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新たな町へ
669話 ヤザンさん再び
しおりを挟む「おいおい、なんだよ……カリーナ!いてぇって、腕を離せって!」
奥から訊き覚えのある声がして、誰かに怒ってるのが聞こえる。
で、その声が段々こっちの方へ向かってるのが分かった。
あ、俺の事を言ってるんだなと。
なんかあの受けのお姉さん、気が強そうだ。
そんな事をボンヤリ考えて、倉庫で待つてると倉庫の奥から騒がしい声がしてきたぞ。どうやらあの受付のお姉さんが人を連れて戻ってきたっぽいな。
「いいから早く来てください! 昨日の人が、また飛んでもない物を持って来ちゃったんですよ!」
あの人カリーナさんて言うんだね、騒がしい人だよなぁ~。
あの人どうも苦手だ。
つかさ、俺の事を言ってるの丸聞こえなんだけど!
なんだよ、またってさ。
それに、飛んでもないってなんだよ。
俺は冒険者だぞ!
「飛んでもないって、お前そりゃ~お前さ、持ち込んだっう人に失礼だろがよ」
「それはそうなんですけど。あっ!すみません。ホホホ」
なんか、ここの人ってこんなの多くない?
前もこんな感じだったよな。
「いえ。別に」
そう答えると、俺の顔を見たヤザンさんから声を掛けてきた。
「お、あんたか。なんだよ、またなんか持ち込んだのか?」
受付のカリーナさんに腕を掴まれ引っ張られてやって来たヤザンさんは、俺の顔を見るなり目を光らせたよたの人。
「はは、どうも、昨日のぶりですね」
「昨日のはどうもな。持ち込んだ魔物の金は受け取ったのかい?」
「ええ、先ほどそちらの女性から、渡して貰いましたよ」
「で、今度はなに持ち込んだんだよ。なんでコイツが慌ててるんだ?」
「えっと、仲間が退治したグランドムーンベアの残骸と、言ったからでしょうかね? アハハ」
「グ、グランドムーンベアの残骸?」
「ええ、仲間が退治したんですけど、素材を考えずズタズタにしたものだから、なんかくまさんがボロボロなんですよねぇ~」
「はは、くまさんって。取り敢えず状態が見たいから、ここに出してくれよ」
「分かりました。ならこれです」
床に氷魔法で薄い板を作って出し、その上にドンとくまの死骸を出した。
「おい兄さん、今なにした?」
「えっ? 死骸がこれ以上痛まないように、氷の板を出したんですが駄目でした?」
「はぁ? 魔物の死骸の下に、氷の板を引いたってか? 兄ちゃん、氷の魔法が使えんのかよ」
「ま、まぁそうですね」
「そりゃ~便利な魔法が使えて羨ましい。っと、余計な話はここまでか。で、これがボロボロボロの、くまさんね。はは、これは言えてるなぁ~。確かにボロボロだわ」
「でしょ~、奴ら加減をしろって言ったんだけど」
「兄ちゃん、これ何人でこれを倒した?」
「えっと、二人ですね」
「二人でか?」
「そうですね」
「なら、こんなもんだろ」
「へ?」
「二人でこんなもんなら上等だぞ、このくまさん討伐するなら、冒険者がそうだなぁ~、B級の冒険者が三人以上で倒せれば、ラッキーってとこだな。それもでも、討伐した冒険は怪我してボロボロだろうけどな。それに、このくまさんはでかいからな、これを倒せてもこのまはまでは持ち帰れないだろ? だから、ぶつ切りで持ち込まれるのが普通だ」
ぶつ切りって怖~~。
スプラったじゃんか。
アイツら後で褒めて遣らないとな。
「そうでしたか。で、これを買い取って貰えますか?」
「そうだなぁ~ま、ぶつ切りで持ち込まれてる訳ではないし、時間もそう経ってる訳でも無いからな。良い値で買い取れると思うぞ。おい、カリーナ!」
「は、はい」
「お前、ギルマス呼んでこい」
「分かりました」
「へっ? なんでギルマスを呼ぶのですか?」
「一応、ギルマスには報告つう決まりなんだよ。こっちで、勝手に売り買いは出来ねぇからな」
「そうなんですね」
「おうよ、面倒なもんだ。じゃ、お前さんは、表のカウンターの前で待っててくれよ。ギルマスには言っておくから」
「分かりました。では、よろしくお願いしますよ」
俺はヤザンさんに、ペコリと頭を下げると表のカウンターまで戻った。
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