ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

584話 やっぱり 改稿

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 宿の部屋が取れずに、カモメ亭の休憩室に戻った暁彦は部屋に居たアルムにからかわれる。

「なんだって?」

「だから、部屋は取れなかったよ」

「ブッハハ!やっぱりな!アハハ」

 糞!アルム!笑うなんて失礼じゃんかよ!
 だいたいあんたらが俺の足を止めたのが原因じゃんかよ。と思いギロリとアルムを睨んだ。

「やっぱりってなんだよ!ふん」

「そう怒るなよ!悪かったって!それにまあ、俺らがお前の足を止めたのが原因だろからなぁ…。しかし笑える。門前払いって……ハハハ」

「だから、笑うなよ!こっちは寝床がなくて困ってるのに」

「拗ねるなよ、アキよ!此方でなんとかしてやるからよ」

「そっそれは…(遠慮したぃ~)」

 そんな会話で騒いでいると、休憩室の扉が開き誰かが騒がしく入ってきた。

「ほ、本当にアキヒコ君だ!」

 ええっと…パトリックさん…本当にってなに?

「あ!アキ君だ! でも、ホントにアキ君? あ!アルムさんも居る」

 なんだ、その本当にアキ君?…とは?
 俺の偽物って居んの?それにアルムさんもって雑過ぎだよ?マルク君。

「えっと…パトリックさんにマルク君、久しぶりだね?……マルク君大きく成った?」

 顔付きが少し大人になったか?背も伸びたか?
パトリックさんは少し逞しい顔付きになったかな?

「本当にアキ君だ!ねぇどうしたの?僕は少し背が伸びたってお父さんに言われた」

「未々だがな…」

「もうとうさん!失礼じゃない?ボク頑張ってるよ!だけど…アキ君は今まで何処に行ってたの?」

「ん?色々な町に行ってたよ」

「へぇ~そうなんだ? ボク他の町って行ったこと無いから、行ってみたいなぁ~」

「そうか…でも、他の町もあんまり変わらないよ?」

「でも大人に成ったら、行ってみたいな…へへッ」

「なら、金貯めておかないとな!」

「うん!とうさん!仕事頑張ってお金貯めるよ」

 そうそう、何事にも金は持っておかないと…。
 でも多分町からは出ないで、マルク君はこの町で一生過ごす方が良いよ。多分……ね?
 だって、旅なんて危ないし辻馬車もあんまり信用出来なさそうだし。
 乗った事ないけどな!

 俺ならご免なさいだな。

 と人見知りを発揮する暁彦だ。

「でもよ~マルクよ旅は大変なんだぜ?なぁアキ」

「ん? まぁ、そうだね。魔物も出るしね。ところでパトリックさん」

「なんだ?アキヒコ君」

「お店? 宿屋は辞めたんだね?」

「そうなんだよ、宿より食堂一本にした方が実入りが良かったんだ。だから、宿屋は廃業したんだよ」

「そう、なんかびっくりしたよ従業員も増ててさっ。 料理人も増やしたのかな?」

「ああ、三人増やしたがそれがなにか?」

「嫌、別に大した事ではないよ。うん…」

「アキヒコ君?店がどうかしたかい?」

 なにか不味かったかな?と、パトリックが俺に聞いてくる。ここは、すっ惚けるよりは言った方が良いのかな?

 でも、些細な事だし言ってもなぁ~。
 お節介になだろうしなぁ。

《ふん、今更ですか?》

『なに、ナビ不服でも?』

《いえ、特には…》

 ん~取り敢えず参考がてら聞いてみるかな。

「ええっと、大した事ではないんだけどね。今日食べたミートソースの塩みが、若干多かったかな?と思ってさっ。なんとなくさぁ、うん…全ての料理事態の塩みが多くなってないか、心配しただけだよ。一品食べただけだし分からないけどね」

「はぁ?そんな事はない筈だが………。なら、明日また来てくれないか?」

「えっ?」

「明日来て、また料理をなにか食ってくれよ。数点出すから味を見てくれ」

「……ま、まぁ、別に構わないけど。なら、時間を決めずに来るよ。ただ…」

「なんだ?」

「店に並ぶのはちょっと…空いてる時間て何時頃かな」

 並ぶのは苦手だし、時間も勿体ない気がするし。

「そうだなぁ…それなら昼の休み時間に来てくれないか?料理の材料は取っておくし、料理人達に支度させるから。最近は俺が料理してないんだ」

 人に任せてるとか言ってるが、味見はしてるのかな?

「最終チェックは?」

「それもしてない。全て料理の味を覚えて貰ってるし、メモも渡して作って貰ってるから料理人に任せてる」

 それか!? それで塩辛いのかな?

 元々塩みが強い環境で料理してれば、元からの味に戻るかな…。
 ましてや、パトリックさんがチェックしてないなら尚更か。

「でも、賄いの味なら分かるんじゃないのか?」

 とアルムさん……あっ貴方もいたな。
 忘れてたよ。

「それが…賄いは俺が作ってて…」

 ふぅ~ん、なんか俺のテンションが下がって来たよ。

「パトリックさん……なんのための特許かな…。俺、結構苦労したのに…」

「っ!す、すまん。と、取り敢えず明日もう一度味を見てくれ」

「なら、明日もパトリックさんは厨房入るの禁止ね?それからマルク君も料理に口出し厳禁ね?」

「厳禁?」

「ああ、料理人さんに、口出ししない事って言えば分かるかな?」

「……?」

 これは分かって無い…かな?パトリックさん任せた!

「と、取り敢えずマルク君、分からないならお父さんに聞いてね?じゃ、パトリックさんまた明日」

「お、おう。なら、すまないがアキヒコ君、明日宜しく頼む」

「了解。なら、俺らは今日は帰るよ。アルムさん帰ろう」

「そうか?なら、戻るか…。コソ(おい、お前寝床どうすんだよ)」

「コソ(まっ、なんとかなるよ)じゃパトリックさん、明日の昼にね」

「アキ君帰っちゃうの?」

「マルク君、また明日来るから。お休みねっ?」

「……わかったよ…。じゃ明日ね」

「おう」

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