ダンシング・オン・ブラッディ

鍵谷 雷

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幕間

二人の剣士

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 某日の夜、森の開けた場所で自身の体長ほどもある剣で素振りをする男がいた。ふと彼は手を休める。

「何か用か?」
「剣が使いたくなった。少し付き合ってもらいたい」
「俺が互角に戦えるようになるまで剣は交えないんじゃなかったのか? この短期間で敗戦記録を増やしたぜ」
「『人間は殺すな』と枷をつけたのは私だ。あの怪物には私も遅れを取った」

 ジュラルドは数回深呼吸をした後、右手で自らの左手を出血させる。その血が剣となる。ヴァルドーは腰の片手剣を抜く。
 三度金属のぶつかり合う音が鳴り響く。お互いに距離を取り構えなおす。ジュラルドが先に斬りかかるがヴァルドーはそれを受け切る。

「技が増えたな」
「よせよ、惨めな気分だ」

 そう言うと剣をもう一本創り出す。二本の剣が隙の無い連撃を繰り出す。ヴァルドーは剣で受け切ることは不可能と考えたのか回避主体の動きにシフトする。
 ジュラルドは先程傷つけた左手を大きく振って血を飛ばす。ヴァルドーはそれを手で受け取り口に運ぶ。まったく同じように左手から剣を創り出した。
 森に響き渡る音が倍になる。両者とも手を止めることはなく、隙は見せない。剣撃の応酬でヴァルドーがわずかに体勢を崩した瞬間をジュラルドは見逃さなかった。深く踏み込み重い一撃を喰らわせようとする。相手を殺すという意志の乗った一撃だ。

「どこまでも真っ直ぐだな……」

 ヴァルドーは横薙ぎを後方に跳んで回避する。ジュラルドは左手の剣を捨て構え直そうとするが、右手の剣を落とされてしまう。

「……八戦八敗か」
「次第に興奮が隠しきれなくなっていた。悪い癖だ」
「見られてるって気づいて格好つけたやつに言われたくねえな」

 暗闇の中からセレスタが現れる。

「素晴らしい攻防でした。良ければ私にも剣を教えて下さい」
「……だそうだ。良かったなジュラルド」
「何がだよ」
「技を競える相手ができる」
「ちっ、そういうことかよ。お前らグルだったのか」
「お前と斬り合いたかったのは本当だ」

 そう言い残すと、ヴァルドーは館へと帰っていった。ジュラルドはセレスタの方に顔をやる。

「……嬢ちゃん、剣は初めてか?」
「ほとんど初めてです」

 ジュラルドは手近にあった太い木の枝を切り落とし、細い枝と葉を全て落として一本の棒にした。それを投げて渡す。

「じゃあこれでも振ってろ」
「はい!」
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