熱愛マリーゴールド

起首

春の訪れ

入学式。
辺りは緊張の色が見え、それとは裏腹に
春の心地よい風が吹いている。
校舎の入口付近には、
1年間過ごすであろう組が書かれた紙が張り出されているのだが
人が多すぎて見ることが出来ない。

身長が低い私には苦行だ。
少し背伸びをしてその紙に書かれているだろう自分の名前を探す。
私の名前は、あ行なのですぐ見つかるはずなのだが…と悩んでいると
1―Aに自分の名前が書いていた。
クラスがわかったので早速校舎へ向かおうとすると、校舎の横に桜の木があった。
その桜は、不思議なことに満開でその綺麗な姿に魅了され、近づこうとすると
桜の木の下に人影が見えた。
 その人影は近づくほどに鮮明になってきて
もう、数センチまでは行かないがそれぐらいまで近づいていたと思う。

    だって無意識に近づいていたんだ

    桜の木の下に切なげに佇む彼女が

    桜より綺麗に見えてしまったんだから。