悪い魔女

第5章 南の島が呼んでいる～

海底都市ヘラクレイオン～

目が覚めるとベッドの上にいた。
また気を失っていたようだ。

ﾑｸﾘｯ　ｽﾞｷｯ　ｲﾀｯ

起き上がろうとしたら
腹部に激痛が走った。

どうやら刺されたのは夢ではないらしい。

ｶﾞﾁｬ　ｷｨｨ

「あ！ニナ！気がついたのね！」

ローラが食べ物を運んできてくれた。

「ローラ、、ここはどこなの？」

「ここは海底都市、ヘラクレイオン、、らしいよ」

「か、海底都市？」

「うん、、実は門をくぐった後、私達はその寺ごと地下へ連れていかれたの」

「ええ？そんな事が可能なの？」

「うん、昔からある技術らしくて、それで地上と地下を行き来しているみたい」

「そんなものがあったなんて、、でもなんで連れ去られたんだろう」

「それは…」

ｶﾞﾁｬ　

ネコとクライも入ってきた。

「ニナっち！大丈夫なの！？」

「ニナ、傷は痛むか？」

「クライ、ネコありがとう。私は平気よ。誰が手当てしてくれたの？」

「ここに住むお医者に治してもらったんだ」

「なるほどね、、それで、なんでここにネコ達は連れて来られたの？」

「それがどうやらミャーだけを連れて帰りたかったらしくて、僕達は間違えて連れ去られたらしい」

「ミャーが？そういえばミャーは？」

ネコ達は顔を見合わせる。

「ミャーはここに来てから見ていない。お坊さんに王宮に連れて行かれたんだ」

「王宮、、ミャーは元々ここの出身だったのかしら。なんで記憶喪失になったのかは分からないけど、あのブレスレット、紋章が入っていたわ」

「うん、もしかしたら王族の紋章なのかもしれないね」

「まあでもみんな無事で良かったわ…あれ、ブルスス…は？」

「ニナと一緒だったの？てっきり置いてきたのかと」

「ええ！ど、どこに行っちゃったんだろう。ずっと一緒だったのに、、あ、私をさしたあのお爺さんは？」

「ニナを刺したあと、トドメを刺す前にここの憲兵に見つかってどこかに逃げちゃったよ」

「むむむ、なるほど、、あいつ、ブルスス化けていたようだけど、一体いつから、、」

「さあね。でもニナはもう少しゆっくりしていなよ。私達はちょっと買い出しに行ってくるからさ」

「あ、待って、傷は少し痛むけど、私も外の様子を見てみたいの」

「そうなの？じゃあニナが大丈夫なら行こうか」

「行こ行こー！ニナっちも外の空気をすって早く元気にならないと！まあ、外っていっても地下だけど」

私はネコの肩を借りて
外へでる。

「うわぁ、本当に海底都市なのね」

目の前に広がるのは青い世界
まるで海の中にいるような感覚に陥る。

建物や魚達、そして獣や人がそこに共存していた。

「ここは、海なの？」

「話によると周りに結界みたいなバリアを張り、そこの中だけ暮らせるように改造したらしいよ。だから海といえば海だし、都市といえば都市だってさ」

魚と触れあう子供達
アクセサリーを売る店員
溢れでる生活感

それらは地上の町の風景となんら変わりない様子だった。

私は目を輝かせながら
それらを見ていたのだった。