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新たな町へ
581話 久しぶりの……カモメ亭って…
しおりを挟むアルムさんとギルドを出て次に向かうのは……ちょっと待て?
「あの……アルムさん?」
「なんだ?」
「ええっと、次も付いてくるの?」
アルムさん、もう詰め所に戻って良いよ?
「ん?」
と頭を傾げて当たり前だろ!と言って、俺の背中を【バン】とまた叩かれた。
「い、痛い……」
と言ったら、すまんすまんと言ってまた叩かれた。叩きながら謝るな!
痛いってば、アルムさん俺の背中を叩くな!
「ハハ、次はあれだろ?カモメ亭に行くんだろ?」
「まぁ、そうだけど…」
「なら、早く行こうぜ?」
アルムさんに急かされてカモメ亭に向かう。
その間アルムさんに、旅の話やらなんやら聞かれてとっても困った…。何せまともに馬車にも乗らず、歩きもせずにチート満載の旅をしてるから…どうにも説明ができない。
作り話もあんまり出来ない…なので受け答えがしどろもどろで…なんとも困った。
だがそれでも、なんとか話を濁しなからも会話を続けカモメ亭の側まで着いた……。
「なんだよ、アキ!結構お前苦労してんのな?」
「ハハ何ですかそれ?まあ苦労っと言うか…トラブルには遭ってますけど」
「無自覚って怖えぇ……。お前、隣の国にってあれだろ?? ドイア国だろ?」
「無自覚って……それより、ドイア国がなにか?」
「あの国は、あんまり言い噂を聞かねぇぜ?うちの国とも……国王同士対立してるって聞くしな。それに…あっちの貴族もあんまなぁ…その」
あれ?この会話って……何処かで…。
《ドイアで、聞いてますね。今お住みの町のギルドで、話をされてます》
『あぁ、ギルマスと話したっけ?騎士隊長とも話したかな? ん? 領主とだったかな?』
お互いにいがみ合いしてるとこんな感じなのかな?
《まあ、お互い言い分がありますよ。国を同士等で》
「ハハそうですね、欲深い人が多いですかね? でも…貴族なんて、どの国でもそんなもんでしょ?」
「ハハハ、耳が痛てぇなぁ…。俺も弱小貴族の出だしなぁ~」
と頭をカリカリと掻いておどけるアルムさん。
…ま、まずい…ぞ!これは不敬な発現だったよ。 しまった!そうだよなぁ…門番って国に使える騎士だったよ。
多かれ少なかれ貴族出身が居るわな…。
平民と貴族の混在なんだろうけど。
「す、すみません。あ、あのアルムさん達がどうのと言う訳では…。そ、その気分を害されたなら謝罪を…………」
「ばっか!アキ、そんなもん別に気にしないで良いぞ? だが、俺の前だけにしとけよ?」
「は、はい!すんません」
「ハハ、お前面白いなぁ…強いんだか、弱いんだか良く分かんねぇし」
「ま、まあ強くは無いですよ。多分」
「…ふぅ~ん。強くないね?」
そう言って、アルムさんが上から俺をじっと見てる気がする。
何分、タッパの差があって見下ろされてるから良く分からん。
「あっ!ほらカモメ亭に着いたぜ?どうすんだ入るか?っと言っても、あれに並ばないと入れそうもないがな」
カモメ亭の前に来ると、店に入る為に並ぶ人達……。相変わらずと、いうか……並んでる人が前より多くないか?
「な、なんか、多いですね?こんなに繁盛してるなら心配無いかな?」
なんか、立ち寄るのも迷惑に為りそうだ。
結界もちゃんと機能してるみたいだし、顔を出したら迷惑に為りそうだし寄らなくても良いかな?この分じゃ逆に迷惑に為りそうだよね。
「アルムさん、付いて来てもらって悪いけど…戻りますよ。何処か良さげな宿屋を紹介して貰えますか?」
「なんだよ、店主に会わねぇの?」
「ええ、この混み様なら下手に顔出したら迷惑に為りそうだし」
「そうか?だがよぉ…ここまで来たんだから遭おうぜ?なっ!ほら並ぶぞ。…俺なにげに楽しみなんだよ」
そう言われて、最後尾に並ぶが……どれくらい待つんだこれ?
話題の店に並ぶなんて事したの、日本でもしたことないから初めての経験だぞ?俺が店屋に並ぶ……ねぇ…。
なんだか気恥ずかしい。
それに、人と一緒に並ぶなんて事をするなんて思って無かったよ…ハハ本当笑える。
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