ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

359話 留守を守る使用人達

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 さて、暁彦が早朝に出ていった朝のこと。

「よう!皆、おはようさん!」

「「「「「お、おはよう……」」」」」

「お、おはよう。どうしたのさ!クレド」

「そうだぜ、グレドなんだ?」

 皆で挨拶をしていると、ニングスが廊下から焦った様子で走って食堂に飛び込んでくる。

「だ、旦那様を呼びに三階に行けないのてす。階段に、足を一歩も踏み入れる事が出来ないのですが。誰か……なにか知りませんか?」

 訳を知らないニングスに対して、暁彦に頼むと任されて訳知りのグレドが、呑気にニングスに暁彦からの伝言を話し始める。

「旦那?旦那なら、屋敷を暫く留守にするそうだぜ?」

「はあ?なんですか?それは!私は聞いてませんよ!」

「そりゃそうだろうなぁ?昨日の晩に、俺と話してた時に言われたからな。ニングスも残す筈だったみたいに言ってたが……。俺が伝言を、預かった。旦那、相当疲れてたみたいだぜ?」

「そ、そうでしたか?それで、旦那様は何処に?」

「さぁ?知らん。暫く留守にする。としか聞いてねぇぞ」

「……………まじ?グレド」

「仕方ねぇだろ?聞いても、あの旦那は言わねぇだろ?どうせよ」

「なら、屋敷の警備の事はなにか言ってたか?」

「言ってたぜ!」

「なんだって?」

「ええっと………屋敷に訪ねて来た客は全て、旦那が不在だから分からないと言って、追い返して良いそうだ。それと、出かけるなら気を付けろとも、言ってたぜ」

「わ、分かった……なら、門番に立つ俺達はそうしょうな?」

「「おう!」」

 三人体制になってしまい、シフトが難しくなったが……三人の方が、仕事がしやすくなったと三人其々に思う。

「あと、マイナ、イリヤ、ケイトは今日から俺の料理を覚えてくれ。これは旦那からの命令だ」

「は?」

「な、なんで?」

「ええ!嫌だよ、あたしは」

「旦那が帰って来たら、交代で俺が出掛けるから。だな!」

「「「「「「は?」なにそれ」」」」」

「俺はかみさん探しに行くんだよ!」

「え?なら、料理覚えるってその為かい?」

「当たり前だろうよ!じゃ無かったら。俺の城に誰も入れるなんて事はぜってぇーしねぇ。旦那以外はな!」

「「「分かった」」」

「あと。イリヤ!お前絶対一人で配膳やら、料理やらをするなよ?」

「あ!え、なんで?」

「旦那からの命令だよ!この屋敷の調度品は、宝の山なのは分かるだろ?お前……この食堂にある飾り棚の中の物を触るなよ?何処の部屋の飾りもだ!とよ」

「………分かりました」

 落ち込むイリヤだが……言い返せないのでそのまま返事をする。

「イリヤ大丈夫。あたしが手伝うから」

「そうそうあたしも手伝うから気にしなさんな!」

「ふ、二人共ありがとう」

「任せて………」

「しっかし、本当にこの屋敷は宝の山だよね?畑の野菜一つ取ったって、市場に持って行けば高値で売れる。本当に良い旦那に拾って貰ったよあたしらは」

「……まぁ、そうですね。私も恩を返せないですよ」

「俺もだな……どうやって返そうか、悩み中だよ。だからこそ、旦那が困ってるなら助けないとな!」

「そうそう!今回はヤバい!」

「なにがだい?カナル」

「昨日聞いたろ?貴族の隊長と、執事の話しは」

「ああ、本当に嫌がってたね?あれ」

「あ、だから暫く屋敷に居ないのかな?」

「多分な、屋敷に押し掛けられても。困るだろうし、二人から迫られても。相手は貴族だ……何されるか……。旦那も気の毒に」

「まぁ、男でも女でも旦那のあの姿は……誰でも勘違いしそうだがな」

「それは言わない方が良さそうだぜ?ここにいたいならな。俺はそんな予感がする」

「勘なのかい?カシュー」

「ああ、あの飛んでもない力を見ればな。簡単に上位の魔物を倒せる力に、鞄からは俺らの知らない物が出てくるんだぜ?そんな人になにかしてみろよ?命が幾つ有っても足りねえよ」

「そうだね……あの人優しいけど……怖い人だ」

「お、ゲイル何故そう思う?」

「だって………魔物の倒しかた……あんなの上位の冒険者でもできない」

「ま、そうだな。て、ことで……俺らは俺らの仕事をしようぜ?グレド朝飯はなんだい?」

「今朝は……蒸し鳥のサラダと、たまご焼きに、トマトと茄子のスープにパンだ」

「それは美味しそうだね。さ!食べて仕事をしましょうか?」

「「「「「「ああ」」」」」」

「イリヤ達は今夜の食事の、仕事から手伝えよ?」

「「「分かった」」よ」

 そして、クレドはケイト達に料理が出来るように仕込むのだが。
 果たして……暁彦が戻るまでに、一人前に料理が出来るのか……グレドは不安に思うのであった。


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