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第20話 救出2

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「あ、ども…大丈夫ですか?」



「「「「………え?」」」」



「アイル!4人の事は任せたよ!」

「分かってる!!」



4人が呆けている所に一人の亜人が飛び込んで来てポーションを渡し始める。



「あなた達、大丈夫?はい、ポーションよ!飲んで!!」

「………え?……あ、ぁあ助かる!!」



アイルが4人の冒険者を介抱している間、パンツがが一方的にキラーアントを殲滅していく。



「この蟻、倒しても倒しても湧いて来てキリがないな…。」



しかしこの蟻、デカいよなぁ。確か俺の記憶の中の地球では酸素濃度が高いと生物は大型化するらしいからな…。



恐竜がのさばっていた時代には70cm以上のデカいトンボとかいたらしいし…。
10%酸素濃度を上げた環境で育てたゴキブリは普段の2倍程度にデカくなったとか研究されてたよな…。



もしかするとこの世界も酸素濃度が高いのかもしれない…。
と、俺はテレビで視た事を思い出す。



「あんた達、走れるか!?こいつら幾ら倒してもキリがないんだけど!!」

「あぁ!今ポーションで回復したから行けるぞ!!」



シェールはパンツにそう答える。



「パンツ!こっちは大丈夫!!」

「よし!!じゃあソフィちゃんの所に移動しよう!!」

「分かった!あなた達、私に付いてきて!!」

………。

「……って、アイル!!そっちじゃない!!」



アイルはまた検討違いの方に走り出そうとしたので俺は咄嗟にアイルを捕まえる。

全く…良くこれで冒険者の活動をしてこれたな…。

金級ゴールド』に上がれないのはもしかして…。



と、今はそんな事よりこの蟻どもの相手が先だな。

もうそろそろソフィちゃんの詠唱が終わる頃か…。



「よし、『俺に!!』 付いてきてくれ!!」

「あぁ!分かった!!」



シェールは力強く答える。その他の3人も無言で頷いている。

あえて『俺に!!』を強調したからみんな俺に付いて来てくれるだろう……。

そして俺達はキラーアントの群れを引き連れてソフィちゃんが待機している場所へ走り始める。





「ソフィちゃーん!お友達連れてきたぞぉ~!!」



走り込む先にはソフィちゃんが丁度、魔法の詠唱を終えた所だった。



「お兄ちゃん達!!避けて下さい!!」



俺とアイルはソフィちゃんに向かいながら左右にサッと割れる様に二手に分かれるとソフィちゃんは俺達に付いて来たキラーアントの群れに魔法を放った。



広範囲炎突風ワイドレンジファイアブラスト!!」

炎魔法第4位階魔法の『広範囲炎突風ワイドレンジファイアブラスト

詠唱者が指定する範囲に炎の突風を巻き起こし広範囲の的を殲滅する魔法。



ソフィちゃんの杖とキラーアントの群れが居る地面一帯から同時に炎が噴き出し群れを一掃して行く。



「うぉ…すげぇ……えげつな…。キラーアントの群れがあっと言う間に焼かれて行く…。正に薙ぎ払え状態だな…。」



俺はその途轍もない魔法の威力を目の当たりにして茫然とする。



「やったわね!」



アイルが裏拳で俺の肩を軽く叩きながらニコリと笑いかける。



「助かった…のか?」

「えぇ、助かったみたいですよ?ニッ」



シェールがぽつりと独り言の様に呟く声にアイルがVサインをしてそう答える。

どうやら俺達は無事に4人の命を助けられたみたいだ。



……………

………夜。



「有難う、本当に感謝してもしきれない…あんたたちが来てくれなければ俺達パーティはあそこで全滅していた…。」



シェールと呼ばれた金髪男がは深々と頭を下げると、他の3人も同じように頭を下げる。



「そもそも何でキラーアントなんかに追われたりしてたの?」

アイルが襲われた状況を聞いてみる。



「あぁ、このバカリーダーがさぁ、新品の剣を試したい!っていきなりよ?

私達に相談もなくジャイアントアントと間違えてあいつらを攻撃しちゃったの!」

「あ…アホだ。」アイル

「アホだな。」パンツ

「コクコク」ソフィ



「うわぁあん…そんな汚物を見る様な目で俺を見ないでくれぇ!!

確かに、今回は本当に軽率だった!反省してる!!」



シェールは地面に額を擦り付けて土下座をしている。

ドゥゲザー文化がこの世界にもあるんだな……。



「今回は?以前も盾の防御力を試したいからってゴブリンにちょっかい出したらゴブリンキングが出てきて死にかけて、パーティ組み始めて初依頼の時にも弓の性能を試したいつって中途半端にオーク怒らして返り討ちにされてたじゃねーか!」



サル顔のジンがシェールのこめかみをぐりぐりする。



「ほんっとにもー。でも、今回は本当にもうダメだと諦めてましたから、あなた達が助けてくれなければ私達は今日、こうして無事に会話していなかったよ……。有難うございました。」



エルフのエチルが改めて深々と再び頭を下げた。



「このバカリーダーが毎度、トラブルを起こすので気の休まる事がないんです…。」



そういいながら「トホホ」顔をしている神官風の男、カバール。

この人が一番真面目そうだし一番苦労してそうだな…。何かそんな気がする…。



「俺達もギルドの別依頼を受けて偶々通りかかった(迷った)だけだからそんなに気にしなくていいですよ。それに助けようって言ったのはアイルだし。な?」

「え?そうだっけ?」…ニッコリ



アイルはいきなり話を振られて困り顔で笑顔を作る。



「はぁぁ女神様…あなたは女神だぁぁ!!なんと美しいお方!!慈愛に満ちたその笑顔!出ている所は出ているそのスタイル!!そしてそのぷっくりとした唇!!素晴らしい!!」



そう言いながらシェールがアイルに抱き着こうとする。



「ひぇぇっ!!」



ボコー…



「はぁはぁ…何なのよ…変態はパンツだけで十分よ…。」



シェールはあえなくアイルのストレートを食らい失神してしまった。

おい、さり気なく俺をディスるなよ…。



「パンツ?パンツ忘れたの?」



エルフのエチルさんが俺の名前に食いついて来た。



「あ、違うんです。こいつの名前がパンツって言うんです。変な名前でしょ?」

「あのなぁ……あの時はアイルが勝手にギルド登録書の名前を書いたんだろ?

しかも何だよ……グネグネグネール・パンツって…。」

「そうだっけ?忘れちゃった!」テヘ!



クッソ!!ちくしょぉおおおぉぉ!!……かわいいじゃねぇかぁああ!!。



「そういえばまだ自己紹介がまだだったな…。俺はジン、金級ゴールド冒険者でこのパーティ『太陽の風』の斥候をしている。」

「私はカバール。同じく金級ゴールド冒険者でマジックキャスターをしています。

主に回復と雑務全般の担当をしています。」

「私はエチル、私も金級ゴールドでマジックキャスターをしています。そしてそこに伸びてるバカが一応、『太陽の風』のリーダー、白銀級プラチナのシェールです。」



「え?白銀級プラチナ?なんですか?…そう見えなかった…呆」

アイルは自分が伸した相手に侮蔑の視線を投げやりながらそんなひどい事を言う。



「そうよね~まだ1か月前に金級から昇格したばっかりで白銀級プラチナなんて言える様な活躍もしてないし‥。」

「でも、白銀級プラチナなんですよね?凄い!今まで、どんなクエストをしてきたんですか?」

「そうねぇ、最近だとコタメンズ領のゴーレム討伐とかかしら。それであいつは白銀級プラチナに昇格したのよ。」
「え?ゴーレム討伐!凄いじゃないですか!」



お?ゴーレムって聞いた事あるぞ?



「ゴーレムって、魔法で動く人型の石だっけ?」

「パンツも知ってるの?そうそう。普通の攻撃や魔法は跳ね返す程も防御力をもってて動きは緩慢だけど防御力はランクBのモンスターに達する個体もいるぐらいよ?ギルドではランクCに指定されているモンスターね。」

「へぇ~…そんな奴を?これが?倒したのか?」



俺はまだ伸びているシェールを鞘の先でつんつんする。



「それよりあん達、一体何者なんだい?あのキラーアントの群れを一掃するなんてに白銀級プラチナが3~4人いても苦戦する所だぜ…。」



サル顔ジンが俺達の戦闘力について尋ねてくる。



「私はアイル、銀級シルバー冒険者で剣士をやってます。」

「私はソフィです。お姉ちゃんと同じ銀級シルバー冒険者で魔法使マジックキャスターいをしています。」



「それにソフィは、3種類の複属性持マルチプルキャスターちなんです。」



アイルがソフィの頭を撫でながら自慢気に語る。



「ええ!道理で……、あの魔力……って事か。凄い筈だぁ……。」

「成る程、複属性持マルチプルキャスターですか……。それならばあの魔法の威力にも理解出来ます。」



エチルとカバールがうんうんと納得した様に頷いている。



「パンツだって十分凄いじゃない。」

「え?あぁ、俺ね。俺は今日ギルド登録したばかりの新人パンツって言います。貝殻級シェルで職種は武闘家って事になってます。」

「……もう名前が『パンツ』である事は受け入れてるのね‥。新人パンツって新品パンツみたいで面白いわね。」



アイルが失礼な事を言った気がするが無視しよう。虫討伐した後だけに…。



「今日ギルド登録した貝殻級シェル?それに俺達が助けられたの!?……っつはははは、おめぇさん達、どんだけすげぇパーティなんだよ!

仮にも白銀級プラチナがいるパーティが貝殻級シェルに助けられるなんてとんだお笑いだな(笑)」

「別に変でもないでしょう?ギルド登録は誰だって最初は貝殻級シェルなんだし。

あの都市ギルドマスターの金緑石級クリソベリル、『暴風の嵐レト』だって最初は貝殻級シェルだったんだから。」



笑うジンを諫める様にエチルが答える。



レトってあの筋肉ダルマバカマスターだっけ…。

もう名前より『筋肉ダルマバカ』って認識の方が強いな。

しかし『暴風の嵐』って二つ名なのか…。暴風なのに嵐って…被ってないか?

あの筋肉バカ…こんな所で名前が出てくるなんて…。

やはり只者ではなかったのか…?少し聞いてみるか。



「あのバカダルマ……ギルドマスターって、やっぱり凄いんですか?」

「凄いなんて物じゃないよぉ!僅か2年で白銀級プラチナまで昇格して、その6年後に金緑石級クリソベリルに昇格を果たした正に天才剣士だよ!!」



エチルが興奮気味に教えてくれる。



へ、へ~……。そんな凄いダルマさんだったんだ。

……手合せの時は本気じゃなかったっぽいし、本気を出したらきっと凄いんだろうな…。

※※※※したら本気出す的な…。



ムク……。



「それで?あんたはどうなんだ?」

「あ、シェール、起きたの?そのまま寝ててよかったのに。」

「……。俺、おまえ達のリーダーだよ?心配してくれてもよくね?」

「それならリーダーらしい振る舞いをしてくれない?私たちがあんたの尻拭いしてばかりなんだけど…。」

「……んぐぐぐ。」

「あんたリーダー(仮)からやり直した方がいいんじゃない?」

「う……。それでだな……」



あからさまに話題を変えようとするリーダー(仮)になってしまったシェール。

それを批難するエチルさん。

筋肉ダルマと副ギルマスのリッターさんとの関係に似てるな…この二人。



「その広範囲魔法をした娘もすげぇ…。既に白銀級プラチナクラスの魔法を使える…。それよりもそっちの兄ちゃんだよ。素手でキラーアントの外殻を破り倒すなんて…今でも信じらんねぇよ…。」



「俺は…。」

俺が改めて自己紹介しようとするとスッとアイルが立ち上がり…



「こいつはパンツ!さっき言った通り、今日、ギルドに登録したばかりのペーペーだけど、実力は保障するわ!変態だけど!!」



「「「「……変態!?」」」」



おい!余計な情報を付けるな、後半の『変態』に食いついちまったじゃねーかー!!



「パンツはね、マゾン魔物草原に『真っ裸』でうろちょろしていた所を私達姉妹が保護してあげたんです!」



「「「「まっぱだか!?」」」」



あぁ~もぅ……その紹介の仕方おかしくない?……いや、間違ってないんだけどさ……。

もう少しオブラートに包んでくれよ…。



「あの……ま、魔物草原で……?マッパ?…確かに変態だぁ……。」



4人が『うわぁ…』って表情で俺を見ている。



いかん!!これでは本当に俺が変態扱いされそうだ!

俺のイメージを軌道修正しなければ!!



「いやいや、確かにあの広大な草原の真ん中で産まれたままの全裸で草原をかけ回るのは気持ちよかったですけど、それは修行の為なんです!!(嘘)」



「「「「いやいや……変態じゃん……。」」」」



めっちゃ引いてる……。



針のむしろ状態の俺に対して、アイルがトドメだ!的な感じで話し出す。



「そんな変態のパンツさんですが!只の変態さんではないのです!!」



只の変態って、変態属性があるだけで十分OUTだよ。



「…なんと!魔法全属性の6種類の適正を持つスーパー変態さんだったのです!!」



「「「「「……………えええぇえぇぇぇ!!!」」」」」

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