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第23話 作戦会議中に驚かせてしまう
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俺たちはナナが去った後、リリーザにクルザ王国での出来事を伝えに行くためにアシスヘイム城に行くとリリーザは会議に出ていた。
丁度いいので、俺たちもその一室に入る。
俺がドアを開けると、見ない顔の二人ががリリーザを中心に座っていた。
「ジークではないか! どうしたのだ?」
「クルザで起こっていることを伝えたくてな」
俺がそう言うと、リリーザは大きく頷く。
「なら、丁度いい。今まさにそのことを考えていたのだ。みな、挨拶を」
リリーザがそう言うと、リリーザに一番近い位置に座っていた男が話し出す。
「ジーク大元帥。聖女様。私は魔法部隊元帥。アロイス・バーテルス。戦闘でのことなら、何なりと」
アロイスはそう言うと、敬礼している。
俺は畏まった帝国流の態度に若干引きつつも、仕様がないと考えていた。
以前の帝国は戦闘国家で、四方八方の国々に喧嘩を売っていた。
多分、この階級も話し方もその名残だろう。
「ああ、よろしく」
俺がそう言うとアロイスの反対側にいた男が話し出す。
「大元帥! 聖女様。私は技術部隊所属、ヨセフ・ハルフォーフ元帥であります」
ヨセフはそう言うと、敬礼しながら俺を睨んでいる。
なんでだろうか......
「ああ、よろしく。技術部隊と言うのは初めて聞くな」
「技術部隊は魔法の力を借りずに戦えるようにする、実験的な部隊だ! 祖父の時代から研究が進んで、今まさに実現しようとしている」
リリーザはない胸を張って「ふふん」と言っていた。
その姿を見て、緊張が解ける。
リリーザは本当に可愛い。妹にしたいと本気で思える。
「具体的にはどういう兵器があるんだ?」
「それは見てみないと分かりませんね、ジーク大元帥。ですが、安心してください。魔法などなくても、技術部隊の力は加速度的に増大しており、いずれは魔法さえなくても戦えるようになります」
ヨセフは眼鏡をくいっと上げるとやはり俺を睨んでいた。
どうやら、ヨセフは魔法使いである俺たちのことが嫌いのようだ。
『魔法さえ』が強調されている。
これは厄介そうだ。ラザルのような男じゃなければいいのだが。
「まぁ、いい。リリーザ、本題に入ろう」
リリーザは頷くとツインテールを揺らす。
「防衛の話! 帝国の東ではガリアが漁夫の利を狙おうと、常に情報をかき集めている。北も未知数。少なくともガザド共和国が南進しそうな雰囲気だ。それに、クルザ。あの国は昔から、国内のガス抜きに我が帝国を襲う傾向がある。だから、内政よりも防衛を考えなくてはならないのだ!」
リリーザは幼い容姿をしているが、頭の回転は超人的だ。
俺はリリーザの幼い容姿から発せられるその言葉に感心して、「おお」と声を出していた。
するとアロイスは笑う。
「リリーザ様はお若いというのに、すごいでしょう。ジーク大元帥。民衆からも名君と崇められています」
「なっ! アロイス! 今はそんな話をどうでもいいぞ!」
リリーザは顔を赤くして照れていた。
そんな光景に俺はティアと目が合い、微笑む。
まるで会議中とは思えない和やかさだ。リリーザのおかげで。
「それでジーク。話とはなんだ?」
「クルザのことだ」
俺はクルザの現状を話す。
すると、ヨセフは立ち上がり俺たちを睨んでいた。
「ジーク大元帥。それに聖女様。民衆を救いたいのは分かります。ですが、クルザと我が帝国は大国同士。戦争などできませんぞ! ガス抜きとは違うのです!」
俺はヨセフのその言葉の意味を理解していた。
まともに戦争を行えば、確実に被害はもっと大きくなる。
ヨセフはそう言うことを言いたいのだろう。
ヨセフの第一印象は目つきが悪く、攻撃的でラザルのような男だと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
ヨセフは国のことをちゃんと考えている。ヨセフ、すまない。
「ヨセフ元帥の言う通りですな。大元帥、助けることなど不可能かと」
アロイス申し訳なさそうな顔をしながら被せるように言う。
「ジーク。ティア殿。申し訳ない! ヨセフ達の言う通りだ。帝国民を犠牲にはできないのだ」
最後に、「うーん。うーん」と唸っていたリリーザはそう言うと頭を下げていた。
俺はクルザを何とかするための作戦を考えてはいたのだが、リリーザの様子を見る限りやはり駄目なようだ。
だが、諦めたくはない。
俺はどうにかして解決しようと考えていると、ティアが口を開いていた。
「お願いです。どうかもう少しだけ考えてはいただけないでしょうか」
ティアは頭を下げる。
「聖女殿。クルザで一体何が起こっているか分からずに動くわけにはいかないのだ。それに、北も警戒しなくてはならない。以前とは違って戦力も半減なのだ......」
リリーザは再び申し訳なさそうにそう言う。
リリーザの言う通りで、俺たちはナナの雰囲気からクルザの民衆が酷い状態に置かれているという事しか分からない。
実際に何がクルザで起こっているか分からない。
俺やティアはナナを信じているから信じるが、一国の長であるリリーザは簡単に頷けないのだろうな。
だが、ティアのお願いのおかげで、チャンスが生まれた。流石は、ティアだ。
「リリーザ。北の脅威を解決し、クルザで起こっていることを確かめればいいのか?」
俺がそう言うとリリーザは頷く。
「うむ。私もジークのことを信じたいが、流石にこの話は個人の感情で決められないからな! でも、それらを解決できるなら話は別なのだ!」
リリーザがそう言うとヨセフは再び立ち上がる。
「魔法は敵の武器です。そう簡単に判断できる問題ではないのす、リリーザ様。それに、いくらジーク大元帥でも無理でしょう」
「いや、できる」
すまないな、ヨセフ。
俺は杖をとりだし、氷を作り出す。
「ジーク?」
ぽかんと見つめてるリリーザに対して、俺は大丈夫だと頷き、氷で様々な召喚獣の模型を作り出す。
すると、リリーザたちからは歓声が上がる。
「きれいなのだ......」「これが魔法の力ですか」「私のデータにはないぞ!」
「これはジークだからできるのです。魔法使いである私もこのようなことは出来ません」
ティアはそう言うが、慣れれば簡単にできるぞ。
と言いたいが、話が脱線するから俺は話を元に戻す。
「たしか、北には砦が一つしかないはずだな」
俺が言うとリリーザたちは頷く。
「今まで北からの侵攻は滅多にありませんでした故」
そう言うのはアロイス。
「北へと繋がる5本の道に砦を作りだし俺の魔法を展開する、平野部にも同じく俺の魔法を展開する」
俺は氷で砦を作り出し、地図上の5本の道に置く。さらに、数体の氷でできた召喚獣の模型を砦に配置する。
「この召喚獣一体につき、現実では30だと考えてくれ。さらに、魔法トラップも各エリアに設置する」
「アシスヘイム広場に現れたあの巨大なタイタンみたいなものをか?」
リリーザがそう言うので俺は頷く。
「そうだ。それを30体。平野には200体配置する」
「ひ、一人それだけの数を?」
アロイスは驚いていた。
無理もない。それだけの数を作り出せる人はこの世に何人いるのか。
そして、俺もできるか半信半疑だが、やるしかない。
おそらく魔力をすべて使い尽くしてしまうが。
「ああ、そうだ。一人でだ」
「ジーク大元帥! 流石に無理なのでは! 私の研究によると魔法にそれほどの力はない!」
ヨセフは眼鏡をくいっと上げる。
「ならば、ヨセフ。証人になってくれないか」
「し、しかし......」
「私からもお願いします」
ティアは頭を下げる。
「ですが、魔法に頼るのは......」
「決まりだな! ヨセフ。任せたぞ! 技術部隊のことは私に任せろ!」
リリーザはニッコリとそう言うとヨセフは嫌そうに頷く。
「リ、リリーザ様がそう仰るのなら......」
こうして、これ達はヨセフと共に北部へと向かうことになった。
丁度いいので、俺たちもその一室に入る。
俺がドアを開けると、見ない顔の二人ががリリーザを中心に座っていた。
「ジークではないか! どうしたのだ?」
「クルザで起こっていることを伝えたくてな」
俺がそう言うと、リリーザは大きく頷く。
「なら、丁度いい。今まさにそのことを考えていたのだ。みな、挨拶を」
リリーザがそう言うと、リリーザに一番近い位置に座っていた男が話し出す。
「ジーク大元帥。聖女様。私は魔法部隊元帥。アロイス・バーテルス。戦闘でのことなら、何なりと」
アロイスはそう言うと、敬礼している。
俺は畏まった帝国流の態度に若干引きつつも、仕様がないと考えていた。
以前の帝国は戦闘国家で、四方八方の国々に喧嘩を売っていた。
多分、この階級も話し方もその名残だろう。
「ああ、よろしく」
俺がそう言うとアロイスの反対側にいた男が話し出す。
「大元帥! 聖女様。私は技術部隊所属、ヨセフ・ハルフォーフ元帥であります」
ヨセフはそう言うと、敬礼しながら俺を睨んでいる。
なんでだろうか......
「ああ、よろしく。技術部隊と言うのは初めて聞くな」
「技術部隊は魔法の力を借りずに戦えるようにする、実験的な部隊だ! 祖父の時代から研究が進んで、今まさに実現しようとしている」
リリーザはない胸を張って「ふふん」と言っていた。
その姿を見て、緊張が解ける。
リリーザは本当に可愛い。妹にしたいと本気で思える。
「具体的にはどういう兵器があるんだ?」
「それは見てみないと分かりませんね、ジーク大元帥。ですが、安心してください。魔法などなくても、技術部隊の力は加速度的に増大しており、いずれは魔法さえなくても戦えるようになります」
ヨセフは眼鏡をくいっと上げるとやはり俺を睨んでいた。
どうやら、ヨセフは魔法使いである俺たちのことが嫌いのようだ。
『魔法さえ』が強調されている。
これは厄介そうだ。ラザルのような男じゃなければいいのだが。
「まぁ、いい。リリーザ、本題に入ろう」
リリーザは頷くとツインテールを揺らす。
「防衛の話! 帝国の東ではガリアが漁夫の利を狙おうと、常に情報をかき集めている。北も未知数。少なくともガザド共和国が南進しそうな雰囲気だ。それに、クルザ。あの国は昔から、国内のガス抜きに我が帝国を襲う傾向がある。だから、内政よりも防衛を考えなくてはならないのだ!」
リリーザは幼い容姿をしているが、頭の回転は超人的だ。
俺はリリーザの幼い容姿から発せられるその言葉に感心して、「おお」と声を出していた。
するとアロイスは笑う。
「リリーザ様はお若いというのに、すごいでしょう。ジーク大元帥。民衆からも名君と崇められています」
「なっ! アロイス! 今はそんな話をどうでもいいぞ!」
リリーザは顔を赤くして照れていた。
そんな光景に俺はティアと目が合い、微笑む。
まるで会議中とは思えない和やかさだ。リリーザのおかげで。
「それでジーク。話とはなんだ?」
「クルザのことだ」
俺はクルザの現状を話す。
すると、ヨセフは立ち上がり俺たちを睨んでいた。
「ジーク大元帥。それに聖女様。民衆を救いたいのは分かります。ですが、クルザと我が帝国は大国同士。戦争などできませんぞ! ガス抜きとは違うのです!」
俺はヨセフのその言葉の意味を理解していた。
まともに戦争を行えば、確実に被害はもっと大きくなる。
ヨセフはそう言うことを言いたいのだろう。
ヨセフの第一印象は目つきが悪く、攻撃的でラザルのような男だと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
ヨセフは国のことをちゃんと考えている。ヨセフ、すまない。
「ヨセフ元帥の言う通りですな。大元帥、助けることなど不可能かと」
アロイス申し訳なさそうな顔をしながら被せるように言う。
「ジーク。ティア殿。申し訳ない! ヨセフ達の言う通りだ。帝国民を犠牲にはできないのだ」
最後に、「うーん。うーん」と唸っていたリリーザはそう言うと頭を下げていた。
俺はクルザを何とかするための作戦を考えてはいたのだが、リリーザの様子を見る限りやはり駄目なようだ。
だが、諦めたくはない。
俺はどうにかして解決しようと考えていると、ティアが口を開いていた。
「お願いです。どうかもう少しだけ考えてはいただけないでしょうか」
ティアは頭を下げる。
「聖女殿。クルザで一体何が起こっているか分からずに動くわけにはいかないのだ。それに、北も警戒しなくてはならない。以前とは違って戦力も半減なのだ......」
リリーザは再び申し訳なさそうにそう言う。
リリーザの言う通りで、俺たちはナナの雰囲気からクルザの民衆が酷い状態に置かれているという事しか分からない。
実際に何がクルザで起こっているか分からない。
俺やティアはナナを信じているから信じるが、一国の長であるリリーザは簡単に頷けないのだろうな。
だが、ティアのお願いのおかげで、チャンスが生まれた。流石は、ティアだ。
「リリーザ。北の脅威を解決し、クルザで起こっていることを確かめればいいのか?」
俺がそう言うとリリーザは頷く。
「うむ。私もジークのことを信じたいが、流石にこの話は個人の感情で決められないからな! でも、それらを解決できるなら話は別なのだ!」
リリーザがそう言うとヨセフは再び立ち上がる。
「魔法は敵の武器です。そう簡単に判断できる問題ではないのす、リリーザ様。それに、いくらジーク大元帥でも無理でしょう」
「いや、できる」
すまないな、ヨセフ。
俺は杖をとりだし、氷を作り出す。
「ジーク?」
ぽかんと見つめてるリリーザに対して、俺は大丈夫だと頷き、氷で様々な召喚獣の模型を作り出す。
すると、リリーザたちからは歓声が上がる。
「きれいなのだ......」「これが魔法の力ですか」「私のデータにはないぞ!」
「これはジークだからできるのです。魔法使いである私もこのようなことは出来ません」
ティアはそう言うが、慣れれば簡単にできるぞ。
と言いたいが、話が脱線するから俺は話を元に戻す。
「たしか、北には砦が一つしかないはずだな」
俺が言うとリリーザたちは頷く。
「今まで北からの侵攻は滅多にありませんでした故」
そう言うのはアロイス。
「北へと繋がる5本の道に砦を作りだし俺の魔法を展開する、平野部にも同じく俺の魔法を展開する」
俺は氷で砦を作り出し、地図上の5本の道に置く。さらに、数体の氷でできた召喚獣の模型を砦に配置する。
「この召喚獣一体につき、現実では30だと考えてくれ。さらに、魔法トラップも各エリアに設置する」
「アシスヘイム広場に現れたあの巨大なタイタンみたいなものをか?」
リリーザがそう言うので俺は頷く。
「そうだ。それを30体。平野には200体配置する」
「ひ、一人それだけの数を?」
アロイスは驚いていた。
無理もない。それだけの数を作り出せる人はこの世に何人いるのか。
そして、俺もできるか半信半疑だが、やるしかない。
おそらく魔力をすべて使い尽くしてしまうが。
「ああ、そうだ。一人でだ」
「ジーク大元帥! 流石に無理なのでは! 私の研究によると魔法にそれほどの力はない!」
ヨセフは眼鏡をくいっと上げる。
「ならば、ヨセフ。証人になってくれないか」
「し、しかし......」
「私からもお願いします」
ティアは頭を下げる。
「ですが、魔法に頼るのは......」
「決まりだな! ヨセフ。任せたぞ! 技術部隊のことは私に任せろ!」
リリーザはニッコリとそう言うとヨセフは嫌そうに頷く。
「リ、リリーザ様がそう仰るのなら......」
こうして、これ達はヨセフと共に北部へと向かうことになった。
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