アタシはギルドの受付嬢。でも、なんかちょっと違くない?

田古みゆう

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甘い香りは、事件の香り?(1)

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 タニアの店『香草亭』もとい、諜報ギルドは順調な滑り出しを見せていた。

 ジャックスの見立て通り、街へ入る前の旅人がちらほらと立ち寄っていく。タニアが提供する素朴だが疲労回復効果のあるハーブティーやクッキーに癒される旅人たちから、タニアは計画通り情報を得ていた。

 例えば、王都エル・ヴェルハーレの隣国の様子。その国では、最近になって国王が代替わりをしたらしい。もともと国政が安定しない国ではあったが、代替わりしてからは、さらにその不安定さが増しているという。

 様子を見に来たジャックスに、そんなことを聞いたと言うと、彼はしれっとした顔でうなずいた。

「まぁ、それについては王都でも既に知られていることだな。だが、そんな感じでこれからも情報を集めてくれ」

 ジャックスの指示に、タニアは困ったように眉を下げる。

「簡単に言うけどさ、旅の人なんてそんなに頻繁には来ないよ。今のところ、常連になりつつあるのは、東の森に行く子どもたちくらいだよ」

 タニアがボヤくように呟く。そんなタニアに、ジャックスはニヤリと笑った。

「王都から東の森までは、子どもの足では多少距離があるからな。中間にあるここは休むには持ってこいの場所なんだろう。それに、ここに来れば子どもはただで菓子がもらえるんだろ?」

 ジャックスの問いにタニアは肩を竦める。

「タダって言うか、物物交換? 子どもたちはそんなにお金持ってないだろうから、情報か森の恵みと交換って感じにしたの。そしたら、毎日のようにくだらない話やら木の実やら薬草やらが届くようになった」

 タニアの話に、ジャックスは苦笑いを浮かべる。

 タニアは、存外面倒見がいい。子どもだろうが大男だろうが、相手がどんななりでも対等に接する。だから、子どもも気軽に話しかけやすいのかもしれないとジャックスは思う。

(休憩処としては、まずまずのようだな)

 子どもや旅人が立ち寄っていれば、そのうちに街の大人も興味を示し始めるだろう。諜報ギルドとして始動を始めるのも、時間の問題だろう。

 そんなことを思うジャックスに向けて、タニアは思い出したように昨日ある子どもから聞いた話をし始めていた。

 昨日の夕方、タニアが『香草亭』の店じまいを始めた頃、一人の男の子がやってきたという。

「なんでだと思う?」
「さぁな、腹でも減ってたんじゃないのか?」

 さほど興味がないのか、ジャックスは出されたハーブティーに口をつけながら、タニアの話を軽く聞き流す。
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