勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第7章 ここから始まる雁字搦め

五十八日目① 一日の始まり

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 あれから話し合いは続き、結局帰ってきたのは夕食の時間を過ぎたあたりだった。
 【森のアナグマ亭】の食堂には食事を終えてゆったりと過ごす客が残っていた。

 予定を切り上げて帰ってきたこともあり、ダニエルさんたちには驚かれてしまった。
 理由を説明しようにも口止めされているから、嘘をつくはめになってしまった。
 正直リリーちゃんにウソをつくのは心苦しく思えた。
 俺たちが話したことを目を輝かせて聞いてくるんだから。

 それからダニエルさんに無理を言って食事を用意してもらった。
 もちろん小人たちも残っていたから、いろいろ手伝ってくれていたようだった。

 俺たちはポールの部屋に戻ると、小人たちとレティシアに事の顛末を説明して聞かせた。
 レティシアは少し驚いた様子を見せたけど、小人たち……特にサクラとギンスズは驚いていないようだった。

「やはりそうなりましたねぇ~」
「じゃのう。」

 何やら情報をつかんでいたのか、軽いため息をついていた。
 だったら最初に教えてほしいものだよ全く。

「まだ確度の低い情報であったからの、御屋形様に伝えられるほどのものではなかったのじゃ。すまなんだ。」

 ギンスズはそう言って頭を下げた。
 ただ、ギンスズのせいってわけじゃないから、頭を下げられても困るわけで。
 なんとなくエルダやデイジーたち女性陣から〝ご老体をいじめるってどういうこと?〟みたいな空気が流れてきた。
 え?俺悪者⁈

 それからギンスズたちが集めた情報を基に整理したところ、おおよそギルドで話した内容でまとまりそうだった。
 でも一つ疑問が残る。
 なんで今のタイミングなんだ?
 【トリスタン王国】って今跡目争いで忙しい状況だろうに。
 この国にかまっている暇なんてないんじゃないのか?
 むしろ自国を立て直すのに集中した方が良いんじゃないの?
 って思うのは素人考えなんかね。

 とまあ、こんな感じであらかた情報共有した俺たちは、そのまま床に就いたのだった。

  
 そして現在に至る……
 どうしてこうなった……

 なんでエルダが俺のベッドにいるの⁈
 つか、なんで一緒に寝たんだ⁈

 落ち着け俺!!

 思い出せ!!
 昨日何があった⁈

「ん……んん。おはようカイト……」
「あ、ああ。」

 だめだ!!
 思い出せない!!
 これはヤバい!!
 【トリスタン王国】なんてどうでもいいくらいヤバいぞ⁈
 
 昨日の夜、確かポールの部屋で打ち合わせを終えて、俺たちは一度食堂に戻った。
 で、なんでか分からないけどダニエルさんが手に入れた酒を持ち出した。

 うん、ここまでは覚えている。

 その後、レティシアやエルダ、キキョウたちが何かつまみになるモノって言っていろいろ作ってくれて、結局泊まっていた冒険者たちも巻き込んでの飲み会になってしまった。

 いや、料理とかうまかったからそれについては文句はないよ?
 レティシアもキキョウも、ダニエルさんに教えてもらっているだけあって、腕がかなり上がっていた。
 
 その後確か……そうだギンスズがなんか秘蔵の酒だって言って一本の酒を持ってきたんだ……
 で、その後……

 って、覚えてない……
 その後の記憶が全くない!!

 つまり俺はそこで酔いつぶれたってことか!?

 そんな俺がパニくっている横で、エルダがもぞもぞと起き出した。
 かけてた布団を手繰り寄せて起きたエルダの格好に、俺はさらに慌てることになった。

 どっからどう見ても裸だよね⁈

 布団から出ている肩口や腕に下着や服の痕跡はない。
 ちらりと見えた太もも付近にも服のようなものは無かった。
 つまり……
 いやダメだ。
 考えるな!!

「どうしたのカイト?」

 なんでエルダさんそんなに冷静なんですか⁈
 慌ててるの俺だけなの⁈

「いや、その、えっと……そう!!服!!服着ようよ!!」
「え?あ、あぁぁぁっぁぁ!!」

 エルダもやっと状況が飲み込めたのか、顔を赤らめて布団にもぐりこんでしまった。

 いやだからそうじゃなくて!!
 もういいや俺が出ればいいだけの話だ!!

 俺は慌ててベッドの脇に置いてあった服を羽織る。
 ボタンを締めようとしたんだけど、なかなかうまく入らない。
 どんだけ慌ててるんだよ俺!!

 そんな俺の理性をぶち壊そうとする悪魔が、布団から手を伸ばしてくる。

「えっと、お、おはようカイト……」

 布団から伸びた手は、俺のシャツの裾をついっと引っ張る。
 そのおかげで、俺はバランスを崩し、またベッドへダイブすることになった。
 そこに居るはもちろんエルダ。

 これば事故だ!!

「ごめんエルダ……その、お、俺……覚えて無くて……」

 俺が慌てていると、何やらクスクスと笑い声が聞こえてきた。
 それも布団の中から。

「エルダさん?」

 俺は恐る恐る布団をめくってみた。

 やられた!!

「おはようカイト。よく眠れた?」

 そこには肩出しの服を着たエルダの姿があった。
 なんつう演技力ですか全く!!
 俺のドキドキを返せ!!

「びっくりさせるなよ……」

 俺が呆れ顔でそう言うと、エルダもごめんなさいと舌を軽く出して誤ってきた。
 うん、可愛いから許す!!

「でもカイトが悪いのよ?ギンスズが持ってきたお酒飲んですぐにつぶれちゃって、仕方ないから部屋まで運んだら、そのまま抱き着かれたんだから。」

 え?マジで⁈

「さすがにからかうにも限度が……」
「嘘じゃないよ?」

 今度は本気で顔を赤らめてそっぽを向いてしまったエルダ。
 本当にごめんなさい。

 と、そんなこんなで俺の一日が始まったのだった。
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