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新たな町へ
621話 心辺り?んなもんねぇ!
しおりを挟むアルシャが不穏な笑みを浮かべて魔石を手に取る。
そしてなにやら魔石に力を与えてる。
あれ…付与魔法じゃねぇな、魔石に魔力注入だ。
アルシャの手元の魔石が眩しく光り、その光りが収まるとアルシャは魔石を俺に戻してきた。
「暁彦さん、此方を屋敷の屋上に設置してください」
『了解。だけど……置くだけで良いのか?』
「いえ、設置してから改めて暁彦さんの魔力を魔石に少し流して起動させて下さいね」
『…分かった。けど起動したら何が始まる?』
「始まる……これは結界の強化版ですよ。これを暁彦さんの結界の内側に張れば、強硬な結界に成ります」
『ってことは?』
「暁彦さんに害を成す者は入れません。妖精然別!魔物や人間も入れません。魔法攻撃や物理的攻撃も跳ね返します!」
『ほぅ…俺の結界の強化版ねぇ……なら、今居る妖精たちは結界の外に出たら、俺に悪意があれば戻って来れないとか?』
そうか、魔石……魔石だ!何で俺気がつかなかった?
俺……まぬけだ…
「そう……成りますね。ですから妖精も少なくなるはずです。それと申し訳有りませんが、ブルーは除外させて貰いました」
『へ、なんで?』
出来れば出ていって欲しいのだが…
「ブルーはエンシェントドラゴン…あれでも長く生きているドラゴンだ。今は身体も小さくなり我が儘を言ってるが、そのうち落ち着くだろうからな」
落ち着くねぇ…ま、悪さもしないから良いけどな。
ん?そう考えると、妖精たちも悪さはしないか、我が儘言うだけで。
その我が儘が問題なんだがな。
けっ、どっちも一緒か。
『仕方ねぇなぁ~了解したよ。じゃ、それ魔石はアイテムボックスに入れといてな』
「分かりました。それでは私達は……あっ」
『な、なに?』
まだ何かあんのかよ!あっ…まさかまた厄介ごとか?
「一つ忘れてました。暁彦さん貴方」
『な、なんだよ』
「貴方に謝りたいと言って、私に願う者が居るのですが、心辺りはありますか?」
「ねえな!」
心辺りって、そんなもんねえな!
ギルマスは毎日謝り倒して来るし、領主からも詫びの手紙は毎日届くがそれ以外なら心辺りなどは全くねえ!
「そ、そうですか(そ、即答ですか。これは……ま、祈る者の自業自得なので放って置いても良いのですが…ねっ。さてどうしましょうか)」
「アルシャ、暁彦がこう言ってんな放って置けば良い。我らは暁彦の味方だからな」
『味方って、神的に贔屓はまずいんじゃないの?』
「ふふ、そうですよ。神は皆に平等です」
にこりと笑って当たり前にそんなことを言ってるが……不平等でもあるだろ?
ま、良いけどな。
『アルシャ、心辺りはないから。俺に謝るなら飯でも食って寝ろと伝えてくれよ。じゃ、俺は元に戻るし』
「そう…ですね。それではまた」
「おう、またな!」
そうして俺は意識が戻ると社から離れた。
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