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第4章 ここから始まる勇者様?

三十八日目① 呪いのその後

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 朝起きたらやはりだるさが抜けていない。
 この呪いはいつになったら解けるのやら。
 その辺は魔導ギルドと薬師ギルドに頼るしかないのかな?
 呪いといえば教会なんだろうけど……
 原因はおそらく……
 むりなんだろうなぁ~

 それでも動けはするので、一階に降りて朝食にすることにした。
 リビングでは皆がすでに起きていて、朝の挨拶をかわすと、しきりに心配をされてしまった。
 俺がいくら大丈夫と言っても信じてくれないのだ。
 まぁ、心配してくれてるんだからありがたいよ。

 朝食の後、今日の予定を確認した。

 昨日夜に納品分のインゴットは作り終わっているので、今日からはまた【新緑のダンジョン】に潜ることになる。

 最初に冒険者ギルドで納品を行い、昨日の清算もしておく。
 結構な素材が溜まってるはずだから。
 デイジーに頼んで収納箱(簡易)にまとめてもらって方が良さげだな。

 その後は、【新緑のダンジョン】の依頼を受けてからガンテツさんのところに装備を見せに行く。

 で、そのまま【新緑のダンジョン】へ。

 出来れば第5層まで行きたいところだけど、そうも言ってられないかもしれないな。

 その辺をエルダ達に確認すると、おそらく泊りがけになるだろうとのことだった。
 そのためにも野営関連の装備を準備しないといけないとのことだ。
 今回はおそらく第3層がいいところだろうとのことだった。

 明日は休息日に当てる予定だったので、みんなで野営関連装備を買いに行くことにした。



 朝の身支度を終えて冒険者ギルドへやってきた俺たちは、キャサリンさんに呼び止められた。

「おはようみんな。少し話が有るのだけどいいかしら。」

 俺がみんなの顔を見回すと、頷いてくれた。

「構いませんよ。酒場の方でも良いですか?」
「少し外に漏らせない話もあるから、会議室に来てもらえるかしら。」
「わかりました。」

 俺たちはキャサリンさんの後について、会議室まで移動した。
 そういえば、何気に会議室なんて使ったことなかった気がするな。
 少し歩くと、【小会議室】という看板がぶら下がっていた。
 おそらく職員たちの打ち合わせとかで使っているんだろうな。

 中に入ると、大き目の長机が一つと、椅子が対面に10脚ほど並んでいた。
 俺たちは手前側の椅子をすすめられて、席に着いた。
 キャサリンさんは対面の椅子に腰を下ろし、手に持っていた資料を見ながら話し始めた。

「まずどこから話したらいいかしら……。そうね、呪いについてだけど、解呪とかは必要無いことが分かったわ。」
「と言いますと?」

 俺はいまいち状況が呑み込めなかった。
 解呪しないでどうするんだろうか?

「まあ、簡単に言うと、本気で嫌がらせレベルの呪いだったってことね。あと1日も経てば呪いは消えるそうよ。」

 ん?まてよ。キャサリンさんの話しぶりが、かけた本人から聞き出したような感じがする。

「あの、犯人が捕まったということでしょうか?」

 ポールが疑問に思ったようで、素直にキャサリンさんに質問した。

「そうね、犯人は確保されたわ。あなた達もあったことがあるはずよ。」
「ということは【勇者モドキ】の関係者ですか?」

 捕まったではなくて『確保された』か……
 どっか引っ掛かる話しぶりだな。

「そうねその関係者よ。共に歩いていた従者を覚えているかしら。彼女が今回の犯人よ。【勇者様】の命令には絶対服従。それが彼女に与えられた奴隷紋章よ。」
「つまり強制的に使わされたってところですね……」

 予想よりもひどい事態に俺は次の言葉が出なかった。

「何それ許せない!!」
「ひどい……」

 デイジーやエルダも同じく憤りを感じていたようだ。
 しかし、一番の怒りを顕わにしていたのはポールだった。

「キャサリンさん……。これからその子はどうなりますか?」
「そうね、今のところ魔導士団預かりってことで個室に軟禁中よ。スキル・魔法阻害の魔道具をはめてだけどね。」

 それを聞いたポールは少し安堵の表情を浮かべていた。
 おや?

「そうなると、【勇者モドキ】が恥をかいた腹いせに従者に命じて呪いを振り撒かせたってことですか?」
「そうなるわね。ただ、その子もかなり強かだったわよ。【勇者様】が無能であることを逆手にとって、呪いに【隠匿】をかけて、遅効性の死の呪いだって言ってあったそうよ。呪い自体はただ疲れが出るだけで数日後には消えて無くなるものなのにね。おそらく、私たちが呪いを解くのを見越してそうしたんだと思うわ。」

 その子もなかなか度胸が据わってるな。
 下手をしてそれが【勇者モドキ】にばれたら、ただじゃすまなかったろうに。
 俺はなんだかその子に好印象を持っていた。

「じゃあ、【勇者モドキ】はどうなりましたか?」
「彼らは彼女にすべての罪を着せて、切り捨てたわ。トカゲのしっぽ切ね。おかげで彼女を彼らから引きはがせたって、国王陛下が喜んでいたわ。おそらくそれほどの使い手ですもの、スカウトするつもりね。」

 ははは。一歩間違えば国家転覆だってあり得たのに、シュミット陛下は豪胆すぎやしませんか?

 ということで、俺は今しばらく疲労に悩まされることになった。
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