呪殺廻争 The first リメイク

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呪殺廻争 第一話 ~同じ日々が崩れ始める~

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呪殺廻争 The first リメイク 第一話 ~同じ日々が崩れ始める~








二〇二五年某日。 
 
グシャッッッッッッッッッッッッッ!!!!
呪物が消え失せる音が、洞窟内にこだまし、反響して帰ってくる。 
「三級呪物だと…………レーダーに出た
 あの強い「呪」の反応……なんだったんだ?」
 俺は目の前に現れた三級呪物を殺しながら、洞窟の出口に向かう。
 日本国国立呪殺専攻精鋭特殊部隊隊長の俺、滅波殺太は、高性能呪物探知レーダーの反応があった「豊義洞窟」に単独で足を踏み入れ、強い「呪」の反応の正体を探っていた。
 しかし、いくら出てくる呪物を殺しても、全て三級以下のザコしか見当たらない。こんなザコどもに高性能レーダーが反応するはずがないのたが。
 俺は不思議に思い、現代になっては旧式のトランシーバーを取り出して、愛知軍部の司令官に報告した。
 ツーツーーーツーツツーー…………テテッ…………
「こちら豊義洞窟にて任務を実行している滅波殺太だ。応答願う。」
 小さな雑音が聞こえながらも、すぐ応答が返ってくる。
「殺太さんですね、どうしました?」
「この豊義洞窟に発生した強い「呪」の正体がわからない。
 これだけ現れないため、連絡した。」
 司令官は少し考えた様子で黙りこんだ後、PCを打ち込み始める。間もなく返事が返ってきた。
「そういうことですね。それだけ呪の犯人が出てこないということは、それは呪物ではなく、息を潜めている呪詛師の可能性があります。」
 呪詛師とは呪殺のすべを悪用する輩のことである。
 この洞窟を住処としているのか……なにかを企み、実行しようとしているのか………………
 どのみち、呪詛師認定された者は法律により呪殺処刑しなければならない。 俺はもう一度探索しようと洞窟の中に入った。
 この洞窟にはたくさんのゴツイ岩があり、俺の身長の二倍を超える岩が連なっている。また、洞窟の天井には氷柱のように尖った岩が無数にぶら下がっている。なんともポケモンディグダが飛び出してきそうな洞窟だ。 
 俺はそんな洞窟の奥に進み、自身の呪力で人の気配を探っていた。
……………………………………………………
「さっきから俺の洞窟をほっつき回っている餓鬼はお前か。」
 突然高みから人間の声が聞こえ、一気に緊張が走る。
 そこには………………………………

 特級呪詛師登録済み 徒然草太が、凛然とした装いで立っていた。
体から発する呪力のオーラが半端では無い。彼は軽蔑するような目で俺を見てくる。 俺は徒然の問いに答えた。
「あぁそうだとも…………日本史上最凶呪詛師のお前に、この豊義洞窟でばったり顔を合わせるとはな……」
 俺は驚く反面、呪力を体の中に回し戦闘の準備をした。
 徒然は俺に言う。
「少し話をしようか。呪詛師認定されてから早三十年。呪殺師と話す機会は一度もなかったからな。少し老ぶれた人間の話に付き合え。」
 徒然は俺の予想に反して、好戦的ではない。
「ほぅ…………聞こうじゃないか」
 徒然は満足気な顔をして、自分の論理を展開した。
「この世界は………………そんな素敵な物じゃない。世界にはどこにだって強者と弱者が存在し、両者の対立によって弱肉強食の乱世になる場合もある。」
 俺はこの話を聞いて徒然に言った。
「あぁ…………そうだな。そんな世界を救うために、この呪殺師はあるのさ。」
「…………しかしながら世の中には呪詛師という人間が世界で一万人ほどいる。それは呪殺師が存在し、またその呪殺を恐れ、一般人を巻き込み、戦争に発展。千年前の新政府軍の大戦争と同じ道をたどることになる。呪殺と殺人は紙一重だ。」
 俺ははるか高い場所にいる徒然を嘲笑うように言った。
「…………………………お前も呪詛師だよな。親族を五十人呪殺で殺した徒然にそんな話されてもお前の存在が悲しくなるだけだなw」
 徒然は答えた。
「ふふふ…………」
 徒然は自分語り、云わば徒然家の過去の話を始めようとしていた。実は、昔、滅波家と徒然家は、結構仲の良かった親族同士だということを父から聞いたことがあったが、今の徒然家当主、呪詛師徒然草太になるまでの経緯にはまったく興味のない話、そして現在時刻22時30分。早く帰ってマツクドナルドのチキンなんたらを食べたい気分だった。
「俺が親族を殺したのには理由がある。人を意味なしに殺したりはしないよ。…………………………………………徒然家の遠い昔………………話すと長くなるが。」
俺は躊躇わず、徒然に本音を言った。
「……………………………六十過ぎ老害の話を聞くのはもう飽きた。」
 徒然は笑いながらいった。
「ハハww…………そうか、そうだな、そうだよなぁ!!!!」
 徒然は不気味な高笑いをしながら一気に姿勢が前かがみになり、戦闘態勢に入る。改めて大量の呪力量と最高品質の呪殺の術を感じた。だが俺は呪殺師だ。それで怖気付く男じゃない。気合いを入れ直し、呪力操作に神経を注いだ。
 徒然『自呪「能刀」』
 タッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 徒然は能刀を発動すると同時に、遥か高いところにあった岩から俺がいる下層まで飛び降りてきた。
 俺「おっと…………」
 バゴオオオオオオオオオオオオオオンンンンンン
 能刀が洞窟の地面を叩きつけた。すると能刀に宿っていた呪力が地面の岩を伝わり、辺りを駆け巡る。
 徒然『装填槍術そうてんそうじゅつ拡瀑呪棣かくばくじゅたい」』
 地面を駆け巡っていた呪力が拡瀑呪棣の呪能に反応し、その瞬間、駆け巡っていた呪力は青く変化、散弾のように発射される。
 ブシュッッッッッーーーーーーー!!!!!
 俺「えげつねぇな徒然!!!!」
 攻撃範囲が広く、避けきれないと判断した俺は、肉体を呪力でカバーしながら拡瀑呪棣に耐えた。
 俺『天呪「針連細尾せいれんさいび」』
連撃を防ごうと、針連細尾を放ち、体制を整える。
徒然は歯に挟まった異物を取り除こうとするような顔で、話しはじめた。
「やはり呪殺師というのはなんとも不愉快だな。呪殺というのはなんなのか、わかってない奴がウジのように湧いている。」
 徒然『無限「尽無じんむ」』
 徒然の前に赤褐色のシールドが展開される。そこに俺の針連細尾が当たり、消滅してしまった。
「…………………………お前は呪殺をなんだと思っているんだ?」
 徒然がいきなり問いかけてきた。
「いきなりなんだよ。クソ呪詛師。」
徒然は呆れた顔で喋る。
「最近の若者は言葉遣いの荒いものだな。いいから答えてみろ。」
 俺は自分の真っ当な今の考えを伝える。
「………………呪殺というのは平和とその永康のために施すもので、人を平等に、自由にするための不平等な能力……。」
 徒然はその答えを聞き、顔を四方八方に歪ませた。
「ものすごく気色が悪い。その答え。…………………………呪殺というのは欲望の為に働く、呪殺師という特殊な人間だけに与えられた特権で、非呪殺師を蹂躙し、否定し、拷激し、呪うために使う、いわば娯楽の一部のようなものだよ。」
 俺は徒然の発言を強い語句で否定する。
「闇に朽ちた呪詛師の戯れ…………かわいそうに。徒然。」
 徒然は口が裂けるほど不気味なニヤケ顔で、天を仰ぎながら叫んだ。
「そんな御伽噺おとぎばなしに浸ってまだ抜け出せない、お前のような赤子の頭を捻り潰すこの時を待っていたのだ………………!!!!」
俺(……………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
徒然『力呪「宴朽柱えんきゅうちゅう」』
自分の呪力を直接拳に伝え、衝突の瞬間にその呪力を解放する力呪。これは単なる呪力解放にすぎないため、その威力は、己の心の器の強度、呪力量、そして純粋なパワーによって左右される。 また、力呪は呪力箱から筋肉を通って拳に伝わる。その体の機能より、無論、腕から漏れた呪力がオーラとして見えるようになることがあるのだ。
俺(徒然の右腕に、真っ直ぐ呪力が伝わっている…????????????)
徒然の宴朽柱は右ストレートで繰り出されると、誰もが悟るであろう、右腕に現れた覇気的な呪力オーラ。
俺は未来予想図を頭の中で描く。この右ストレート宴朽柱を避け、こちらも力呪で反撃カウンターをしかけるため、殴られる側の逆手………右腕に呪力を集めた。 
…………………しかしそれは大きな間違いだった。相手は徒然。そんな簡単な右ストレートを切り出すわけ無かったことに俺は気づかなかったのだ。
徒然は右腕に集めていた呪力を一気に左手に逆流させ、俺に見えにくいよう左フックで俺の顎を砕きにきた。 
俺は悶えに悶え、徒然に怒涛の連撃を喰らいまくる。
俺「っぐっはっ………………」
徒然はボロボロの俺に向かって嘲笑した。
徒然「なんと無様な小僧だ。俺を軽蔑し、偽善のその汚らしい心に乗っ取った罰だろう。」
俺は動けない。
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