ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

新たな町へ

210話 他意はない

　さて、宿の部屋に戻ってきた。

「とりあえず、空間の中の物は全てアイテムボックスに、仕舞い込み空間を消してと。後は忘れ物は………ないな。この宿は大丈夫だと思ったのにな」

　ガッカリだね……。

《主………今回は私のミスです。申し訳ありません》

『は？なんで？』

　珍しいナビが謝って来たよ…………怖！逆に怖い！明日雨降るかな？

《主？いま、失礼な事を考えてませんでしたか？》　

『か、考えてないよ？アハハ！』

　いつものナビさんでした。

「さてと、逃げますかね？嫌な予感がバリバリするんで。あ！鍵どうするか？」

　外套羽織って、認識阻害掛けて部屋を出る。
　階段を静かに降りきると、フロントには誰も居なかった。

（ラッキー！さっさと鍵置いて、ワープで逃げよう）

　そぉ～っと、カウンターに近付いて鍵を置きワープを発動して逃げ切った。

　再び冒険者ギルドのギルマスの元に戻る。

「「ヒｨ！」ギャー」

　いきなり、誰かが目の前に現れてギルマスとサブマスが驚き！悲鳴をあげる。

「う、煩いですねぇ～？何かありましたか？あ！今戻りました。すみません。突然席を外して？」

　言うだけ言って、羽織っていた外套を脱いで認識阻害魔法を解除して、ストンとソファーに座る。

「「………（驚いて言葉がでねぇ～）」（やめて、心臓止まるわよ！）」

　ギルマスとサブマスが二人で固まって居るのを見てアキヒコは二人に頭を下げる。

「すみません。驚いてます？」

「お、驚くだろうがよ！突然出てきゃがって！」

「そうですよ！全く君は、規格外過ぎます！」

「………アハハ。すみません、驚かせるつもりはないのですよ？」

　他意はないよ！うん！

「…………全く！で？」

「で？あぁ。引き上げて来ましたよ！ちゃんと部屋の鍵もお返ししてきましたよ？」

「はぁ～ったく！まぁ良いよ。俺が後で領主樣に報告しておくよ」

「ならもう少し付け加えると、あの商業ギルドのギルマス、人身売買をしてるようですよ？まぁ確かではないですがね？俺を値踏みしましたから」

　腹が立つからチクってやる！あんな屑みたいな奴はどうせ、碌な事はしてないだろうからな！

「なんだと！分かった、領主樣に相談してなんとかするよ？全く！錬金術ギルドに続いて商業ギルドもかよ！腐ってやがる！」

　よし！これで何とかなるかな？