の後、リーナ達と街に遊びに行こうかって話をする私達。
 その時、ザワっとする会場。誰か来た?入り口の方を見ると、なんとお腹の大きな元ガザフィー男爵令嬢が来た。もう臨月だよね?結婚したからマーフィー侯爵夫人?あれ?マーフィー卿は爵位はもう引き継いだのかな?
 あまり幸せオーラみたいなのは感じられないわね。もうすぐママになるのにね…。

「マリア、あの女が来たけど大丈夫?」

 サーラが心配そうに聞いてくる。

「私はあのお方に嫌われているみたいだから、早めに帰ろうかしら。」

「じゃあ、この後はカフェにでも行こう!」

「そうねー!」

 主催者のマダムに挨拶をして、帰ろうとしたその時、

「コリンズ伯爵令嬢、ご機嫌よう。もうお帰りになるの?残念だわぁ。」

 別にわざわざ絡んで来なくてもねぇ。

「マーフィー夫人、ご機嫌よう。お体は大丈夫ですか?赤ちゃんにお会いするのが、今から楽しみですわね。私達はこれで失礼しますが、夫人は楽しんでくださいませ。」

「羨ましいの?彼の赤ちゃんが私のお腹にいるのが?」

 なるほどねー。私が悔しがる姿が見たかったのね。

「いえ!羨ましいのではなくて、感謝の気持ちでいっぱいですわ。絶対に幸せになって下さいね。」

「…感謝って、どう言うこと?」

 笑顔で感謝を伝える私が、意味不明に見えたらしい。

「ふふっ!そのままの意味ですわ。夫人がいてくれて、良かったと思っているのです。では、失礼します。」

 清々しい笑顔で去る私。あの女がいてくれたおかげで、マーフィー卿から解放されたからね。感謝の言葉を伝えられて良かった!

 その後、リーナやサーラ達と行ったカフェでは、沢山お話しをして楽しかった。
 
 それから数日後。マーフィー夫人は、元気な男の子を出産したらしい。しかし予想通りというか、瞳も髪の色も誰にも似ていなかったらしく、伯母様が神殿の神官を呼び、マーフィー卿と親子かどうか見てもらったようだ。それで、赤ちゃんとは血の繋がりがないと判断されたらしい。赤ちゃんとマーフィー卿の魔力の種類が違かったんだって。

 夫人は殿下にマーフィー卿の赤ちゃんだと言っていたから、虚偽罪になるのかな?どっちにしても、マーフィー卿の赤ちゃんだと言いながら、他の男性の赤ちゃんだったのだから、彼女の実家の男爵家は慰謝料とか大変そうね。しかも、これからが彼女にとって茨の道だろうから。

 夫人はすでに実家に戻され、あっさり離縁されたようだ。伯母様がお母様に色々と愚痴っていったらしい。
 離縁したということは、マーフィー卿には気を付けないとね。何かあったら、煩いお兄様にまたグチグチ言われそうだし。

 離縁したという噂はあっという間に広がり、ガザフィー男爵令嬢は悪女だと言われまくっている。
 悪女に引き裂かれたマーフィー卿とコリンズ伯爵令嬢(私)は可哀想だと言われているようだ。もう終わったことだから、放っておいて欲しいわ!

 文官の仕事は段々と慣れてきて、少しずつ色々な仕事もやらせてもらえるようになって来た。同じ部署の先輩方とも打ち解けてきて、それなりに楽しいオフィスライフを過ごしている。
 煩いお兄様がいないので、伸び伸びと過ごしているが、やはりお兄様がいない為なのか、1人で歩いていると、よく分からない子息に絡まれたりする事がある。

「コリンズ伯爵令嬢。よかったら今日、一緒にランチしませんか?」

 近衛騎士の制服を着ている時点でお断りよ!

「申し訳ありません。お兄様に許可を取らないと後で恐ろしいので、騎士様からお兄様に直接許可を取って頂いてから、また誘って頂けますか?」

 大抵はこれで避ける事が出来ている。あの口煩いお兄様も、少しは役には立つわね。
 
 そして、あのお方は離縁して更に面倒な人になっていた。資料室でやたらと出くわすし、誰もいないと話し掛けてくる。

「リア、忙しそうだね。そう言えば…、伯母上がリアに会いたがっているから、また遊びに来て欲しい。」

「マーフィー卿、ご機嫌よう。伯母様には、伯爵家に遊びに来て欲しいとお伝え下さいませ。それでは、失礼致します。」

「…前のように、もう侯爵家には遊びに来てくれないのか?」

「前とは立場が違いますから。何か用事があれば、お母様と一緒に伺いますわ。」

 悲しそうな顔を見せられても困るのよ。もう貴方とは関わるつもりはないのだから。
 あんな現場を見られておいて、よく話しかけてこれるわ!


 そして、隣国の国王陛下の即位式に行っていた王太子殿下やお兄様達が、そろそろ帰国するらしい。予定よりも早めの帰国になったようだ。正直、もっとのんびりと観光でもしてくればいいのにと思った。

 いつも通りに業務をこなしていると、王太子殿下付きの従者に呼ばれる。

「コリンズ伯爵令嬢。王太子殿下が先程戻られまして、急ぎで確認したい事があるようなのです。申し訳ありませんが、一緒に来てもらえますか?」

 何だろう?

「コリンズ嬢、ここは平気だから行ってきて大丈夫だ。」

 上司がそう言うなら、行くしかないよね。

「ありがとうございます。少し、席を離れさせて頂きます。」

 殿下の従者について歩いて行くが…。殿下の執務室ではない方に向かっているわね。どちらかというと、応接室とかそっち方面だわ。
 従者は、1番奥の応接室の扉の前で足を止める。近衛騎士が扉の横に立っているから、ここに殿下がいるらしい。

「失礼致します。コリンズ伯爵令嬢をお連れ致しました。」

 中からは「どうぞ!」と殿下の声がして、扉が開けられ中に入る。

「失礼致します。」

 何の用だろう?中に入る私。そこにいたのは、殿下と煩いお兄様と、側近のカーティス様に、他の護衛騎士と従者達。そして…、


「……生きて…た。」

「………!」


 サーっと自分の血の気が引くのが分かった。

 どうしてここに……?

 私は殺される?





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