77 / 111
第77話 新たな装備の鑑定を依頼してみた
しおりを挟む
翌日、俺達はギルドの鑑定術師のもとへ向かった。
そこで黒い刃の短剣を調べてもらう。
使うにしても売るにしても、その正体を明らかにしないといけない。
俺から短剣を受け取った鑑定術師は、興味深そうな目付きで調べ始める。
「また面白い武器やなぁ。こんなん普通は手に入らんで? よくもまあ、見つけたもんやわ」
独特の口調のせいで説教されているような気分に陥るが、それは俺の錯覚である。
鑑定術師はいつもこんな喋り方をするのだ。
語気の強さで周りから怖がられているのが悩みだと愚痴られたことがある。
悩むくらいなら喋り方を変えればいいと思うのだが、そう簡単にはいかないのだろう。
過去の会話を思い返していると、鑑定術師が短剣を返してきた。
受け取った俺は尋ねる。
「どんな性能か分かったのか」
「当然やろ。神代の道具だって一目で丸分かりなんやから」
鑑定術師は手を振って述べる。
さすがに神代の道具云々は冗談だろうが、彼女の能力の高さは疑いようもない。
そうでなければギルド専属の鑑定など任せられないはずである。
一つ咳払いをした後、鑑定術師は短剣を指差して説明する。
「この短剣はな、刺した相手の魔力を苦手属性に変換する力を持っとる」
「苦手属性?」
「相性が悪い属性ってことや。適性が狂うから魔術は使いにくくなるし、種族によっては致命的やろうな……アンデッドなんかは体内で光属性が増えるわけやから、一発で死ぬと思うで」
そこで鑑定術師が意味深な笑みを見せる。
こちらを試すような眼差しだった。
なんとなく意味を察した俺は彼女に訊く。
「……知っているのか」
「どっかの冒険者が死霊術師を倒したって噂は聞いたなぁ。立派な功績やのに匿名希望って時点で怪しいし、そこでこんな短剣を持ってくる奴がいたら確定やろ」
頬杖をつく鑑定術師が断言した。
どうやら俺が死霊術師を倒したのだと確信しているらしい。
下手な言い訳をしたところで納得しないだろう。
俺が黙り込んでいると、鑑定術師が微笑んだ。
「まあ、誰にも話さんから安心しいや」
「すまない、助かる」
そこで黒い刃の短剣を調べてもらう。
使うにしても売るにしても、その正体を明らかにしないといけない。
俺から短剣を受け取った鑑定術師は、興味深そうな目付きで調べ始める。
「また面白い武器やなぁ。こんなん普通は手に入らんで? よくもまあ、見つけたもんやわ」
独特の口調のせいで説教されているような気分に陥るが、それは俺の錯覚である。
鑑定術師はいつもこんな喋り方をするのだ。
語気の強さで周りから怖がられているのが悩みだと愚痴られたことがある。
悩むくらいなら喋り方を変えればいいと思うのだが、そう簡単にはいかないのだろう。
過去の会話を思い返していると、鑑定術師が短剣を返してきた。
受け取った俺は尋ねる。
「どんな性能か分かったのか」
「当然やろ。神代の道具だって一目で丸分かりなんやから」
鑑定術師は手を振って述べる。
さすがに神代の道具云々は冗談だろうが、彼女の能力の高さは疑いようもない。
そうでなければギルド専属の鑑定など任せられないはずである。
一つ咳払いをした後、鑑定術師は短剣を指差して説明する。
「この短剣はな、刺した相手の魔力を苦手属性に変換する力を持っとる」
「苦手属性?」
「相性が悪い属性ってことや。適性が狂うから魔術は使いにくくなるし、種族によっては致命的やろうな……アンデッドなんかは体内で光属性が増えるわけやから、一発で死ぬと思うで」
そこで鑑定術師が意味深な笑みを見せる。
こちらを試すような眼差しだった。
なんとなく意味を察した俺は彼女に訊く。
「……知っているのか」
「どっかの冒険者が死霊術師を倒したって噂は聞いたなぁ。立派な功績やのに匿名希望って時点で怪しいし、そこでこんな短剣を持ってくる奴がいたら確定やろ」
頬杖をつく鑑定術師が断言した。
どうやら俺が死霊術師を倒したのだと確信しているらしい。
下手な言い訳をしたところで納得しないだろう。
俺が黙り込んでいると、鑑定術師が微笑んだ。
「まあ、誰にも話さんから安心しいや」
「すまない、助かる」
10
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる