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2.りんご色の風船に手を伸ばしたら
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小鬼の言っていることは至極当然である。生前、人との関わりを極力避けてきたが為に、今このようなよく分からないプログラムを受けることになっているのだ。ここでまた誰とも関わらないように自身の部屋に閉じこもってしまうのなら、このプログラムを受ける意味がない。僕は自分自身で最恐レベルの地獄行きを決めるようなものだ。
最恐レベルを回避するにはやるしかない。行くしかないのだ。
しかし、目的もないのに何処へ行こうか。
「小鬼、僕は行くよ。行く……その、行こうとは思っているんだけどね……」
「けど、何ですか~?」
小鬼は、まだ腰に手を当てたまま怒りモードだ。しかし、例の間の抜けた話し方のせいで、口撃ラッシュでもない限りは怒りのオーラは纏えないようだ。小さな体で精一杯に怒りを表そうとしている姿がなんだか微笑ましい。
しかし、そんなことを思っていると知れてさらに機嫌を損ねてしまっては後々面倒なことになるかもしれないので、僕は、緩みそうになった頬を引き締め真面目な顔で言葉を続ける。
「どこへ行けばいいのか、本当に思いつかないんだよ」
「では、生前の行動を繰り返してみてはどうですか~?」
僕の真面目な表情に納得したのか、小鬼は態度を軟化させてくれた。
「繰り返す? 僕が死ぬ直前にいたのはコンビニだけど、この世界にもコンビニがあるのかい?」
「もちろんあります。ここは、古森さんの記憶をもとに生活圏がコピーされた空間なのですから~」
「コピー? 全く同じなの?」
「街や家、人も古森さんの記憶にあるものでしたら同じですね~」
小鬼の言う通りだった。僕はこれまでの慣れた道順で、いつものコンビニへと迷うことなくたどり着くことができた。
店舗へ入ってみて目を見張る。そこは、本当にいつもの店内だった。レジにいる店員が暇そうに立っている。ホットスナックを揚げるフライヤーの油の臭いと、カウンターのドリップコーヒーの匂いが入り混じったコンビニ独特の匂い。これが仮想空間なのかと疑わしくなるほどにリアルに感じられる。
しかし、レジ内の店員が僕の足元にいる小鬼に不審な視線を向けないことが、ここがリアルではないと物語っていた。
とりあえず、店内を歩いて廻る。アイスクリームが置いてある冷凍物のコーナーと、ドリンク棚の前にそれぞれ客がいた。こんなところまでリアルだ。
店内を一周した僕は、ついいつもの癖で雑誌コーナーで立ち止まる。陳列されている雑誌もいつもと一緒。
最恐レベルを回避するにはやるしかない。行くしかないのだ。
しかし、目的もないのに何処へ行こうか。
「小鬼、僕は行くよ。行く……その、行こうとは思っているんだけどね……」
「けど、何ですか~?」
小鬼は、まだ腰に手を当てたまま怒りモードだ。しかし、例の間の抜けた話し方のせいで、口撃ラッシュでもない限りは怒りのオーラは纏えないようだ。小さな体で精一杯に怒りを表そうとしている姿がなんだか微笑ましい。
しかし、そんなことを思っていると知れてさらに機嫌を損ねてしまっては後々面倒なことになるかもしれないので、僕は、緩みそうになった頬を引き締め真面目な顔で言葉を続ける。
「どこへ行けばいいのか、本当に思いつかないんだよ」
「では、生前の行動を繰り返してみてはどうですか~?」
僕の真面目な表情に納得したのか、小鬼は態度を軟化させてくれた。
「繰り返す? 僕が死ぬ直前にいたのはコンビニだけど、この世界にもコンビニがあるのかい?」
「もちろんあります。ここは、古森さんの記憶をもとに生活圏がコピーされた空間なのですから~」
「コピー? 全く同じなの?」
「街や家、人も古森さんの記憶にあるものでしたら同じですね~」
小鬼の言う通りだった。僕はこれまでの慣れた道順で、いつものコンビニへと迷うことなくたどり着くことができた。
店舗へ入ってみて目を見張る。そこは、本当にいつもの店内だった。レジにいる店員が暇そうに立っている。ホットスナックを揚げるフライヤーの油の臭いと、カウンターのドリップコーヒーの匂いが入り混じったコンビニ独特の匂い。これが仮想空間なのかと疑わしくなるほどにリアルに感じられる。
しかし、レジ内の店員が僕の足元にいる小鬼に不審な視線を向けないことが、ここがリアルではないと物語っていた。
とりあえず、店内を歩いて廻る。アイスクリームが置いてある冷凍物のコーナーと、ドリンク棚の前にそれぞれ客がいた。こんなところまでリアルだ。
店内を一周した僕は、ついいつもの癖で雑誌コーナーで立ち止まる。陳列されている雑誌もいつもと一緒。
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