結婚相談所 キューピットへようこそ 〜運命の人に、あなたは必ず出会えます〜

田古みゆう

文字の大きさ
4 / 8

4.インターンシップっだぞ!

しおりを挟む
 入ってきたのは、ヨレヨレのシャツに、皺々のズボン。髪はボサボサ。おまけに、無精髭まで備えた、見るからに、恋愛なんて興味ありません系男子だった。

 これは、もしかして、マンガ喫茶か何かと勘違いして来たのではないだろうか。

 念のために僕は、声を大にして、事務所名を名乗る。

「ようこそ! 結婚相談所キューピットへ」
「あの……、成婚率100%と言うのは、本当ですか?」

 先ほどばら撒いたチラシが握られている。相談者で間違いないようだ。

「あ~、そうですね。まずは、こちらへどうぞ」

 僕は、先ほどまで、愛が座っていた、ソファへと男性を誘導する。

 やばい! 成婚率100%は、30年も前のデータだ。最近は、右肩下がりだが、そんなこと、馬鹿正直に宣伝に載せるわけないじゃないか。誇大広告だと言われる前に、急いで、実績を取り戻さなければ……

「え~、結婚をお考えと言うことで宜しいですか?」
「そうです。出来れば、すぐにでも」

 意思確認をする僕の言葉に、男性は、少々食い気味に頷く。見かけによらず、結婚に随分と前向きなご様子。人を見た目で判断してはいけないですね。反省反省。

 僕は、相談者に向かって、ニッコリと微笑む。

「ずいぶんと、意欲的ですね」
「あの……、どのくらいで結婚できますかね?」
「どのくらいと言うのは、期間ですか? それとも費用ですか?」
「……両方です」
「そうですね。まず、費用ですが、こちらは、成婚時、つまり、ご結婚を決められた際に、報酬として20万円頂ければ結構です。それ以外の費用は、一切頂きません」
「えっ?」
「次に、期間ですが、お急ぎということであれば、1週間以内の成婚を目指します」
「ええっ?」

 男性は驚いているようだが、岡部愛の弓の腕前ならば、あっという間にカップル成立となるだろう。

「ちょっと、失礼」

 僕は席を外すと、デスクトップ画面で身を隠すようにして、椅子に座っている愛に向かって、小声で声をかける。

「愛くん。今回の件、やってみないか? インターンシップという形で。これが成功すれば、4月から、きみを正式採用したいと思うのだが?」
「正式採用……」

 彼女はしばし逡巡したのち、小さく頷いた。やはり、内定に惹かれたか。

 僕は、男性の元へと戻ると、事務所のシステムを軽く告げる。

「お相手に求める条件は、3つまで伺うことが出来ます。但し、どれか1つの条件を満たしているお相手をピックアップさせて頂くことになりますが、宜しいですか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

二年間の花嫁

柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。 公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。 二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。 それでも構わなかった。 たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。 けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。 この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。 彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。 やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。 期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。 ――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

処理中です...