ケサランパサラン

田古みゆう

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サーサーサーサー

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 シャワーをサァァァと出したまま、髪を洗い、顔を洗い、体を洗う。一通り洗い終え、キュッとシャワーを止めたはずなのに、まだ、サーサーサーと水の流れ落ちる音がした。

 どうやら外は本格的に雨降りになったようだ。

 湯船にチャポンとつかり、スマホから最近お気に入りの音楽を流す。いつもよりも少しだけ音量を上げれば、外の音は聞こえなくなった。それでも、どこかソワソワとしてしまって、せっかくのリラックスタイムが楽しめない。

 仕方がないので一旦湯舟から上がり、ドア横に設置してある収納棚から、お気に入りのアロマの入浴剤を1つ取り出す。いそいそと封を切り、中身をタプンと湯船に投げ入れた。

 それから急いで自身も再度湯船につかる。

 しばらくすると、浴室にはバラの香りが充満し始める。目を閉じ、それを鼻からゆっくりと吸い込めば、一気に幸せホルモンであるセロトニンが脳内に溢れかえる。

 溢れたセロトニンを鼻からゆっくりと吐き出し、ようやく、リラックスタイムとなった私は、流れている音楽に合わせて鼻歌を小さく歌いながら、ネットでの情報収集を開始した。

 政治、経済、料理にファッション。それから、芸能関係のゴシップまで。気になる記事を適当に読み漁っていると、いつの間にか額に浮いていた汗がツッと垂れて目に入る。そろそろ、リラックスタイムを終われよという体内からの合図。

 しかし、私はそんな合図を無視して、額の汗を手の甲で拭うと、湯船の端に腰かけて、半身浴へと切り替える。

 汗がポタリと湯船に落ちる。まだ、大丈夫。

 それからしばらくして、すっかり汗も引き、体が冷えてきたので、もう一度チャポンと体を湯船に沈めた。あと1曲流したら、リラックスタイムは本当に終わり。

 最後に、シャワーからサァァァと出た温水で体を軽く洗い流すと、シャワーを止めて、浴室を出る。

 音楽はかけたままだというのに、途端にサーサーサーサーと窓の外の音が耳につく。

 体と髪を手早く拭き、パジャマを着ると、出窓に近寄り外の様子を伺う。
雨の線が幾筋も見えた。

 しっかり雨降りだ。

 だが、まだ大丈夫。これくらいの音ならば、眠りの妨げにはならないだろう。

 雑に化粧水とクリームを顔に塗り、ドライヤーで髪を乾かす。本当はドライヤーの音も少し苦手。だから、なるべく短時間で済むように、もう少し髪が乾いてから使いたいところだけれど、今は時間が惜しい。仕方なく、バサバサとタオルで髪を拭きながら、温風を浴びた。
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