金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~

結城絡繰

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第55話 市場で買い物してみた

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 猛烈な倦怠感に抗って俺は起床する。
 隣で眠るビビがぱちりと目を開いて微笑んだ。

「おはよう」

「あ、おはよう。よく眠れたか」

「うん。昨日も激しかったね」

「お互いにな」

 治療術師との戦いで気疲れしたが、肉体的には絶好調だった。
 そのためつい盛り上がってしまったのである。
 こればかりは仕方あるまい。
 ビビも機嫌が良いし、俺も満ち足りているのだから、別に反省することもないだろう。

 俺達は身体を洗ってから服を着る。
 ビビは荷物の整理をしながら俺に尋ねた。

「今日も迷宮?」

「いや、休みにしよう。さすがに疲れた」

 別に毎日働く必要はないのだ。
 トロールの防具を売ったことで財布は潤っている。
 昨日は飽きるほど戦闘をこなしたから、今日はゆっくりと過ごそうと思う。

 俺達は宿を出て市場に向かった。
 食糧の買い出しが目的である。
 迷宮探索時の保存食と水を補充しておきたい。
 闇魔術の収納機能で大量に保管できるため、この機会に備蓄を増やしておこうと思ったのだ。

 もっとも、迷宮内で飢えることはあまりない。
 食う物に困れば魔物の肉があるからだ。
 大抵の肉は焼けば食える。
 たとえ毒が含まれていたとしても、今なら魔術でどうにかできる。
 それでも保存食を買うのは、利便性と味の安定感が理由だった。

(俺一人なら構わないが、ビビに変な食事をさせたくないからな)

 市場を見回りながら俺は考える。
 味や栄養価は重要だ。
 美味い食事は冒険者の気力を支えてくれる。
 ビビだけを優遇しても、きっと彼女は遠慮してしまう。
 だから俺も一緒に良い食事をするしかない。
 二人で活動するようになってから収入が激増したので、多少の贅沢は十分に可能である。

 露店を眺めるビビは興味津々といった様子で言う。

「いっぱい人がいるね」

「時間帯もあるだろうな。うかうかしていると買いそびれそうだ」

「急がないと」

 ビビが俺の手を引っ張って先導する。
 なかなか張り切っている。
 その姿に苦笑しつつ、俺はビビに要望を尋ねた。

「何か欲しいものはあるか」

「鶏肉がいいな」

「分かった。多めに買っておこう」

「やった」

 色々と買い物をしているうちに、たまたま冒険者ギルドの前を通りかかった。
 今日も戦士や魔術師が出入りしている。
 酒場も昼間から盛況らしく、酔っ払いの笑い声が外まで聞こえていた。
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