ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

99話 好き嫌いは、誰にでもあるよな。 改稿

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 さて、そろそろメインの魚を焼く準備だね。

「パトリックさん。魚って、客からの注文が入ってから焼くの?」

「そうだぞ」

「だったらさあ、お願いがあるんだが」

「なんだ?」

「魚、一枚焼いても良いかな」

「うん?魚をか。 …少し待ってくれ今出すから」

 パトリックさんに、お客に出す魚を一匹出して貰うように頼む。
 すると、パトリックさんが魚を乗せた皿を出して来てくれたので、それを受け取る。


「ありがとうパトリックさん。これ白身魚で旨そうだね。で、悪いけどまた粉を出して貰っても良いかな」

「そう言うと思ってほら、粉だ」

「流石!ありがとう」

 予め下味は付いてるから、魚に粉を薄く付けて皿に戻し、フライパンを竈門の火に掛けて、そのフライパンにボアの油を多めに掬って、フライパンの中に落とし溶けた油を広げる。

 油がとけると、フライパンに油を回し全体に広ければ、その中に魚を入れて魚をじっくり焼き始めた。

 フフこれは白身魚のムニエル風だな。
 ほんとは、バターが欲しいけどね。

 魚の両面に焼き色が付いたら、白ワインを入れて、アルコールを飛ばしてから蓋をし少し蒸し焼きにして火を通す。

 フライパンの前に立ち待つこと数分。  
 蓋を外して、水分を蒸発させるようにカラット焼き上げて出来上がり。

 よし、味見だ!
 俺は魚をフライパンから魚を取り出して、魚を皿に乗せフォークで魚を三等分に切り分け、自分の口に放り込んでから熱々の魚を咀嚼する。
 うん、中々良い感じに焼けたな。
 魚が柔らかくて旨い。
 それに……もろ鱈だなこれは。

「ほら、パトリックさんたちも魚を味見してよ」

 俺が持って居た皿をパトリックさんに渡し焼き上がった魚を食べろと勧める。
 はい!っと、パトリックさんに皿を差し出すと、パトリックさんは皿を受け取り手に持つフォークで一口にした。

 残りのひとかけはマルクくんに渡すが……おや?どうしたのかな。
 マルクくんは皿を受け取るも、魚を食べようとしない。
 あれれ、、もしかして魚嫌いなのかな?
 そんなマルクくんを見てると隣のパトリックさんから声が掛かった。

「アキくん、これも旨いな。焼き方が変わってるが、魚がふっくらと焼き上がってて、固くないし魚臭くないな」

「そう旨いでしょ?、白ワインが決め手だよ。それと、この焼き加減ちゃんと覚えてねパトリックさん」 

 そして、もう一度マルクに目をやると、やっぱり皿を持つだけで食べようとしない。仕方ない声掛けてみるかな?

「どうしたのかな? マルクくんは、魚は嫌いなのかな」

「うん」といって皿を返された。

 まあ子どもだし、好き嫌いは皆あるからなそこは強制しない。

「そっかじゃ仕方ない、これは俺が食べちゃうね」パクリと残りの魚を食べ切る。
 うん、冷めても美味い。

「マルクお前、料理を覚えたいんだろ?」

 少しだけパトリックさんが不機嫌にマルクくんに尋ねた。

「うん、、覚えたいけど……」

「なら、好き嫌いは駄目だ」

「何でさ」

「お前は、お客さんに食べ物を出すときに、料理の味も見ないで作った物を平気で出すのか? それに、アキ君に料理上手くなりたいって、言ってたじゃないか」

「そうだけど、ユキは嫌いなんだ」

「そうかなら、マルクは厨房を手伝わなくて良いからな。他の仕事を手伝ってくれ」

 あらら、厨房立ち入り禁止かな?
 料理人に、成るなら多少の好き嫌いは克服しないとだね。

 まぁ、どうしても駄目な物もあるからそこは何とも言えないけど。

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