オガミ部の活動日誌

七海 司

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変わった男

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「本当に誰でも良かったの?」
 嘘だと感じた。
「そうよ。悪い?」
 手首が切れた痛みで凪さんの顔が歪む。
「本当に優しくしたかったのは、誰?」
「踏み込んでこないでよ!」
「踏み込まなければ、君を救えない。紗奈と同じで寂しかったんでしょ。痛かったんでしょ」
 凪さんを救おうなど、ただの見栄だ。二度と誰かの寂しさを見過ごすなんてごめんだ。
「なんで、何で役立たずの私に優しくするのよ! 役立たずは優しくされちゃいけないの」
「優しくするのに有能無能は関係ないよ」
「ずるいわよ。そんな言葉」
 凪さんは唇をギュッと噛み俯いている。
「寂しかったんだね。私も放置されて寂しかった」
 最後の言葉は俺を真正面から射抜き、力強く言い切った。
「ごめん。次は全力で構うから」
「そうしてね」
「ちょっと! この流れでいちゃつくのやめてもらえる? 話の中心は私でしょ?」
 紗奈に怒られる俺を見て、凪さんの毒気が抜けた気がした。
 パチン。と扇子を鳴らして尾上が場を取り仕切る。
「夜が来る前に呪いを返してしまいたいのだが、よいかね」
「もう、いいわ。この二人グダグダを見ていたらどうでも良くなったわ」
「二色の呪い。返上しよう」
 柏手からの破裂音が一つ。
 誰かの寂しさに気づかなかった昨日までの俺も呪いと共に消え去り、辺りには柏手の残響だけが残っていた。
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