ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

534話 イリヤ 5

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 ……ぃ……お……ぃ……。
 あれ…誰か呼んでる?なにかなぁ…あたしまた眠いんだけど……。

「……ぉぃ……………(このガキおきねぇ…なんだこいつ!水一杯で長い時間、粘りやがって挙げ句にねこけやがって!)おい!嬢ちゃん!」

「……えっ!は、はい!」

 怒鳴り付けられて目が覚めたけど…。
 あれここ何処だっけ? 
 えっと……邸を出てギルドに来て…あっ!

「嬢ちゃん!いつまで寝てんだよ、こっちはいい迷惑だ!これから客も多くなるんだ、注文しないで寝られても困る。悪いがなにも食わないなら、出ていってくれるか?」

「えっ?食わない……えっ?す、すみません今は何時ですか?」

「はぁ~?今はもう朝の9つだよ!さぁ出ていってくれ、こっちはこれから忙しいんだ!」

 えっ、9っ………。

「あーーー寝ちゃったぁーー」

「う、煩せぇ!さぁ早く出ていけ!」

「は、はい……お邪魔しました……」

 あ~寝過ごしたゃった……でも走れば間に合うかな?
 バタバタ走ってさっき教えてくれた受付の女の人のところまで行きたいんだけど…なに?
 なんで、こんなに人が居るの?
 それになんか怖い……ギルドの中に居るの人達…なんか殺気だってるし。

「これは…近づけないよ。あっ外に出たら馬車があるかな?」

 ギルドから大急ぎで出て、建物のまわりをうろうろすると馬車に乗り込む人達がいた。
 イリヤはその側に近寄って乗り込む人に声を掛けた。

「あ、あの…」

「ん?なんだ?」

「この馬車は辻馬車ですか?」

「……そうだが?」

「えっと……」

「なんだ、用が無いならあっちに行ってくれ!」

「あっ!はい……ありがとうございました」

「ふん!」

 うぅぅ怖い……えっと、どうしたらいいんだろう。

 受付の女の人がなんか言ってたよね…あっそうだ!御者さんにお金払うんだったよね?
 それなら馬車の先頭に行けばいいのかな?

 色々考えてもたもたしてると、行く先行きの辻馬車の御者が行き先を告げなから乗る人を確認し出した。

「メールマン行きの、馬車に乗る人は?もう居ないかい?いないなら出発するのぞ!」

「ラーマルに行く人は?もう出るぞ!」

「ヤバーイールに行く人!こっちだぞ!」

「カールーバシに行くなら、早くしてくれ!」

 えっ!こんなに一杯馬車があるよ!どうしょう?
 仕方ない聞いて見よう。

 イリヤは手始めに、メールマン行きの馬車の御者に駆け寄って御者に話し掛ける。

「あっ、あの…」

「ん、なんだ馬車に乗るなら早くしてくれ、運賃は銀貨6枚だ前払いだから払ってくれ」

「え…ごめんなさい間違えました…」

 うぅぅ…高くて払えないよ。

「ちっ!乗らないならあっちに行きやがれ!こっちは忙しいんだよ!」

「ご、ごめんなさい!」

 ひぃ怒られちゃった……つ…次の馬車は?

「あ、あの……すみません」

「嬢ちゃん……乗るのかい?乗るなら銀貨4枚だぜ?」

 あっこの馬車だ!よかった…。

「の、乗ります。はいお金です」

「毎度……なら早く乗ってくれ、それと他の人も先に乗ってるんだ、回りに迷惑をかけるなよ?あとカールバシに行くまては3日掛かる。食事は各自で用意してくれよ?こっちは、なにも食わせる物は出さないからな」

「えっ!あたし、何にも食べる物を用意してない…です」

 えぇ!知らなかったよそんなこと!ギルドの女の人もそんなこと言ってくれなかったよ。

「そんなのは知らん。乗らないなら金は返すが?」

「い、いえ乗ります」

 仕方ないよね乗らないと町から出れないもん。

「……そうか……なら乗ってくれ。あんたで最後だ」

「は、はい」

 あたしの乗る馬車は、幌馬車で馬車の中は両方に座る板があって、そこには先に座ってる人が5人いた。
 座る場所を目で探して、隅っこが空いていたのでそこに座るとイリヤは小さく溜め息をついた。

「(ふぅ…これから3日もこれに乗るんだ…しかも飲ます食わずで……)」

 イリヤが落ち着いて座ると【ガタン】と音がして馬車が動き出した。

「あっ、動いた……」

 同じ馬車に乗る人は…子連れのおばさんと、お年寄りの夫婦かな?それと冒険者みたいな二人だ。

 なんか……馬車の中の空気重いよね……。

 馬車って…乗ったのは何回かあるけど…。
 旦那様の馬車に乗った事があるけど…あれに比べたらどれも馬車って貧相なんだもん。

 なんか、あたし…お屋敷を出たのは失敗だったかな?

 ううん、あたしの判断は間違って無いよね!
 うん……それにしてもお尻痛い。



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