ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

新たな町へ

198話 売るに売れない……。

　カウンターに出した鳥の置物をまじまじと見る。

「…………」

　あ！これは………恥ずかしい系だな。
　よし！撤収だ！恥をかくのはここ迄だ。
　それに何となくいやな予感駄々漏れしてるし。
　さっきこれ出した時に、目が光ったよな？この人……多分だけど。

「あ、あの。すみません。お目汚しに成ってしまいましたね？売れるか聞きたかった、だけなので仕舞いますね？忙しいのに済みませんでした」

　そそくさと仕舞おうとしたら、ドレイドさんが待ったを掛ける。

「お、お待ち下さい。何か誤解させて仕舞いましたか？私は唯、此方の置物が素晴らしかったので、見とれてしまっただけです。アキヒコ様失礼ですが此方は何処で？」

「え？あぁ。これは私の故郷の物です」

「ほぅ～？そうでしたか。で此方をお売りに成るのですか？」

「ええ、私は商人もしておりまして、ギルドをある程度利用しないと不味いのですよ。ハハハ」

「そう………でしたか。それは惜しいですね？」

「え？」

　惜しいってなにさ？

「いえ、お売りに成るのでしたら、厚かましいのですが……是非！私に売って頂けませんか？」

「………え？」

　マジか？

「ですから、是非お譲り頂きたい！」

　良いのかなぁ～？片手間でチャチャっと作った品だしなぁ～。気が引ける。

《なにを迷って居るのですか？》

『い、いや。片手間でで作ったのに、売ってくれと言われても素直に「はいどうぞとは言えない」俺が居る……』

《………ですが、売りたかったのですよね？》

『まぁそうなんだけどねぇ………』

《………》

　あ、ナビさんが呆れた………こう言う所が小市民なのか？