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灯り火
凶夜
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「行ってきます」
「お気をつけて行ってらっしゃい、空さん」
家を出て待ち合わせの場所に向かっていると白いフードを被った人物が道端に立っていた、僕が通りすぎようとすると白いフードを被った人物が目の前に来る。
「僕に何か用ですか?」
「・・・・・」
声をかけると白いフードを被った人物が僕を見る。
「えっ」
白いフードが揺れて見えたその瞳は借家君と同じ金色で顔も借家君と似ていたが、相手の顔はとても悲しげで憎悪に満ちたものだった。白いフードを被った人物は無言で僕に向けて手を伸ばしてくる、あと少しで僕の顔に手が触れる寸前で相手は突然手を止める。
「凶夜?」
「・・・・・」
「正野さん」
前から歩いてきたのは借家君の友人の正野徳子さんだった。白いフードを被った人物は僕から離れ正野さんのもとへ向かう。
「やっほー」
「・・・・・」
正野さんが上げた左手を白いフードを被った人物がぎこちなく右手で触れる。
「久しぶりだね凶夜」
「・・・・・」
嬉しそうに話しかける正野さんに白いフードを被った人物は何も言わずに頷き、正野さんの頭を両手で撫でる。
「えへへ」
「・・・・・」
そんな二人の様子を僕が見ていると白いフードを被った人物が振り返って僕の方に近づいてくる。
「うわっ」
「・・・・・」
白いフードを被った人物は僕の額を指で押し、申し訳なさそうにしながら僕を横切って歩いていく。
「またね凶夜」
「・・・・・」
正野さんの言葉に白いフードを被った人物は背を向けたまま右手を上げて立ち去った。
「正野さん今の人は?」
「あの人は凶夜、私の命の恩人」
そう言った正野さんはどこか悲しそうだった。
「お気をつけて行ってらっしゃい、空さん」
家を出て待ち合わせの場所に向かっていると白いフードを被った人物が道端に立っていた、僕が通りすぎようとすると白いフードを被った人物が目の前に来る。
「僕に何か用ですか?」
「・・・・・」
声をかけると白いフードを被った人物が僕を見る。
「えっ」
白いフードが揺れて見えたその瞳は借家君と同じ金色で顔も借家君と似ていたが、相手の顔はとても悲しげで憎悪に満ちたものだった。白いフードを被った人物は無言で僕に向けて手を伸ばしてくる、あと少しで僕の顔に手が触れる寸前で相手は突然手を止める。
「凶夜?」
「・・・・・」
「正野さん」
前から歩いてきたのは借家君の友人の正野徳子さんだった。白いフードを被った人物は僕から離れ正野さんのもとへ向かう。
「やっほー」
「・・・・・」
正野さんが上げた左手を白いフードを被った人物がぎこちなく右手で触れる。
「久しぶりだね凶夜」
「・・・・・」
嬉しそうに話しかける正野さんに白いフードを被った人物は何も言わずに頷き、正野さんの頭を両手で撫でる。
「えへへ」
「・・・・・」
そんな二人の様子を僕が見ていると白いフードを被った人物が振り返って僕の方に近づいてくる。
「うわっ」
「・・・・・」
白いフードを被った人物は僕の額を指で押し、申し訳なさそうにしながら僕を横切って歩いていく。
「またね凶夜」
「・・・・・」
正野さんの言葉に白いフードを被った人物は背を向けたまま右手を上げて立ち去った。
「正野さん今の人は?」
「あの人は凶夜、私の命の恩人」
そう言った正野さんはどこか悲しそうだった。
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