勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第7章 ここから始まる雁字搦め

五十六日目⑫ 極寒の地が出来上がりそうです……

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「さすがに疲れた……」

 それが俺の感想だった。
 声に出す気はなかったが、疲れすぎていたのかつい漏れてしまったようだ。
 レティシアも同感だったようで、激しく頷いていた。

「なかなか面白い事になりましたな。」

 そうにこやかに笑いながら話を振ってきたのはナンディーだ。
 廃教に追い込まれる心配がなくなったので、心なしか上機嫌に見えた。

「勘弁してくれ。これ以上の厄介事はもういらないから……」

 ナンディー問いに俺はそう答えるのが精いっぱいだった。
 心の底からそう思っていた。

 帰りは裏門ではなく正門からとなったので、ゆっくりと王城を移動していた。
 と言っても王族などが使う通路ではなく、貴族や商人その他の来訪者向けの通路だ。
 俺たちがだらだらと歩いていると、貴族たちから怪訝そうな顔をされてしまう。
 まあ、服装が服装だけにそうだよなって思ってしまう。

 しばらく歩きエントランスまで来た俺たちを呼び止める声が聞こえた。
 ヘティ殿下だ。
 その態度は【森のアナグマ亭】に来た時とは違い、年相応に見えた。
 なんだかんだ言って十五歳の少女なんだよな。
 腹黒いけど……

「あ、あのカイト様!!その、おとうs……陛下の言っていた事ですが……」
「あぁ、あの件ですか。あれは陛下の俺に対する冗談でしょうから真に受けてませんよ。ご心配なさらずに。」

 俺はさすがに王族と婚姻を結ぶなんてあり得るわけないと考えていた。
 だって俺は一市民だぞ?そんな俺に話が来るわけないだろうと。

「カイト様……。カイト様さえよければ……このお話を進めていただけませんでしょか?」

 いやいやいやいや
 ないないないない
 ほんと親子そろって俺をからかって楽しいのか!?

 殿下は俯いたままだったんでその表情が読み取れなかった。
 しかし、冗談にもほどがある。
 さすがに俺も腹に据えかねるものがある。

「ヘンリエッテ殿下。さすがにお戯れが過ぎますよ。俺は一小市民で冒険者です。ヘンリエッテ殿下から声をかけられることすらあり得ない立場です。ですので冗談はこれっきりにしてください。」

 俺がそう言って頭を下げると、ヘティ殿下は「戯れが過ぎました」と言いスカートをつまみ礼をしてその場を後にした。
 その背中にはなぜか悲しそうな雰囲気が漂っていた。
 それにしてもどこまで本気か全く読めないな。

 さて、今後どうなるんだかな……

 俺たちは何とも言えない空気のまま【森のアナグマ亭】に戻るのだった。


 
 【森のアナグマ亭】では今日起こった出来事についての報告会を行っていた。
 エルダ達は、久々に幼馴染三人で買い物やら何やらを行ってくれていた。
 キキョウは遠慮したらしく、ワカタケと一緒に【森のアナグマ亭】の掃除やら何やらをやっていたらしい。
 訪問者もおらずワカタケはハバナの教育が進んだとほくほく顔だった。
 そのハバナは死にそうにげんなりしていたのが何とも言えなかった。
 その後もなんだかんだと【森のアナグマ亭】周辺の出来事を話してくれた。
 ただその中でも、サクラとギンスズが持ってきた情報がきな臭さを感じさせた。

 トリスタン第二王女の行方が分からなくなったという事だ。
 それを聞いたアリサは顔色を悪くし、「お姉さま……」とだけ呟いていた。
 トリスタンは確か政争で大分ごたついていたはずだ。
 第一王子がかなり後ろ暗い事をやっている印象はアリサから聞いていたが……
 第二王女に手を伸ばした……とは考えすぎかな?
 取り敢えず無事を祈るしかないんだけどな。
 どうも20日以上前にその姿を消してしまったらしい。
 アリサと言い第二王女と言い、本当に貴族って怖いなって思ってしまった。

 アリサの事はポールが介抱していた。
 ポールに膝枕をしてもらって少しご満悦に見えたが気にしてはいけない。
 デイジーが少しすねた感じがあるが気にしてはいけない。

 それと正教国についても話が出てきた。
 ナンディーが教えてくれた通り、前教皇は年齢が100を超えており、老衰で亡くなったそうだ。
 故人を悪く言うつもりはないが、その置き土産の【勇者モドキ】をどうにかしてほしかったものだ。
 その後釜争いが激化しており、もともとの主流派である前教皇派と、【認定勇者】の取り下げと周囲との融和を考えている【穏健派】でかなり揉めているそうだ。
 それぞれが多数派工作で金をかなり使っており、お布施と称した資金調達で正教国がかなり危うくなってるらしい。
 それを聞いたナンディーは「なんと嘆かわしい。宗教とは人々の拠り所で在り、上に立つものではないのですが……」と言っていた。
 それもこれもナンディーは【職業:教祖】になったおかげでいろいろ分かった事が有ったそうだ。

 最後にレティシア教についても話が上がった。
 さっき話した正教国の事もあり、大々的には活動は難しいが止はしないというスタンスである事は言質をもらった。
 ナンディーはそれだけで十分だと思っているらしい。
 レティシアは心ここにあらずって感じだったけど。

 これで今日の報告は終わりと俺が話を打ち切ろうとしたとき、ナンディーがふとヘティ殿下について話題を出してきた。
 俺がせっかく話をしないで終わらせようとしたのに!!

 ナンディーが事細かにヘティ殿下の婚姻の事を伝えると、殿下も大変だなって感想になったようだ。
 最後に陛下からの爆弾発言があり、帰り際のヘティ殿下の態度も伝えられると、部屋の温度が20度くらいは一気に下がった気がしてしまった。
 エルダさんや、俺は断ったからね?
 ね!!

 とまあ、こんな感じで一日が過ぎたのだった。
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