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新たな町へ
567話 お帰りです。 改稿
しおりを挟むリビングに飾ってある置物をってか…。
それを欲しいと良い出しやがった。
お貴族さま二人、こいつら!どうしてくれようか!人の好い振りしやがって!結局集りかよ!
「ええっと、大変失礼なのですが…お二人とも何を仰ってるのでしょうか?」
「おや?分からないかな?」
「いいえ、分かりますよ。ですが…」
借りにも領主に騎士団隊長様でしょうが!平民から物を集るってなんだよ!
だったら……まあ、いいや!それなら売って遣ろうじゃないか!
「フフフ、だったら分かるだろ? なぁ?」
何を言ってんのかね?借金取りのチンピラの様な真似しくさりやがって!
「何も、只でとは言ってないぞ!そうだな……あの二つで金貨5枚で、どうだ?」
「では、私は二つで金貨12枚出そう」
これにはケイルスと二人で顔を併せて困り顔するしかない。
本当になんなんだよ!だが待てこれはチャンス!なら売り付けて遣ろうじゃないか!
「そこまで、お二人が仰るのでしたら…此方まもお勉強させてもらいましょうか?それでは……そうですねぇ…例えばあのガラスに入るバラの飾りですが……」
「おお、それは…良いなぁ。い、いくらだね?」
「き、聞こう」
ゴクリと、唾を飲み込む二人に俺はニッコリ笑って金額提示する。それもちゃんと苦労話を折り込んでだぞ。
「彼方は、全て手作業でできてるそうです。それも材料も全て水晶でできてるとの事。そして、花弁の上や茎と雫の様に付き、散らばる色つきのガラスに見える石は全て宝石に成ってるそうです。どうやら職人が拘った物の様でして…。それはそれは、手に入れるのに苦労しました。それに値段も目が飛び出るのでは?と思う位お高い物でした。が、どうされますか?」
平気で買うと云うがな!値段もそんなに安くはない!んだよぉ~。さて買えるのかな?フフフ。
まったく人ん家の物を欲しがるってどうよ?
どうせならお高く吹っ掛けて遣るぜ!
「そ、そうか?で、い、いくら位したんだね?値段を聞かないとな、まずは!アハハ」
「そうですか?では、あちらは白金貨10枚程吹っ掛けられましまよ。アハハ!職人が端正込めた作品ですからね?納得して買わせてもらいました。それからあの時計ですが、あれも精巧且つ巧妙な魔道具だそうで…あちらもやはり白金貨が5枚程だったでしょうか?」
「そ、そんなに…………」
「暁彦くん?それは冗談ではなく?」
「ええ、そんなに!です。ではお二方、彼方をお買い上げ下さると?それとご領主さま?冗談ではございませんよ?」
「そ、そうか?アハハ。わ、悪かったね?いきなりの訪問で、しかも無礼な事を聞いてしまった様だね。な、なぁヒューグ」
「そ、そうだな。アハハ悪かったね。暁彦君。で、風呂は入っても良いかね?」
「おや?それは、後回しではなかったのですか?まっ、勿論風呂の準備は出来て居りますが…入りますか?」
「そ、そうか?な、ならどうするか?ダルタニア」
「そ、そうだな。…こ、今回は突然の訪問だ。悪いが遠慮させてもらおうかね。悪いね暁彦くん無理を言って。折角用意してもらったが…」
フフフ、勝った!
「いえいえ、何のお構いもしませんで。あっそうだ!ご領主様にヒューグ隊長?」
「な、なんだね?」
「なんだい?」
「折角来て頂いたのですから…手ぶらでらお返しするのもあれ…ですから。…こちら等如何でしょうか?」
アイテム鞄からごそごそと取り出すように、ネットから出したのは…切子細工のショットグラスでペアで桐の箱に入ってる物だ。
それを二人にと、言って一つづつ中を見えるように出して二人に見せてから、最初に領主が提示した金貨12枚で売ると言ってみる。
「こ、これは……あの棚に収まってるグラスかね?」
「ええ、そうです。同じものですよ?これは色別なってますが、対のグラスなんですよ。どうですか?奥様や婚約者様とご一緒に、これでお酒等召し上がってみては?今ならこのグラスは…そうですねぇ……折角お知り合いに慣れた事ですし…金貨30枚のところ、負けに負けて…金貨12枚では?如何ですか?」
ニッコリ笑って売り付ける。
さあ、買うの?買わないの?お二人さん。
「う、うむ……こ、これも捨てがたい。しかも細工も見事だしなぁ~。ヒューグお前はどうだね?婚約者殿と…」
「ハハハ、それも良いかも知れませんが…今回はわたしは……」
「そうなのですね?それではこれは引っ込めると、しましょう。とても残念ですねぇ~」
意思悪く切子のグラスをさっと仕舞った。
二人は仕舞うのか?と云う顔をするが、そんなん知ったこっちゃねぇんだよ!
そして、諦めてくれたようで…帰ると言い出した!ふん早く帰れよ!
「じ、じゃ我々は暇させてもらおうかね。なあヒューグ!」
「あ、ああ、そうだな。そうするか。暁彦くん悪かったね?折角破格で売ってくれると言ってくれたのに。…その……また違う物をなにか売ってくれよ」
「ええ、わたしで御用意できるので、あれば」
ニッコリ
満面の笑みを浮かべてそう答えた。
「さて、ではお客様のお帰りでだそうだよ?ケイルス。二人でお見送りをしないとね?」
「畏まりました、ではこちらへ」
ケイルスがエントランスまで二人を案内する。勿論お付きのひとらもだが。それに俺もエントランスまでいき二人に挨拶をちゃんとする。
「では、またな?暁彦くん。今度はちゃんと知らせを出してから伺うとしょう」
「ええ、そうして頂ければと。では、ごきげんよう。帰りの道中お気を付けてお帰りください」
ペコリと二人に頭を下げてエントランスで見送った。
で、口八丁で貴族二人を部屋から追い出した俺。だが忘れてならない手土産。
それを慌てて用意し、マイナに持たせ門まで走らせた。
「ちゃんと間に合ったかな……?ふぅ~疲れた」
何しに来たんだ、二度と来んな!
安く見やがって!アホ貴族。
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